吉本芸人らの解雇・謹慎に箕輪厚介氏「メディアが反社会勢力から写真を買ったのだとすれば気持ち悪い」

2019年06月25日 18時46分29秒 | Weblog
6/24(月) 23:39配信 AbemaTIMES
吉本芸人らの解雇・謹慎に箕輪厚介氏「メディアが反社会勢力から写真を買ったのだとすれば気持ち悪い」
箕輪厚介氏、三浦瑠麗氏、夏野剛氏
 「反社会勢力からタレコミやリークをもらって報じたのだとしたら、反社会勢力と付き合った芸人と同じくらい問題なのではないか」。

 事務所を通さない、いわゆる“闇営業“で詐欺グループの会合に参加していたとして、吉本興業が宮迫博之ら所属芸人11人を、また、ワタナベエンターテイメントが、ザブングルの松本陽介と加藤歩をそれぞれ謹慎処分にすることを発表した問題。一連の騒動をめぐる報道に対し、24日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏が強い不快感を示した。

吉本芸人らの解雇・謹慎に箕輪厚介氏「メディアが反社会勢力から写真を買ったのだとすれば気持ち悪い」
カンニング竹山
 MCのカンニング竹山は「僕が所属しているサンミュージックはもともと歌い手さんや俳優さんの事務所なので、事細かな契約書が存在する、しかし、特にお笑いだけのプロダクションの場合、実は契約書がなく、芸能界の昔からの習わしのような“預かり“という立場になっている。その上、事務所によってはギャラがすごく安い時は直営業でいいよということもあるし、いくら以上だったら事務所を通して、ということもある。やはりタレントさんやプロダクションごとにやり方が違う。今回は吉本さんの話だから、細かい所がわからない部分もある。ただ、解雇になった入江君と喋ったが、本当に知らなかったと言っていた。処分を受けた芸人の中には知り合いもいるが、やっぱり本人たちは相手が反社会勢力だということは本当に知らなかったようだ。それでも芸能界にいる人なら反社会勢力と付き合ってはいけないこと知っているはずだし、一切付き合わないようにしている。飲み屋で来られても、“困りますから“と断っている。ただ、そもそも興行というのはヤクザと仕事をしていた。そういうのはやめようとなって、どんどん切っていった。タレントという職業は一番つながりやすいし、利用もされやすい。だからこそ芸能プロダクションが存在する」と話す。

吉本芸人らの解雇・謹慎に箕輪厚介氏「メディアが反社会勢力から写真を買ったのだとすれば気持ち悪い」
箕輪厚介氏
 箕輪氏は「“闇営業“というのは、要は副業のようなもの。会社に知らせずに直営業したことで解雇と言われれば解雇だし、いいといえばいい。世の中が騒ぐことではない。入江さんとはそんなに仲が良いわけではないが、確かに知り合いだったし、“出版界の知人“として、彼の2000人の友達の中に僕も入っていた。本人とも電話で話したが、人間ってこんなに落ち込むのかなというくらい落ち込んでいた。ただ、入江さんは会場で“これ、誰のパーティ?“って聞いてくるくらい、何の深さもなく、どこへでも行く人。良い意味でも悪い意味でも、そういう軽薄さから人脈が増えていったんだろうし、その中に反社会勢力のようなものが含まれていることに気づかず、罪の意識もなかったんだと思う。それでも反社会勢力とのつながりが一発でアウトになる世の中。先輩まで巻き込んで、それくらいのことをやってしまったんだと思う。見るからに反社会勢力のような人たちだったし、そこは気の毒とも思わない」とコメント。

 「本当のところはわからないが、反社会勢力が事務所を脅して証拠写真を買い取らせようとしたり、週刊誌に売ろうとした可能性がある。出版社が反社会勢力から写真を買ってニュースにするって、どういうビジネスなんだろうと思う。また、反社会勢力が“あいつらギャラもらってましたよ“と嬉々として語る証言を記事にしている。お前ら反社が何を偉そうに語ってるんだと思うし、それらのコメントを載っけて金を稼いでいる出版社の社員も、お前らなんなの、気持ち悪い、と思う。反社会勢力はアウトだという論理なら、そこから写真を買うなんて報道じゃない。意味がわからない。それで芸能人が干されることがまかり通ってしまう世の中はおかしいと思う」。

 さらに箕輪氏は「僕に来る講演や対談の依頼については、秘書と一緒に相手のホームページなどを調べるなどしているが、反社会勢力が俺を貶めようと思って依頼してきたトラップだったとしたら、防ぐのは無理だと思う。現実的にはひとつひとつ契約なんて結んでいられないし、その状況で引っかかった方が悪いと一発でアウトになってしまえば、それこそ反社の思う壺だ」と訴えた。

 国政政治学者の三浦瑠麗氏は「週刊誌というのは取材する中で“クサイね“と調べに行くのではなく、タレコミがほとんどだし、それは利害関係がきっかけだったりする。でも、やっぱり週刊誌はそれに乗っかる。例えば政治家がいかがわしい人と握手している写真が出回ることがあるが、参加したパーティーに誰が来ているかまではわからないし、主催者側も精査できていないことがほとんどだ。金銭スキャンダルにしても、ある日いきなりパーティ券の代金の口座に振り込まれてきたりするので、よほどしっかりチェックしている事務所でないとそのままにしてしまう。芸能界だけではなく、いわば詐欺に弱い業界と反社会的勢力のありかた、そしてマスコミがどうつながっているか問題は意識しないといけない。テレビのギャラだって、9割方はあとで交渉してくる。一体どういう感覚だろうと、正直思う。『AbemaPrime』だってそうだけど(笑)。とにかくメディアって、時給換算でこれだけしか払えないが…というような感覚がないし、“出してやってる“という感じでちょっと偉そう」と指摘。「政治家の場合は一線を画さないといけないが、仮に芸能人が反社会勢力の人と幼馴染だったとして、仕事とは関係なく、利益も全く提供していなかったとしても、会ったことが分かったら謝らないといけないのだろうか。つながりがあっただけ、一度会っただけでもアウトみたいなのはちょっと違うと思う」と話した。

吉本芸人らの解雇・謹慎に箕輪厚介氏「メディアが反社会勢力から写真を買ったのだとすれば気持ち悪い」
夏野剛氏
 また、慶応大学特別招聘教授の夏野剛氏は「やはり新しい暴対法ができて以降、反社会勢力は銀行口座ひとつ作れないし、本当に社会で生きづらくなっている。一方、企業は反社会勢力だと知らずに付き合ったとしてもアウトになる。だからこそ企業としては何も出てこないところとしか取引しないことになっている。僕自身、リスク管理のために講演依頼などは必ず間にイベンターが入っているケースしか受けない。公的な影響の大きい人は不倫同様、やはりスキャンダルになってしまう。だいたい、報道が“芸人の闇営業“を問題にしているが、雇用契約が無いような事務所においては罰する規定すらないはずだ。出版業界でも角川くらいしか上場していないし、製作委員会を作っても“契約を結びたくない“という、20世紀のカルチャーで生きている人たちがまだいる。ビジネスの世界も、政界ですら21世紀のやり方になっているのに、メディアの古い報道のあり方が、反社会的勢力という20世紀の勢力を結果的に助けてしまっていると思う」との見方を示した。

 こうした意見を受け、カンニング竹山は「テレビ業界も芸能関係も、新しいやり方にちょっと遅れているのは事実。今回、もし反社会勢力から写真を買ったのだとしたら酷いし、正義なのか?と思う。誰がなんのために、いくらで売ったのか。そこまで表に出してくれと思う。反社会勢力の片棒担いでるのだとしたら、書いた人の名前も出しなさいと思う。本音ではそうだけど、我々は表に出るのが仕事なので、批判を受けることはしょうがない。仮に僕の親友に反社会勢力がいたとして何が悪いんだとも思うが、結局は自分がメディアに使われなくなる。それが現実。だから個人でやるときはやっぱりリスクを考えながら仕事をしないといけない。何度も世話になっている人、仲の良い人が、相手のことを知らなかったのに5年前のことで記事にされて、気の毒だと思うけどしょうがない。ただ、芸能界は反社会勢力との仕事はしないということはわかってほしい」と訴えていた。

毎日新聞vs. 原英史氏 フェイクはどちらか②毎日新聞に誠はあるのか

2019年06月18日 13時08分24秒 | Weblog
http://agora-web.jp/archives/2039688.html

2019年06月15日 06:01

田村 和広
キャンペーン継続、4日連続単独「スクープ」
毎日新聞は6月14日も原英史氏に関する続報を掲載し、これで4日連続単独1面掲載となる「国家戦略特区ワーキンググループ(以下WG)原英史氏」に関する疑惑記事を「スクープ」し続けている。度を越しており、もう止めるべきではないか。まずは時系列で簡単に紙面の見出しだけ抜粋する。

