おおかみの独り言

不良中年のおおかみです。毎日の新聞、TVのニュースからおおかみが、ん?って感じたものを取り上げて感想等を書いて行きます。

北方四島は原理原則を守れ

2009年04月21日 | Weblog
前外務事務次官の谷内正太郎政府代表が毎日新聞のインタビューで、、「個人的には(四島返還ではなく)3.5島返還でもいいのではないかと考えている。北方四島を日露両国のつまずきの石にはしたくない」と述べたとされる問題について少し書きたいと思う。

だが、その前にまずはっきりさせておきたいことがある。

第二次世界大戦のうち、日本が戦った大東亜戦争の長い期間(昭和十六年十二月八日~昭和二十年八月十五日)の間のほとんど全ての期間に於いて、日本はソ連とは中立条約を結んでおり、戦争状態には無かったのであり、終戦間際の昭和二十年八月九日に敗色が明らかだった日本に対して、ソ連が一方的に中立条約を破棄して宣戦布告してきたのである。

日本がそれまで、中立国であるソ連に対して対米講和への工作を依頼していたにもかかわらずである。

そして、ソ連軍が北方四島の最北の島、択捉島に侵攻してきたのは日本がポツダム宣言を受諾し、連合国に対して降伏を宣言した昭和二十年八月十五日を二週間近くも過ぎた八月二十八日である。

ソ連はまさに火事場泥棒のごとく、降伏した日本の領土を奪い取ったのである。

北方四島を考える時、この事実を念頭におくことなく考えてはならない。


そこで冒頭の谷内正太郎政府代表の発言である。

本人は、「3・5島返還でもいいのではないかという発言はしていないが、全体の発言の流れの中で、誤解を与えるような発言があったかもしれない。結果として関係者に誤解を与えてしまったことは遺憾だ」と、どちらともとれるような言い訳をしているが、これを放置してはならない。

3・5島返還容認発言が事実であれば、谷内正太郎政府代表は即刻罷免すべきであるし、そうでなければ発言があったと断定した記事を載せた毎日新聞を名誉棄損で告訴すべきであろう。

このままどっちつかずの状態で放置するということは、ロシアに対して日本は3・5島返還でもよいと考えているという誤ったメッセージを送ることになるし、なにより国際社会に対しても同様のメッセージを送ることになってしまう。

それは、ひいては竹島や尖閣に対する日本政府の態度となってしまうのである。

外交交渉に於いて駆け引きや妥協は必要であるが、こと領土・領海問題については原理原則を曲げてはならない。

一度妥協してしまえば今度はそこが交渉の出発点となり、次から次へと後退していくことは火を見るよりも明らかである。

もとより、このままの状況でいくら交渉を重ねてもロシアが北方四島を素直に返還するとは到底思えないが、それでも原理原則を曲げてはならないのである。


古今東西、領土の確定が平和裏に行われたことは殆ど無く、たいていは戦争によって行われてきた。

その意味からも、膨張主義、帝国主義のロシアが返還に応じることはあり得ないであろう。

では北方四島を日本は諦めるのか?

否、絶対に諦めてはならない。


思えば、日本が北方四島を取り返すチャンスが戦後ただ一度あった。

それはソ連が崩壊し、分裂して経済的にも疲弊しきった時である。

時のロシア大統領エリツィンが来日したとき、日本は経済援助と引き換えに北方四島を返還させるべきだった。

けた外れの援助をちらつかせれば当時のロシアであれば呑んだ可能性がかなり高いと思える。

だが、悲しいかな、当時の日本の首相は全く腹の据わっていない橋本龍太郎であったからおそらくそんな考えは微塵も無かったであろうが。

しかし、まだまだ諦める必要は無い。

資源大国として経済の急発展を遂げてきたロシアではあるが、ここへきて原油や天然ガスの大幅な値下がりもあって経済的な行き詰まりは相当なものである。

プーチンによる反対派の弾圧、粛清も酷い。

いずれあの国は再び混乱を迎えるだろう。

その時を最後のチャンスととらえ、あらゆる手段を講じて取り戻しに動かなければならない。

その時のためにも、日本は常に原理原則を曲げることなく国際社会とロシアに対してメッセージを発し続けなければならないのである。