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「少年少女飛行倶楽部」 加納朋子 (文春文庫)

2013-11-05 23:59:02 | 小説-青春
「少年少女飛行倶楽部」 加納朋子 (文春文庫)


<あらすじ>

中学一年生の海月(みづき)は幼なじみの樹絵里(じゅえり)に誘われて、「飛行クラブ」に入部する。
メンバーは二年生の変人部長・神ことカミサマ、野球部兼部の海星、不登校で高所平気症のるなるな、運動神経はないけど気は優しい球児。
果たして彼らは空に舞い上がれるか!?
友情、家族愛、恋、冒険――全てがつまった傑作青春小説。
(文庫カバー裏より)


<感想>

久しぶりに感想文書くのでキンチョーしてる。
作品に対する解説は文庫の方で金原瑞人先生がしてくださっているので、この物語に対する私の率直な感想を。

うーーーん、これぞ青春小説!! っていう爽快感バッチリの物語でした。

空への憧れってやっぱり尽きないもんだけど、「飛行クラブ」っていう空を飛ぶことを目的としたクラブっていう異質なクラブが出てくるなんて、やっぱり発想力だなーと思いました。

物語は主人公・海月の一人称で進んでゆくのだけど、さっくり砕けた文体で、いかにも女子中学生的な軽さとユーモアがあって、すごく読みやすかったり時に笑ったり、気づいたら感情移入していたりと一人称の良さが存分に活きてた。
特に現代的なネタを取り入れてくるところがチャレンジだよね。銀魂だのどうぶつの森だの。職場で読みながら笑うところだった。

前半こそ飛行クラブの活動もふわふわしていて物語もふわっとしていたけど、後半着地点が見えてからの勢いがすごかった。
メンバーの人物そのものについてとか、家族との問題や友人との関係とか、そーゆーのをきっちりくっきり描き出すところは、やっぱり加納先生だなーって尊敬。

また、登場人物のキャラが立ってるんだよねー。
みんな変な名前だし…(海月・樹絵里・神・海星・朋(るなるな)・球児)
個人的にはカミサマ部長が結構お気に入り。
本当に尊大で、海月が作中で『オマエは何様か、神様か!』とツッコんじゃうぐらいには偉そう(本人にその自覚がない上に若干鈍感要素があるのがまたいいんだよね!)。
後半は特に、カミサマに対してなんとゆーか、すごく真摯な気持ちになってしまって、ここまで来たらちゃんと飛べよ! って思っちゃったり。

もちろんそこは青春小説。色々な問題や心配事も綺麗さっぱり回収して、素敵なエンドを見せてくれます。特にラストのラストね。カミサマそれは反則だわ!!!


なんとゆーか、ほかの人から見たら「アホらし」と思うことでも当人たちにとっちゃ真剣そのもので、そういう想いを抱いてる人にこそ読んで欲しいな、って思う青春小説でした。物語のようにうまくは行かないかもだけど、きっと、「アホらし」いことを真剣にやっているあなたを励ましてくれると思います。かくいう私もそのひとりです。