毎日新聞ロゴ、原英史氏(衆議院インターネット中継)=編集部

6月11日 (1面)「国家戦略特区 政府ワーキンググループ委員関連会社 提案者から指導料200万円、会食も」「原氏の顔写真付きの関係図」
6月12日 (1面)「政府、特区審査開催伏せる WG委員関与HPと答弁書」、(29面)「透明性 また揺らぐ 特区審査隠し」「真珠販売会社『原氏から台本、NGワード』」
6月13日 (1面)「内閣府『非公式会合と推測』特区審査隠し『記録なし』」、(5面)「野党『特区』聞き取りへ陸上イージスには調査団 5党派合同」
6月14日 (1面)「『隠し審査』で調査要求 特区WG、水産庁に」、(4面)「『焦点』特区審査隠し 『開催の記録ない』はずが証拠の山」「政府の釈明 破綻寸前」「野党『原氏関与』追求」
このスクープは筋も質も悪い。最早「報道の暴力」の水準ではないか。

ストーリーの焦点が移動
6月11日、以下の「疑惑」を指摘してキャンペーンが始まった。

【論点1】WG原氏が立場を利用して見返り200万円と食事の供応を得ていた
【論点2】原氏は公務員ではないが、もし公務員だったら収賄罪にも該当する悪い行為だ
【論点3】WGは「審査」する立場なのに審査前に受ける側へグレーな助言をした

しかし当日即座に原氏から明確な反論を受けて旗色が悪くなると、翌12日、別の論点を続報した。

【論点4】政府は特区審査隠しをした。不透明だ。
【論点3の証拠】真珠販売会社は『原氏から台本、NGワード』等グレーな指導を受けた

原氏はこれらにも「毎日新聞記事への反論②」(アゴラ12日)と当日再反論した。これを受けて13日と続く14日、毎日新聞は、自らの過去報道の確からしさを高めるべく次のテーマを続報した。

【論点4の証拠】政府は「非公式な会合の可能性」を野党議員に伝えた
【論点5】野党5党派合同で「特区」疑惑の追及が始まった
【論点5補足】野党による追及が本格化した

毎日新聞にとって、報道が事実かどうかは重要ではない
一連の報道は多くの読者側には奇異な印象を与えているが、新聞側にとっては合理的な行動なのだと推測する。つまり、原氏は政府叩きの手段(入り口)に過ぎず、最終目的は現政権のイメージ低下とそれによる目前に迫った選挙でのダメージである。

仮に原氏からの訴訟が提起され、誤報として名誉毀損が認定されるとしても結審は数年後であり、賠償額はたかだか100万円前後である。得る利得と失う損失を合算すれば、利得の方が遥かに大きいのであろう。結局、新聞にとっては、報道内容が事実かどうかは重要でなく、「安倍政権は悪い奴らだ」という印象を付けられるかどうかこそが大切なのであろう。

他紙は沈黙
従来の報道キャンペーンでは、一紙が単独スクープすると、他紙も後追いで報道して大いに盛り上げることが通例だった。しかし今回は他紙が全く報道していない。これは、報道内容の信憑性がかなり低いことを裏付けている現象ではないか。

野党の追及という最低限度の広がりで幕引きか
他紙の追随はないが、少なくとも野党は合同で本件の聞き取り調査を始めた。一般的に報道機関側としては「火付け役」を担った場合には、他紙の後追いは欲しいところだ。更に捜査機関が動けば最高で、政権批難報道も効果甚大となる。しかし現時点では、それらの動きは少なくとも公には見られない。今後の推移に留意する必要はあるが、現段階では野党が動いたことで一定程度の戦果とするのではないか。仮に野党による何等かの「手柄」が続けば、報道も一層あおって行くのだろう。

原氏への個人攻撃的報道は実質的には「私刑」だ
6月14日現在、原英史氏には何ら批難に値する行為は認められない。捜査が行われているとも考えられず、金銭の受領も全く証明されていない。新聞社とは捜査機関でも裁判所でもない。一報道機関である毎日新聞が、確証もなく疑惑報道を連日一面で行うことは、「報道」という強大な影響力を持つ企業による「私刑」ではないか。報道の暴力は、一個人に対して行われるとき、深刻な精神攻撃となる。報道され晒されることへの恐怖や恥辱は、時に人の心に大きな傷を与え得る。

毎日新聞は筋も質も悪いキャンペーンはやめた方がよい
確かに、言論の自由も報道の自由も極めて重要だ。しかし公共の利益に相反し、不当に個人の心身を傷つけ、個人の社会的名誉の毀損や損失を無制限に発生させて良いものでもない。

事実はこれから判明するのだろうが、今回のキャンペーンは度を越してないか。逆に毎日新聞への印象が悪化する効果の方が大きいと感じる。

原氏は14日夕、内容証明を毎日新聞側に送ったことを明らかにしたが、毎日新聞は、速やかにキャンペーンをお止めになるべきだ。

毎日新聞 vs 原英史氏 フェイクはどちらか

2019年06月18日 13時06分26秒 | Weblog
http://agora-web.jp/archives/2039655.html

2019年06月13日 14:05

田村 和広
第二次モリカケキャンペーン開始
6月11日、毎日新聞は国家戦略特区ワーキンググループ(以下WG)座長代理の原英史氏に関する報道を行った。「国家戦略特区 政府ワーキンググループ委員関連会社※ 提案者から指導料200万円、会食も」というグレーな印象を帯びた見出しと、原氏の顔写真付きの関係図が掲載されていた。(※紙面とサイト記事との間で表記に揺れがある。)

これらは用意周到に準備されたキャンペーン報道だ。

毎日新聞ロゴ、原英史氏(衆議院インターネット中継)=編集部

原氏はインターネットサイトで即日反論
インターネットが発達する前は、報道された側はメディアスクラムの飽和的な取材と報道の攻勢に反論の声はかき消された。印象操作された大衆は、事実を知らぬままに一斉に「人民裁判」で非難したものだった。

しかし、インターネット論壇やSNSが十分発達した今は、マスメディアに虚構の報道がなされても、報道された当事者や事情を知る第三者が有効な反論をすることが可能となった。今回の報道に関しても、当事者である原氏は当日即座に反論した。SNSや言論サイト「新潮社フォーサイト」で、遮られることなく、言い分を全て公開したのだ。更に翌日には、アゴラでもその反論を掲載し、記者と毎日新聞とコメントした識者を対象として名誉毀損訴訟の準備を宣言した。

虚偽と根本的な間違いに基づく毎日新聞記事に強く抗議する — 原 英史

毎日新聞は翌12日にも続報を掲載
翌日の12日も毎日新聞は1面と29面で続報を掲載、自らの前日記事を受けて一定の論調を強く印象付ける記事を展開した。前日の原氏の反論に対応する追加情報も含まれていた。しかし、他紙はこの時点では沈黙し、本件ではなく年金キャンペーンに力を入れている。

毎日報道と原氏反論の各論点
毎日新聞の報道とそれに対する原氏の反論の主要な論点は以下の3点である。

【論点1】金銭授受と会食接待の有無
毎日:原英史氏の関係会社が指導料200万円を受け、会食の接待も受けた
原氏:そのような事実は一切ない。関係会社でもないし1円ももらっていない

【論点2】収賄罪相当かどうか
毎日:恒川隆生・静岡大名誉教授(行政法)の話「…原英史氏が公務員なら収賄罪に問われる可能性もある。…加計学園問題でも明らかになったように、規制緩和の当否以前に審査の過程が不透明だという疑念を持たざるを得ない。」
原氏:見出しと合わせ、「収賄罪」相当とまでコメントするのは虚偽の記事である

【論点3】WGは「審査」するのか
毎日:提案を審査・選定する民間委員が審査される側の法人を指導するのは問題だ
原氏:その認識は根本的に間違っている。提案を受けるのであって、審査・選定は行っていない。提案者とWG委員はタッグを組んで共に規制所管省庁と折衝する側である。助言はむしろ本来業務である

毎日新聞の記事分析
書き手の判断が混じる印象操作語や、誤解を招く表現が多用され、引用も不正確だ。一番主張したい「収賄罪相当」という言葉は、詳しいという第三者に語らせている。違法性などが無い(又は低い)ことを毎日新聞は認識しており、リスクヘッジをかけながら印象操作する常套手段だ。そして真の目的は、反政権政治運動と推測される。

具体的な印象操作内容
【不正確な定義】
「委員関連会社」…関連会社は会社法または会計の用語であり、不正確
【印象操作】
まるで金銭の流れがあるかのように表記する関係図
【印象操作語】
「関与した」「伏せられている」「透明性また揺らぐ」「台本」「NGワード」「ヒアリング隠し」「問題が浮上した」「ブラックボックス」「虚偽であることが発覚すれば」「事実は確認できなかった」「加計問題に続き浮上」「伏せていたことも発覚」「不透明さ」「見解で触れなかった」他多用
【不正確な引用】
取材では、原氏は否定したにもかかわらず食事をしたとして報道
【前提間違い】
「協力関係にある」協力などしていない。「特区審査隠し」そもそも特区は審査しないし、業界内の妨害が予見されるので記事に反映しなかった
【他人語り】
「収賄罪」相当という、新聞としては書きたくても書けないメインメッセージを第三者に語らせることでリスクヘッジをしながら読者への印象操作を完成させている

こうして列挙すると、報道ではなく「運動」と言っても過言ではない印象がある。

記事掲載タイミング
どうもキャンペーンのタイミングを見計らっていたふしがある。今回6月11日というタイミングで第一報を掲載したが、折しも年金2,000万円不足問題で与党への追い風が弱まっていた上、そろそろ(選挙対策としての)消費税増税撤回が厳しくなる時期だ。そして、6月12日29面の記事において、毎日新聞は5月中に既に原氏への取材を行っていたことを記述している。

全て「状況」でしかないが、新聞業界は以前から倒閣運動などの際、政府の身動きがとりにくいタイミングでキャンペーンを張っている。それを考え合わせれば、タイミングに伴って連想される諸事情は、少なくとも完全否定はできない。

6月12日現在の印象
多くの点において原氏の言い分の方が正しく感じる。毎日新聞、原氏双方のこれまでの活動から受ける印象の影響も大きい。仮に原氏の言い分が正しいとすれば、毎日新聞がフェイクを書いているような印象を持つ。毎日新聞は、印象操作をし過ぎていて当該記事も信憑性がかなり低いからだ。しかし先入観は少なからず入り込んでいるので、どちらか一方のみを妄信することはできない。もちろん、直接事実を知り得る立場にないので断定は出来ない。(私は、原氏とは面識も利害関係も全くない。毎日新聞も同じ。)

毎日新聞は前回敗れた同じ戦術でまた戦うのか
森友・加計キャンペーンでは、政権支持率を多少は下げたが「倒閣運動」は完遂できなかった。多少は下げた安倍首相の支持率も、しばらくするとすっかり回復した。

ガダルカナルの戦いでは、正々堂々の正面攻撃ができないために、第一次総攻撃では迂回夜襲を行ったが作戦は成功しなかった。諸事情により同じ作戦で第二次総攻撃を行ったがやはり通用しなかった。

毎日新聞のキャンペーンは違うのだろうか。

毎日新聞「報道の暴力」に対する厳重抗議

2019年06月18日 13時05分02秒 | Weblog
https://www.fsight.jp/articles/-/45489

執筆者:原英史 2019年6月17日
カテゴリ: 政治 IT・メディア 経済政策・社会保障
エリア: 日本

6月13日の『アゴラ』記事

 時事問題ウェブサイト『アゴラ』に掲載されている記事「毎日新聞vs. 原英史氏 フェイクはどちらか」(6月13日)、「毎日新聞vs. 原英史氏 フェイクはどちらか②毎日新聞に誠はあるのか」(15日)では、今回の一連の『毎日新聞』の報道について、客観的な分析がなされている。そのうえで、毎日新聞のやっていることは「報道の暴力」だと指摘されている。本当にそのとおりだと思う(ちなみに、これら記事を執筆している田村和広氏は、私と面識なく、何ら「協力関係」にない)。

目的を偽って取材
 私が「報道の暴力」を受けるのは、まあ仕方がない。国家戦略特区ワーキンググループ(WG)や規制改革推進会議で規制改革に関わり、その中で、他人の恨みを買うこともあったのだろう。それに、私は、多少の「暴力」を受けても反撃できる。

 しかし、私が絶対に許せないのは、私以外の、何ら「暴力」を受けるいわれなく、反撃することもできない人たちにまで、「暴力」の矛先が向けられていることだ。

 11日以来の毎日新聞記事では、私から「指南」を受けた、「協力関係」にある、などと指摘される関係者が何人か登場する。

 記事が出る以前の段階で、彼らが取材を受けていることは知っていたが、私から連絡はとっていなかった。記者から私に、「〇〇さんから、『一緒に会食した』と聞いていますが、事実ですね」などの質問を受けていたので、間違っても、口裏合わせをしようとしているかのような誤解を受けたくなかったからだ。

 記事が出てしまったのち、迷惑がかかってしまったことへのお詫びをするために連絡をとった。

 わかったのは、毎日新聞記者の取材のあまりの酷さだ。

 目的を偽って取材する。自宅や実家まで訪ねて入り込む。誘導尋問をしたり、求める答えをいうまで執拗に質問を繰り返す。取材対象者の答えを都合よく切り取って、全く意図と異なる回答をしたかのようにでっちあげる、などなどだ。

 以下では、取材対象者のコメントのうち、本人から公開の許諾を得たものをいくつか紹介する。このほかにも、同様の事例を何件も聞いている。順次公開していく。
 なお、またおかしな指摘を受けないように言っておくが、以下でコメントを公開するのは、彼らと私の「協力関係」を何ら意味しない。毎日新聞記者が彼らに悪質な取材をし、それに対するコメントを私が伺った。放置するわけにいかないと考えたので、了解を得た範囲で公開するものだ。

元・特区ビジネスコンサルティング社社長のケース

■毎日新聞記者の取材は執拗だった。自宅に朝なんども来られた。

■5月下旬になって、突然実家を訪問し、私有地(自宅横の車庫)まで入ってきた。ちょうど高齢の両親と一緒に出掛けるところだったが、両親を立たせたままで、自分から話を聞こうとした。あり得ない人たちだと思った。直接関係あるとはいえないが、母親は生活のリズムを崩し、翌日転んで骨折してしまった。

■その後、1時間から1時間半程度、車に乗せられて質問を受けた。何度も同じことを執拗に聞かれ、秘密警察の取り調べのようだと感じた。

■原さんに金銭を渡していると決めつけられ、質問を受けて何度「ない」といっても、執拗に回答を求められた。

■食事に関しても、ふぐを一緒に食べたはずなどの前提で、言質をとろうと質問された。やりとりの中で「自分と学校法人副理事長はいつも一緒に酒を飲んでいる」と答えたら、記事に掲載された一問一答では「原さんが説明に来た時は飲みに行っていないはずがない」と、全く意味の違う回答(筆者注:ふつうに読めば「原が飲みに行った」としかみえない)をしたことにされ、びっくりした。やりとりをテープにとっているのかもしれないが、切り取って全く違う意味にしている。2015年2月に原さんと食事をしたかは、もう何年も前のことでよく覚えていない。一緒だとしても、帰りの予定があってすぐに出たはずだと思うので、記者にもそう答えた。

■こんな取材をされて記事を書かれるのは、自分からみれば営業妨害。人間関係をめちゃくちゃにされ、現在の会社での取引先も失いかねない。許せない。

元・学校法人関係者のケース

■今回の記事をみて、とても怒っている。

■毎日新聞記者は、3回か4回、取材にきた。毎回、菓子折り、果物、扇子など手土産をもってきた。こんな取材は初めてだったので、驚いた。

■何を知りたいのか聞いたら、「原さんの功績を記事にしたい」とのことだった。人をおとしめるような取材ならいやだといったのだが、記事をみたら結局そういう記事だった。

■特区ビズ社との契約金額も事実と違うし、ほかにも事実と違う点が多い。また、取材で答えたことがすべて違う意味でとらえられて、記事になっている。食事については「ビールぐらい飲んだでしょう」といわれ、自分は飲んだが、原さんは先に帰ったことを答えた。記事では全く違う話になった。こんな取材はどうなのかと思う。

■別の新聞からも取材がきているが、答えたことと全く違う記事になることがわかったので、今後はもう一切受けない。

「取材の暴力」
 まだ現時点で公開できないが、ほかにも同じような話をいくつも聞いている。

 取材対象者に嘘をつき、生活の平穏を脅かし、業務を妨害し、重大な不利益をもたらしている。

 もちろん、報道の機能を果たすために、取材は不可欠で、尊重されるべきだ。しかし、情報をとるためなら何をやってもよいわけではない。一般人の平穏な生活や業務を無際限に妨害してよいわけでもない。

 今回の取材は、まさに「報道の暴力」あるいは「取材の暴力」と言ってよいレベルだと思う。しかも、そうした「暴力」を受けたのは、単に特区提案をしたというだけの一般人だ。

 そして、それでも取材の結果、真実を見出して読者に伝えたのであれば、まだ許せる。今回「取材の暴力」の結果できあがったのは、取材対象者の言っていないことをあたかも言ったかのごとく記し、思い込みで事実を歪曲した「ねつ造」記事だ。例えば会食に関する取材対象者とのやりとりを聞いただけで、今回の一連の記事に何の信ぴょう性もないことは明らかだ。

 こんな悪質極まりない取材を、私は決して許せない。毎日新聞社と記者に対し、厳重抗議するとともに、直ちに法的措置を準備する。

 毎日新聞社以外のマスコミ各社の方々、また、報道を受けて実態解明に取り組んでいらっしゃる国会議員の方々には、お願いをさせていただきたい。毎日新聞の不法な取材により単なる提案者に生じている被害を、さらに拡大させないようご配慮をお願いできないかと思う。

 特区WGを非公開にしたことが問題とされている。しかし、この件の事実関係は、15日公表の「反論文4」、その中にある八田達夫・特区WG座長の回答に書いたことがすべてだ。提案者を守ろうとした目的が果たせなくなるような形での取材や追及は、抑えていただけないかと思う。

 もちろん、会議の公開に関して、私たちや内閣府の説明が不十分と考えられるなら、その点での追及はあって然るべきだし、さらに説明する。また、特区制度や諸分野の規制改革に対する批判は、大いになされるべきだ。そうした批判を受け、もっと政策をよくしていかないといけない。

 だが、勇気をもって情報提供をしてくれた人を守ることは、そうした議論と別次元だ。ご理解いただけることを切に願う。

規制緩和妨げる『毎日新聞』背後に見える「官僚」と「既得権益者」

2019年06月18日 13時02分53秒 | Weblog
https://www.fsight.jp/articles/-/45493

執筆者:磯山友幸 2019年6月17日
カテゴリ: 政治 IT・メディア 経済政策・社会保障
エリア: 日本

手段を選ばず規制緩和を妨害したがるのは「官僚」と「既得権益者」の常だが(2018年6月の「特区諮問会議で発言する安倍首相)(C)時事

『毎日新聞』と改革派の元官僚のバトルが異例の展開になっている。

 ことの発端は、毎日新聞が6月11日付け朝刊の1面トップで、「特区提案者から指導料 WG委員支援会社 200万円、会食も」と大々的に報じた“スクープ”だった。

 政府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の座長代理を務める原英史・政策工房社長と「協力関係」にある「特区ビジネスコンサルティング(特区ビズ)」という会社が、特区提案を行っていた会社から200万円のコンサルティング料を受け取っていたというもの。

 記事に付けられた図版には原氏の写真が載せられ、あたかも原氏が200万円を受け取ったかのような印象を与えている。また、社会面の解説では、「原氏らWG民間委員と提案者の『利害関係』に関するルールはなく、公務員でもないため、仮に賄賂や過剰接待を受けても収賄罪などは適用されない」とし、200万円のコンサル料や関係者と原氏の会食が、賄賂や過剰接待に相当するかのように表現していた。

 原氏は同日、「虚偽と根本的な間違いに基づく記事に強く抗議する」という文書をフェイスブックで公表、『フォーサイト』をはじめ、インターネットメディアなどに掲載された。「特区ビズなる会社やその顧客から、1円ももらったことはない」と否定、特区ビズとは「協力関係にない」として、「こんな見出しを掲げ、私が『収賄罪』相当のことをしたとのコメントまで掲載しているのは、まったくの虚偽というほかない」と反論した。

 にもかかわらず、毎日新聞は翌12日付け朝刊でも1面トップを使い、「政府、特区審査開催伏せる WG委員関与 HPと答弁書」という記事を掲載した。

 記事は冒頭から「国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の原英史座長代理が申請団体を指南し、協力会社がコンサルタント料を得ていた問題で」という書き出しで始まっており、原氏の「犯罪性」を前提に続報を打っている。

 一般の読者からすれば、原という人物はよほどの悪党で、特区の審査を私物化して私腹を肥やしていたと感じるに違いない。だが多くの読者にとっては、特区WGという組織自体に馴染みがなく、そのトップでもない「座長代理」の原英史氏という人物についてもまず知らない。なぜ、有名人でもないこの人物が連日にわたって「追及」されるのか、不思議だったに違いない。

毎日新聞の「狙い」や「ネタ元」

 実はこの原氏、政府の規制改革に関わったことのある人たちの間では有名な人物だ。

 元経済産業省の官僚で、現役時代から改革派で知られた。2006~07年の第1次安倍晋三内閣と次の福田康夫内閣で、渡辺喜美氏(現参議院議員)が規制改革担当大臣に就任した際、補佐官を務めた。経産省の先輩で当時、改革派官僚の代表格だった古賀茂明氏の紹介だったという。

 当時、霞が関は安倍内閣の規制改革や公務員制度改革に真っ向から反対し、省を挙げて非協力を貫いたが、そんな中で協力した原氏は「裏切り者」で、渡辺大臣退任後は経産省に戻る場所がない状態になった。

 結果、原氏は2009年7月に退官、財務官僚を辞めた高橋洋一・現嘉悦大学教授と共に、「株式会社政策工房」を設立、現在に至っている。政策工房は、政党や国会議員などのために政策立案作業を手伝うコンサルティングを仕事にしている。官僚の専売特許だった「政策立案」を民間企業として、しかも官僚組織が嫌がる「規制緩和」や「行政改革」を中心に行う稀有な存在となっている。

 民間企業だから当然、ビジネスとしてコンサル契約を行う。だが、原氏の目的が金儲けでないことは明らかだ。

 公務員制度改革や規制改革、国家戦略特区を取材した経験のある記者ならば、原氏に取材したことがない人はいない。筆者も原氏が現役の官僚だった頃から取材しており、退官後はジャーナリストの田原総一朗さんとNPO法人「万年野党」を作って、国会議員の評価などを共に行ってきた。人となりはよく知っているが、行政改革がライフワークで、金儲けには興味がない。

 もともと改革の仕掛け人として表には出ず、国会議員や改革派官僚の知恵袋として活動していたが、2016年9月に内閣府の規制改革推進会議の委員に就任。「表に出て」闘うことになった。闘う相手はもちろん、規制緩和に抵抗する各省庁である。

 安倍首相が第2次以降の内閣で規制改革の切り札として使った国家戦略特区のアイデアも、もともと原氏から出たと筆者はみている。それまでの構造改革特区などは、特区として認めるかどうかは最終的に各省庁の権限だったが、国家戦略特区では、各省庁の大臣に最後まで反対する権限は与えられていない。特区指定された地域の首長と、国家戦略特区担当大臣、そして事業者が規制緩和で合意すれば、各省庁の大臣は基本的に尊重しなければならない仕組みになっているのだ。当然、霞が関からすれば、「国家戦略特区はけしからん」ということになる。

 ここまで書くと、原氏を執拗にバッシングする毎日新聞の「狙い」や「ネタ元」が容易に想像できるに違いない。

徒手空拳の闘い

 国家戦略特区による特例的な規制改革は強い政治のリーダーシップが不可欠だ。特区などを指定する「国家戦略特別区域諮問会議」の議長は安倍首相で、その他4人の閣僚と5人の民間有識者議員からなる。

 現在の民間議員はコンサルタントの秋池玲子氏、コマツ元会長の坂根正弘氏、東洋大学教授の坂村健氏、東洋大学教授の竹中平蔵氏、大阪大学名誉教授の八田達夫氏である。いずれも改革派の代表格と言える人物が集まっている。

 安倍首相は繰り返し、自らが「岩盤規制を突破するドリルになる」と表明、この特区諮問会議で、規制に穴を開けてきた。

 2017年4月、千葉県成田市に国際医療福祉大学が医学部を開設した。日本で医学部の新設が認められたのはなんと約40年ぶりのことだった。2018年4月には愛媛県今治市に加計学園が獣医学部を新設したが、獣医学部に至っては52年ぶりのことだった。

 農業分野では企業の農地取得、民泊の解禁、自動走行の実証実験、都市部での容積率の緩和など、特区を使った規制改革が行われてきた。

 だが、「岩盤」と呼ばれるほどの規制が存在するのは、既得権を持つ業界団体などが規制緩和に強く反対してきたからだ。

 毎日新聞は一連の報道で、特区認定の審査で透明性や公平性を重視せよ、と繰り返している。だが、規制緩和に関しては、賛成側と反対側の力関係が同等ではない。反対する側は「既得権」を持ち、その業界の利益を守ろうとする所管省庁もそちら側に与する。一方で、規制緩和を求める側は徒手空拳で、所管省庁も手助けしてくれない。申請書の書き方すら分からないのに、行政文書のプロである官僚を向こうに回して闘わざるをえないのだ。

 もともと、特区WGの設立趣旨には、「(特区制度に関する施策の)調査及び検討に資するため」開催すると記載されている。WGは規制緩和を求めている事業者などの相談に乗り、どんな規制が事業の障害になっているか、それを特区制度で打破できるかを検討する役割で、それを採用するかどうかは特区諮問会議の役割だ。

 既得権を持つ業界団体などと一緒に官僚が守ろうとしている規制を打破して、新規参入を実現するには、政治のリーダーシップが必要なことは言うまでもない。

 獣医学部新設という規制を突破するために、特区を使ったことが、あたかも「総理のご意向」や友人関係にある「加計学園」への利益誘導だったと批判されたため、特区制度自体が壁にぶち当たっている。規制緩和を進めたい各地の首長の間で、特区申請に尻込みする動きが広がっているのだ。もともと事業者に特区申請をさせるのがかなり困難な作業だったが、加計学園問題以降、批判を恐れて申請を躊躇する事業者が増えた。

「利用されている」記者たちの底の浅さ

 今回の毎日新聞の報道でも、真珠養殖への新規参入や美容師業界での規制緩和に原氏が「便宜を図った」と言わんばかりの報道だが、漁業協同組合や美容師の業界団体は政治力も強く、規制緩和が遅れている分野として知られている。何せ、日本で美容師の資格を取った外国人は日本で働くことができなかった。日本人で美容師試験を受ける人が大幅に減っているにもかかわらず、既得権を守るために新規参入が阻害されてきたのである。

 そこに特区を使って新規参入しようと手を挙げる事業者が現れた場合、業界団体などからバッシングされるのは明らかだろう。特区WGの民間委員として法的に問題はないということをよくよく分かっていながら原氏を叩く毎日新聞の背後には、改革派である原氏を潰したい官僚組織か、既得権を守りたい業界団体などがいるのは明白ではないか。

 ちなみに、原氏が委員を務めてきた政府の規制改革推進会議が、7月で3年の任期を終える。後継組織をどんな形で発足させるのかまだ明らかではないが、委員の人選も行われる。その後継組織に改革派の原氏を入れたくないという官僚組織の思惑が、今回の毎日新聞の連日の“スクープ”の背後にあるのかもしれない。

 実は、執筆した毎日新聞の記者から、なぜか筆者も取材を受けたのだが、不在時にアシスタントが名刺を渡しているにもかかわらず、取材のアポも取らずに突然来訪し、取材目的を偽った上で、自分たちのストーリーに合わせた質問しかせず、ダメだと分かれば10分ほどで帰る、という不誠実極まりないものだった。社は違うが、新聞記者の先輩として恥ずかしい限りだ。

 だが、そこまで毎日新聞の記者たちが決め打ちして記事が書けるのは、彼らのネタ元が「信頼できる筋」だということを示している。おそらく、官僚や官僚OBということだろう。正義を貫いているつもりが、既得権を持つ官僚や業界に利用されているということに気が付かない記者たちの底の浅さに、毎日新聞だけでなく、日本のジャーナリズムの危機を感じる。

「安倍政権の倒し方を少し大人になって考えよう」政治学者が自戒を込めて語る、リベラルが敗け続ける理由

2019年06月18日 13時00分06秒 | Weblog
https://blogos.com/article/384858/

BLOGOS編集部
2019年06月17日

2012年に第2次安倍政権が誕生してから行われた、四度の国政選挙ではいずれも自民党・公明党が圧勝した。この間には反対の声も大きかった「特定秘密保護法」や「共謀罪法」などの法律も成立しているが、それに国会で対抗するには野党の数が全く足りなかった。

「正しい意見」を主張し、賛同する人が一定数存在するのにもかかわらず、なぜ“リベラル”勢力は選挙に勝つことができないのか。5月に上梓した『なぜリベラルは敗け続けるのか』(集英社インターナショナル)が反響を呼んでいる、専修大学法学部教授の岡田憲治氏は「リベラルは『政治』をしていないから」だと話す。

これまでリベラルが繰り返してきた失敗とは何か、そして次の参議院選挙に向けて今リベラルがすべきことは何か、岡田氏に聞いた。【取材:島村優】

なぜ「正しい」リベラルはひたすら負けるのか
—『なぜリベラルは敗け続けるのか』は政治学者である岡田さんが、自身の経験を踏まえ、リベラルが自民党に連敗し続けるのはなぜかを論じ、どのようにすれば「ちゃんと政治をすることになるか」を綴っています。

岡田さんの言う「リベラル」とは、どのような人たちを指しているのでしょうか?

簡単に言えば、国家や共同体よりも「個人」に重きを置き、それゆえ人間の「多様性」を大切にして、そうなると新しい価値観に寛容となるけれど、その一方で原則的には脆弱な個の人生をギリギリ守るためには国家は、とりわけ経済的に適切な介入をして「ルールなき横暴な資本主義を修正する」ことを良しとする。こういう考え方にシンパサイズされる人ですね。ウヨウヨなさっている方々は、リベラルのことを「非寛容」と言うけれど、それはものを言うときの態度の話であって、主張の内容は全くもってそうじゃないんですね。

弱い立場の個人が「もう何をやってもムダなんだ!」という諦めに陥らずに生きていける社会を維持していこう、つまり「セカンド・チャンスを準備しておこう」という考え方がリベラルです。こういう考え方を持っている人たちには、いわゆる「反安倍」的な人が多いけど、僕の考えるリベラルには自民党の中で安倍さんと距離を取っている人も当然含まれます。田舎で金に困っている人たちが「生活のレベルは自己責任で」なんて言われて自民党に投票しますか?リベラルな政策が必要な人がたくさん自民党や公明党の支持者にはいます。

リベラルを一応そのように定義しておいて、なぜ「個を重んじる」とか「平和を希求する」とか、最近だったら同性婚でもいいけど、そういう価値観を持っている人たちの陣営が、場面が選挙となった時に、下手なやり方でひたすら負け続けるのはなぜなのか?そういう、多くの人たちがモヤモヤしてきたことに言葉を提供したのがこの本なんです。正しいことを言っているはずなのに、なぜ毎回負けるのか?それは「俺たちのサッカー」を続けているのに、試合で負け続けている状態にも似ていると。南米相手でも、中東相手でも、みんな同じ戦い方して、サッカーはしているけど「試合」をちゃんとしていないのです。

—この本の中で岡田さんは、リベラルを指す時に「私たち」「我々」と書いています。

僕自身は、今説明したような立場を標榜する人を応援していて、実際に区議会議員選ではドブ板的な選挙で応援をしています。この本では「なんでリベラルはこんなことができない?」「選挙に勝ちたくないのか?勝ちたいならやれよ」って色々なことを言っているけど、スタートにあるのは、これまでの来し方を振り返って、「ああ、俺ダメだったなぁ」って、自分で失敗を繰り返してきたっていう話をしているんです。それを深く掘り下げれば、色々な風景が見えてくるから。

本の中でも「政治とは友だちを増やす」ことだと書いたけど、自分の経験としても、あることに関して間違ったことを言ってないつもりでも、「そうだよな」って賛同してくれる仲間が増えないことがある。でも、それにはちゃんと理由があるんですよ。実はけっこう簡単なことで。問題の一つは、正しいことを正しいまま言えば、それが相手に伝わるわけじゃない、ということ。「正しいことは必ず伝わる!」って、それでは政治をしていることにならない。でも、そういう政治家がいっぱいいる。特に野党系に。

自分の思いや正しいという確信を純化させて、その確信を強めていくことが政治だと思っている。正しいことをやり続ければ、雨の水が必ず岩に穴を開ける、と信じているんだな。それは思想ならいいんだよ。ビリーフ、つまり信念ね。大事なのはそれをポリティクス(政治)という「行動」にコンバートすることでしょ?それが政治なわけですよ。でも多くのリベラル系の人がその考えを共有していない。真面目だし、考えていることは正しいのに。

参院選の争点は「ゼニカネ」以外ない
—正しいことだけをやっているだけでは選挙には勝てない、と。

枝野さんは今度の参議院選の争点は、パリテ(※)だとか脱原発だと言ってる。パリテも脱原発も正しいよ。僕も区議会選挙の時にパリテを念頭に女性候補を応援したし、子どもの学校でPTA会長をやっているから、どれだけ女性の能力が高くて、それが社会の中にもったいなくも眠っているのかは知っている。女性の有能さに関しては確信のレベルでそう思っていますって。だけど、今度の参議院選で「それを言って勝てるかどうか」という問題は全く別だって、あっちこっちで言いまくってる(笑)。「パリテじゃまた負けるぞ!」って。

※選挙の候補者を男女同数にすると定めたフランスの法律の通称

次の選挙は衆参W選になるにしても参議院選挙だけでも、定数6の東京のような選挙区では、多くの人は有名候補が落選するかどうか、くらいしか興味を持たれていない。それよりも問題は32ある地方の1人区です。25勝7敗くらいで野党が勝たないと、安倍政権のやりたい放題を止めることができずに日本の民主主義は終わりに近づくでしょう。自分たちで金融庁に要求した「老後の生活に2000万円足りない」っていう答申が気に入らないからって、「そんなものはもうない。だから予算委員会で議論する根拠もない」と、完全にジョージ・オーウェル『1984年』の世界ですよ。あるものも「ないとする(いずれ閣議決定するかもしれない)」なんて、ソ連時代の全体主義のようです。SFの世界に突入ですよ。


共同通信社

—こうした事態を前に、本当の勝負の焦点となるところは、どんなところなんですか?

最初にリベラルとは、という話をしたけれど、安倍さんのやっていることは全部その逆でしょう。心の中では「それはいかがなものか」と思っている人は、自民党の中にもいっぱいいるわけですよ。だけど、そこで安倍さんを引きずり下ろすとまた野党になるという恐怖があるから、みんな忖度して黙っている。ゼニも公認も全部官邸に握られているから、社畜ならぬ「党畜」状態です。

「そのうち辞めるんだから、辞めた後で立て直せばいいじゃん」と多くの自民議員は思っているのかもしれない。でも永久総裁の道が着々と開かれんとしているわけ。それに力を与えるのは選挙でしょう。このまま野党がまた下手な喧嘩して、「負けて上等」みたいな馬鹿をやっていると、そのうち選挙自体がなくなるかもしれないですよ。そんなことあるわけない、って思うかもしれないけど、そんなことあるわけないみたいなことが安倍政権の間に連続して起こっているでしょ?こう言う状況を前にして、いつまでも「俺たちのサッカーを貫くって言うかぁ」なんて純粋無垢でいいのか、と。自公に投票している人より野党にした人の方が多いのに(2017年10月の衆院選)!

話を戻すけど、1人区の選挙区では支持政党がない人たちのうち7〜8%が投票行動を変えるだけで、状況は一変するんです。“Winner takes all”、つまり「勝者独占システム」である定数1の選挙区で、1票でも多く獲ればそこを取ることができるわけだから。民主党政権ができた時も、そうやって山崩れが生じたんですよ。

—この重要な1人区で25勝7敗ぐらいになる戦略で選挙戦を戦う必要があると。

そうですよ。ところがその時に「パリテ」って言って、誰に届くの?パリテを支持する人は初めから立憲民主党を応援しているから、そんなことは言わなくていいんだよ。そうではなく、やることは「選挙のことはよくわからない」「ほとんど選挙って行かないし」っていう、「浮遊しつつも潜在的に支持者にさせる可能性のある有権者」、推定1000万人くらいが「野党頑張ってるから、1票入れよう」となるような運動をしなければいけないんだよ。残りの1か月は、それだけをやらないと。オーバー・オールな(総対的な)支持を構築するんじゃないの。移動するだけで選挙結果をひっくり返しちゃう人たちのハートに届く、「あ、これは俺の話をしてんだな」って思える、彼らの不安に寄り添う言葉を使わなきゃダメなんですよ。

そのために、彼らのハートを一番掴むものは何かと言ったら、パリテでも憲法改正でも原発でもないんだよ。それは何だか、もうわかるでしょ?


共同通信社

—『リベ敗け』でも何度も出てきますが、お金ですね。

そう、ゼニカネなんだよ。なんでそんなことが分からないのか。憲法も大事、原発も大事、民主主義も大事、間違ってないよ。でも、それはお腹がいっぱいになってから考えることなの。とりあえず、今回は「安倍さんダメっしょ?でも立憲もねぇ…。どうしようかな、棄権じゃね?」って迷っている人を10%友達にする選挙なの。正しいメッセージではなく、迷ってる10%に届く言葉を考えないとダメなんだよ。それが大人の喧嘩をするってことでしょ?

「負けることの危機感」を持つ自民党は強い
—リベラル勢力は協力すれば勝てる選挙でも、それができず結果的に敗けるというケースが頻繁に起こります。

このゲームのルールでやる以上、リベラル系、野党系が分裂したら自公に全敗でしょ?そんな簡単なことが分からないはずはない。簡単なことなんだからやればいい、でもそれができない理由は色々とある。政党の幹部の面子が邪魔したり、党内ポリティクスの影響だったり。たくさんの要因があるんだけど、共通しているのは野党のリーダーたちに「こんなことをやってる場合じゃないよな」っていう危機感がまだどこか足りないことだと思いますよ。

例えば、野党統一候補を応援する時に、「今回は違います!野党は一つになったんです!」と示したければ党首クラスが目の前で揃わないといけない。でも、1人が参加できずにその党は幹事長が来るとなると「なんであっちは幹事長なのに、うちの党は俺が行かないといけないんだよ」という奴が出てくる。すると、別の党首も行かなくていいや、とビッグネームが集まらなくなって、「野党統一、大丈夫?」という空気になるんだよ。

自民党は、そういうバカみたいな面子で仕事をサボタージュするようなことは絶対にしない。一旦決めたらどんな嫌いな奴の応援でも必ず行く。それは選挙の厳しさを知っていて、負けたら何の意味もないんだ、ということが体に染み付いているからですよ。それと比べると野党は負けても「精一杯やって、爽やかな負けだった」と満足していいんだ、と思っているところがある。「それは違う、負けたらなんの意味もないんだよ」という危機感を持って選挙に臨んでいる人間の数は、圧倒的に自民党が多いでしょう。

—危機感があるから自民党は強い、と。

野党の側で、そういうことに対して「それじゃダメなんだ!」って言い続けていたのは小沢一郎議員だと思う。でも民主党は彼を排除したでしょ。その後の民主党、民進党、立憲民主党の選挙、折にふれ観察してきたけど、ろくな選挙していないよ。風頼みばっかり。じゃあ、なんでそういう連中が政党の幹部にいて引きずり下ろされないかと言えば、支持する側が同じように清潔で「おい、書生みたいなキレイごと言ってないでちゃんと政治やれよ!」というプレッシャーが有効にかからないからなんだろうと思う。


共同通信社

希望の党は自民党に恐怖を与えた
リベラルの側にも、そういう意識を持っている政治家もいるけど、「正しいことを主張して、わかってくれる人がいたらそれでいい。わからないやつに自分の筋を曲げてまでわからせる必要はない」って思ってる人間がいるのも事実です。そこまでして勝ちたくない、って言うのならそんな政治家は退場すべきだよ。こっちは、何が何でも勝ちたいんだ、って人間を応援したいんだ。自民党は汗かいてやってるじゃないか。

これは区議選レベルの話だけど、知り合いの自民党区議が「ピンチだ、ピンチだ」って言って、蓋を開けてみたら1500票も増やしてた。じゃあ、なんで彼はそんなに選挙に強いのかと言えば、簡単なこと。どこに行っても地域で汗まみれになって、交通整理をやったり、お祭りの準備をしたり、地域のイベントの実行委員会をやったりしてるからですよ。どこ行ってもそういうのは自民党の議員なんだな。それこそが政治家だと言っているんじゃないんだよ。そういう姿が人々の記憶に残っていて「本気なんだな」という基本トーンを作ってる、そういうことをもっと考えろということなんです。

そこには野党の議員は誰も来ない。それは、祭りに参加しようと思っても町会のおじいさんに「祭りは自民のものなんだから、立憲民主党は来るなよ」って言われることもあるよ。でも怒られても行くんだよ。「ビールだけ注がせてください!」って入っていって、「党派違いますけど、町を思う気持ちは同じです」って伝えてこないと。それを何遍も繰り返せば人のハートは動く。自民はそこまでやるよ。だから、「できないってことは、そこまでして勝ちたくないんだな」って思われても仕方ないんだということです。

—逆に言うと、自民党は党内に幅広い立場がありますが、「選挙に負けたくない」という点で一致して協力することができるんですね。

“安倍チルドレン”と呼ばれる人たちと、伝統的宏池会系って、政治的姿勢は全く違うでしょう。別の生き物と言ってもいいですよ。だけど、文句があっても、一旦決まったら協力する。それがチームでしょう。それをやらないで政治権力を失ったら野党になる、っていう危機感がある。

だって、小池(百合子)さんが希望の党を旗揚げして「全選挙区に候補者を立てる」って言った時、自民党本部はお通夜みたいだったって言われてるんだから。150議席失うっていう計算もあって「また野党か…」とガッカリした議員も多かった。でも、小池さんは自分がやらないといけなかった、山口4区に立候補する、「どんな人も排除しない」って言う、っていう2つのことの真逆を選んでしまった。だから逆風が吹いて、自民党が圧勝した。でも、そういう状況を起こすことは可能なわけだよ。鳩山由紀夫さんから100億円借りるぐらいのことやってみろよ、とかね。お行儀悪いけど(笑)。


BLOGOS編集部

—100億円?

1人2億円渡して自民党のリベラル系50人に声をかけてくればいいよ。「選挙の心配はするな、お前の選挙区には野党の候補を立てない、必ず当選させてやる、その代わり自民の党籍を抜けて、新しくできる連立内閣に参加してくれ」って。そういうことだって考えられるでしょ?

—本当にそんなことが可能なのか、と思ってしまいます。

でしょ?でも議員が常に心配しているのは、「ポストもらえるのかな?このままで?」と「金足りるかなぁ?」だから、考えてみる価値はあるんだよ(もちろん法の範囲内で)。このまま「パリテです」「原発です」って言い続けるだけで、選対もバラバラに勝手にやってるだけだと、前回と同様32の1人区で10勝22敗だよ。負け。この危機的状況でも、また頓珍漢をやるってのか?「ああ!」って、リベラル系の人たちのハートがポキンと折れる。もう俺カナダ人になるわって(笑)。

憲法論議は野党分裂を目論む側が仕掛けた罠
—そういうウルトラCも頭に入れつつ、リベラル勢力が参院選で勝つために必要なことはなんだと思いますか?

ゼニカネの話だけしろ、それ以外は話すな、これですよ。この先の暮らしに希望が持てない28歳の気持ちを想像しろよって思います。もう未来はないと思ってる彼ら彼女らが、わざわざ投票所に行って、人や政党の名前を書くためにはどうしたら良いのか。「ひと筋の希望があるかもしれない」と思わせられないと投票には行かないよ。山本太郎は「本物の好景気ってもんをみせてやる!」って言ってる。「えっ?」って腰を浮かす、そういうことなんじゃないの?

何がそう思わせられるかと言えば、男女平等でも原発でも憲法でもないよ。カネ、暮らしだよ。それで生活を立て直して、ひと息ついて「頑張ればなんとかなるかもしれない」って思った時に、「原発とか憲法についてもうちょっと考えたほうがいいかもな」ってなる。そういう問題は、ある程度の余裕がないと考えられない。安保法制のデモで国会前に行く人は、カネの心配はあまりしてないかもしれないんだよ。貧困の中で昼も夜も仕事をしている人からしたら、憲法よりも自分の生活が大切だとなる。だから中間層が痩せちゃダメなんですよ。民主主義っていうのは。

—ただ、リベラルは選挙戦で憲法を争点にすることも多いように見受けられます。

当然、自民の側は罠を仕掛けてくるよ。「次の選挙は改憲がテーマである」、って言う(もちろんこれは「党内での安倍さんの闘争」という面もある)。でも、憲法を争点に選挙をやったら野党が負けるのは明らかです。そもそも改憲をめぐる論理がねじれているんだから。言うまでもなく、安倍改憲っていうのは史上例のないひどい改憲論であって、憲法の法理を破壊するもので、もしあんなことをやったら世界中から不可解な国だと思われるよ。

でも、選挙で9条の条文死守系の人たちの協力を受けられなくなるって、枝野さんは怯えてるから、国際人道法、あるいは国際法に適った内容で、国際社会に信頼される「立憲的」改憲を掲げて自民党にぶつけに行くこともできないわけですよ。しかし本当は、自衛隊をきちんと軍事組織としてコントロールする体制を作るために、憲法の中に「force」と位置付ける必要がある(国際社会は自衛隊のことを“force”としてしか受け止めていないんだから)、そのためには憲法を改正して、憲法の持つ規範力を強める必要がある、という筋でデタラメな安倍改憲にぶつければ、賢明なる右派の中にも賛同する人が出てくるかもしれない。護憲派の人に添った言い方をすれば、9条が「あったのに」もう集団自衛権もオーケーになっちゃったくらい規範力が衰退してるもの。

でも、それをやると共産党が選挙で動いてくれないからできないんだよ。共産党は共産党で拳を振り上げて、憲法9条原理主義になってしまったからです。70年代の共産党は武装独立自衛主義でしたよ。60歳以上の人は覚えているはずです。だから、憲法を争点にすると、「安倍改憲に反対!」としか言えなくなって、「なぁんだやっぱり展望を示さないんだね。安倍さんは前進しようとしてるのに」って言われて終わり。だから、安倍改憲案は罠としてはたらく。でもね、そもそも、国民投票法が改正されてないのに、改憲の投票なんて当分できないんだから。少し冷静に状況を考えたいわけです。


共同通信社

—憲法を争点にすることで、選挙のために協力することができなくなる。

だから、憲法については改めて議論をする必要があるけど、「とりあえず安倍改憲を阻止するという点で一致しましょう」って言えば共産党だって乗りやすいでしょ。そういう本筋はちゃんと認めて、公約に書く。基本方針として。「もちろん憲法は大事だし、立憲主義は守らないといけない。これからしっかりと議論していこう」と。そして「脱原発を具体的にどう着地させるか、については与野党協力してやっていくしかない」と握っておいて、コントラスト出す争点なんかにしないで、「党派を超えて協力すればいいのです!」と、抱きしめる。それで誰も反対できんでしょ?しょせんは「理想社会像」じゃなくて、「あと数年の間にできる工程」に過ぎないんだから。公約なんて。

その上で、「国民最大の関心はやせ細った生活です!」「私たちが政権に加わったら、3年後、5年後に希望を持ってもらうために若年層と高齢者に、生活基盤を支える直接給付をします!」、「消費税の1%分は、国債の償還なんかに使わないで高等教育の無償化に使います!」って言えばいいんだよ。全員で声をそろえてね。1%で2.8兆円ですよ?余裕でできますよ。

「民主党はダメだった」という無責任さ
今の社会は余裕がないですよね。若い人は「すぐに結果を出せ」、「自己責任だ」、何かと言えば賃金カットの話ばっかり。そういう人たちがどういう気持ちで暮らしているかを考えないといけないでしょ。若い人は、年上世代に対して「あんたたちはそうやって生きてきたけど、甘やかされてきたじゃん。なんで俺たちばっかり頑張れって言うんだよ」って思ってる。だから、彼らがひと息つけるような、未来は何とかなるかもしれないと思える政策を打ち出すべきなの。税制優遇するとか、職業訓練のお金を出すとか、大学に通い直すために条件の良い奨学金を作るでも、学費免除でもいいよ。

—そういった公約を掲げても「本当にできるのか?」「民主党政権は何もできなかったじゃないか」というムードが生まれることが多いように感じます。

そうだよ、でも誰にもできなかったでしょ?自民党だって半世紀かけてもできてない。「教育と住宅は自助努力でやってね。減税はするから」って、それしかやってこなかったんですよ。自民党だって。そして小泉さんが急に「市場中心の規制緩和!」ってぶっ壊した。こういう文脈を無視して、民主党政権を批判したって意味がないの。


共同通信社

そこに関してはメディアにも大きな責任があって、民主党を叩く筋を間違えたんだと思う。その意味では、マス・メディアも子ども同然だったの。民主党が3年3ヶ月でできなかったことは、自民党が50年かけてできなかったことだよ。当時について「民主党がダメだった」って、必ず上の句のように言う人に、「何がダメだったか具体的に指摘してみてよ」って聞いて、ちゃんと上げられた人間はただの1人もいなかったよ。1人も。

もちろん政治学者は指摘していたよ。我々は民主党の良かったところとダメだったところを五つずつ言えるよ。でも、大手新聞社の記者に聞いても「政権担当能力がない」っていう古い文法でおきまりのことを言うくらいで、政権担当能力とは何かについて、具体的に分節化して答えられる人は1人もいなかった。一般のおじさんが「民主党が…」って言うのはいいんですよ。それは床屋政談て言って、そこに庶民の独特の視点が入ってたりするからね。でも、いい学校出て、高い給料もらっている言論人、メディアのエリート君たちが、深く考えずに「民主党政権はダメでしたけど」って言うのは全くもって恥ずかしいことです。その「そういうことでしょ?」感が、どれだけの経験と教訓をドブに捨ててきたのか。そのため政治の話はまたぞろ「ゼロベース」から始めなきゃならんわけよ。壮大な犠牲を生んだのに。

安倍政権は、じゃあできたのか?アベノミクスの結果はどうなった?データを改ざんして、まともなデータを出さないで検証しようがないだろう、そのことには突っ込まないのかしら?官邸記者会見でレッツノート黙って叩いてる大新聞のエリート君たちは。この次に政権交代があった時に、また言うのかしら?「安倍政権最悪だったじゃないですかぁ」とか。学習ゼロ。政治、政治家を育てるとか、一緒に成熟していくという発想が貧困だったのが、戦後民主主義の弱点です。

社会を良くするために協力したい
—『なぜリベラルは敗け続けるのか』を読み、じっくりとお話をお聞きすることで岡田さんの考えがより理解できたように思います。政治学者でありつつ、自身も「政治をする」ということについては、どのように考えていますか?

僕は政治学を学ぶ人間として、一つのことしか考えていない。それは「政治とは何か」ということです。それだけを考え続けてきたし、これからも同じです。僕の役割はそれでいいと考えます。政治には様々な側面がある、その中で、弱い人間が協力し合いながら、なんとかギリギリでも自由に物が言えて、自分たちの失敗を記録して、そこから少しでもマシな社会をつくらないといけない。そういう社会を守らなければならないんです。だから、そのための社会的技法のことを「政治」と考えている。

だからこの本に書いてあることは、学問的に政治とは何かを考えることと連続していて、学問をすることと社会を守ることは地続きだと思っていますよ。プラトン、アリストテレスの時代から先人の偉大な政治学者たちが問い続けていることを、その宿題を受け取って、かれこれ30年以上も同じことを考え続けている。マキャベッリ、マルクス、ラスウェル、ダール、アレント・・・。そうした先人たちとの対話という知的作業と、こういう本を書いたり、ドブ板選挙で誰かを応援したりすることは、僕の中ではそれほど異なったことではないんです。僕たちの政治は、果たして「進歩して成熟するのだろうか?」って。


BLOGOS編集部

—この本はどんな人に読んでほしいですか?

リベラルの側にいる人はもちろんそうなんだけど、立場が違う(と思い込んでいる)人にも読んでもらえたら、その人たちの力を引き出せると思いますよ。実際に、そうやって間違えて買った人もいるみたいで(「リベサヨ叩きによくね?この本?」とか思って読んだら「チゲェじゃん」とか)、でも読み終わった時に少しでも「でも俺たちもそういうことはあるよな。虚しいバッシングばっかり言っても仕方ないよな」と思ってほしい。それぞれの立場で、本当に守りたいものは何か、ということを考えてほしいですよ。本当に守りたいものが、さほど水と油であるはずがないんだもの。喧嘩する相手を間違えちゃいけないよね。

勘違いして欲しくないのは、僕は誰かを敵視しているわけではないということです(人種差別主義者は別です!)。そうではなく、この社会には力があって、協力する知恵もある。だから協力しようと言っているだけなんだよ。そのためには、人の心を溶かすようなことをやらないとダメだし、それは何よりもこの自分がずっと失敗してきたことだったから。あー!ダメダメだったなぁと。

この本の内容に絡めたツイートがTogetterでまとめられた時に、この本を1行も読まない“ネトウヨ”的な人たちが猛烈に批判してきた。それでもいい。関心を持ってほしい。僕は「お前はそもそも誰なんだよ?」っていう「匿名の安全地帯」から偉そうなことを言っても、人は耳を傾けてくれないと思って、恥ずかしいけど自分の滑った転んだを書いたんですよ。ここに書いてあるのは、かつて僕自身が全てやっていたことなんだよって。

—何度も、「ここに書いてあるのは自分のこと」と繰り返しているのには、そういう思いがあったと。

そう。最初にも言ったけどスタートは「俺がダメだった」っていう話なんですよ。この本に対するネットのコメント欄がどれだけひどくても、「その通りだよな」って思ってくれる人もいる。僕のメッセージを受け止めてくれた人が、少しはいるかもしれない。だから僕は、この社会に対する希望を失っていませんよ。もし完全に失ってたら、悪いことして金集めてフロリダの別荘で寝て暮らしますよ(笑)。

『なぜリベラルは敗け続けるのか』注文ページ(集英社)


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「首相はトランプの運転手」朝日の安倍批判がイケてない

2019年06月13日 21時20分03秒 | Weblog
https://ironna.jp/article/12655

「首相はトランプの運転手」朝日の安倍批判がイケてない
『田中秀臣』 2019/05/28読了まで7分

田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 米国のトランプ大統領が5月25日から28日まで、3泊4日の日程で日本に滞在し、令和(れいわ)最初の国賓として精力的に過密スケジュールをこなした。天皇、皇后両陛下は、トランプ大統領と会見されたことで、新しい令和の時代における親善外交のスタートとなった。

 また、安倍晋三首相との協議では、北朝鮮情勢や首相のイラン訪問といった外交問題や、2国間貿易交渉の事実上の先送りなどが話し合われた。中でも、北朝鮮の拉致問題に関して、被害に遭われている家族の人たちと2度目の面会をしたことが注目される。

 日本では、トランプ批判を好む人たちが、人権を重視すると自称している「リベラル」に多い。しかし、トランプ大統領の拉致問題に対する関心は強く、また持続的なものといえる。

 それは、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との2度の首脳会談で、拉致問題を議題にしたことでもわかる。「人権」を振りかざすことはないが、そのアプローチは、口先だけの人権派とは異なる説得力を有する。

 むしろ、日本の「自称リベラル派」の方が、意見の「多様性」を認めず、相手が自分にとって認められない反応を少しでもすれば、徹底的に排除していく姿勢を見せていないだろうか。政治学者で大和大講師の岩田温氏はこの現象を「偽善者」特有のものとして強く批判している(『偽善者の見破り方』イーストプレス)。

 また岩田氏は、トランプ大統領と民主党政権時代の鳩山由紀夫元首相を比較している。トランプ大統領は、個人弁護士で元腹心のマイケル・コーエン被告が議会で証言した「(トランプ大統領は)人種差別主義者で、詐欺師で、ペテン師だ」という酷評を紹介した上で、岩田氏はむしろこの種のありがちな評価よりも北朝鮮外交におけるトランプ大統領の現実感覚を高く評価している。
トランプ米大統領夫妻と宮殿・回廊を歩かれる天皇、皇后両陛下=2019年5月27日(代表撮影)
 他方で、鳩山由紀夫氏に対する米紙ワシントン・ポストの「ルーピー(くるくるパー)」と辛辣(しんらつ)な評価との比較を行っている。つまり、注目すべきなのは、外交方針において、トランプ大統領はぶれておらず、鳩山元首相は米軍普天間基地の移設問題について、方針がぶれまくったために日米関係を危うくしたと岩田氏は指摘している。私もこの点に賛同する。

 そのトランプ政権の外交手法を分析すると、ゲーム理論でいう「トリガー戦略」に似ている。これは交渉相手が裏切れば、それを許さず、報復姿勢を持続的に採用するものだ。現在の中国や北朝鮮、イランに対する姿勢がこれに当てはまるといえるだろう。

 このトリガー戦略に近いのが、「しっぺ返し戦略」だ。ただ、トリガー戦略ほど「強い」ものではなく、一度裏切られたら、そのたびに報復していく。それゆえ、トリガー戦略の方が長期的で安定的な協調関係を生み出しやすいといわれている。

 北朝鮮に対しては、国連安全保障委員会の決議違反をしたことにより、米国の制裁は米朝首脳会談の進展にかかわらず、全くぶれていない。また、米国の姿勢に日本が完全に同調していることで、トランプ政権には、日本がトリガー戦略の心強いパートナーとして映るに違いない。

 トランプ大統領と安倍首相との政治的「蜜月」には、このトリガー戦略の採用、あるいは軸がぶれない外交姿勢に裏付けられたものであるように思える。先ほどの拉致問題への関与はその一例であろう。

 だからこそ安倍政権は、トランプ政権の拉致問題に対する理解を背景にして、金委員長との首脳会談を実現させ、拉致被害者の救済を完遂すべきだ。にもかかわらず、なぜか日本のマスコミは、この外交上の協調関係を低評価して、話題をつまらない方向に限定する傾向にある。

 その典型が、今回の安倍首相とトランプ大統領に関する記事にも表れている。例えば、朝日新聞の霞クラブ(外務省担当記者クラブ)のツイッターは、千葉で行われた両首脳のゴルフの写真に対して、「とうとうトランプ大統領の運転手に」と低レベルな揶揄(やゆ)を書いていた。
安倍晋三首相が運転するゴルフカートに乗り、笑顔を見せるトランプ米大統領=2019年5月、千葉県茂原市の茂原カントリー倶楽部(内閣広報室提供)
 その写真では、安倍首相がトランプ大統領を横に乗せて、ゴルフカートを運転していたからだ。だが、インターネットのいい所は、このような低レベルな書き込みに対して、米国で行われた両首脳のゴルフでは、トランプ大統領の方が運転していたと写真を添えて即座に反論できる点にある。

 まさに、朝日新聞の中身のない「反権力」姿勢や、「安倍嫌い」「トランプ嫌い」の軽薄さを示す出来事であった。当たり前だが、ゴルフをともにすることは、その場が率直な意見交換の場になり得るし、また対外的に「親密さ」をアピールする場にもなる。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権のように、本来なら日米とともに北朝鮮に対峙(たいじ)しなければいけないのに、まるで北朝鮮側のエージェントのようにふるまう政権には、日米の「親密さ」が強い政治的メッセージになる。もちろん、北朝鮮や中国に対しても同様だ。

 さらに、両首脳の大相撲観戦に関する毎日新聞や朝日新聞の記事もおかしなものだった。前者は、トランプ大統領が拍手もせずに腕組みしていたことを不思議がる記事だったし、後者は大統領の観戦態度に「違和感」があるとするものだった。

 一方で、日本経済新聞はさすがにスポーツ記事が面白いだけあり、両紙に比べると客観的に報じていた。「首相に軍配について聞くなど説明を聞きながら熱心に観戦した」とした上で、優勝した朝乃山に笑顔で米国大統領杯を渡すトランプ大統領の写真を掲載していた。

 反権力や安倍・トランプ両政権への批判を止めることはしないが、それにしても、もっとましな報道はないのだろうか。嘉悦大教授の高橋洋一氏は、次のように日本のマスコミの低レベルぶりを批判している。

 イデオロギーで考える文系の記者は、ロジカルな世界である科学や経済を理解するのは難しいから、そういう記者は、科学や経済の報道に携わらないほうがいい。スポーツなどを担当するといいのかもしれない(笑)

『「文系バカ」が、日本をダメにする』(ワック)
2019年5月、大相撲夏場所千秋楽を升席で観戦する(上左から)安倍首相、トランプ米大統領、メラニア夫人、昭恵夫人(代表撮影)
 だが、今回のゴルフと大相撲に関する記事やコメントを読むと、スポーツ関係でも客観性について怪しいと言わざるをえないのである。

「団体交渉誠実に」 都労委、朝日新聞に命じる

2019年06月11日 16時24分03秒 | Weblog
https://www.asahi.com/articles/ASM6B5F9JM6BUTIL01X.html
「団体交渉誠実に」 都労委、朝日新聞に命じる
2019年6月10日16時37分

 朝日新聞社の一部の従業員が加入する新たな労働組合に、掲示板使用などの便宜供与を認めるかが問われた審査で、東京都労働委員会は10日、団体交渉に誠実に対応するよう同社に命じた。具体的な理由を説明せずに便宜供与を拒否したことが不当労働行為にあたると判断した。

 都労委によると、朝日新聞社の従業員数人は、新たに労働組合「東京管理職ユニオン」の支部を昨年1月につくり、会社に対して、既存の労組と同様に会議室や掲示板を利用させることなどを求めた。会社側は、組合との間に信頼関係がいまだ存在しないなどとして応じず、組合が都労委に救済を申し立てていた。

 都労委は朝日新聞社の対応について、組合の理解を得ようとする努力などを欠いており、不誠実な団体交渉にあたると判断。また、合理的な理由を示さずに要求を拒んだことは支配介入にあたるとも指摘したが、便宜供与については今後、労使の団体交渉で解決するべきだとした。

 朝日新聞社広報部は「命令書の内容を精査し、今後の対応を検討します」とのコメントを出した。

https://www.sankei.com/affairs/news/190610/afr1906100017-n1.html
朝日新聞社の不当労働行為認定 都労働委「不誠実な団交」
2019.6.10 17:34社会事件・疑惑
朝日新聞東京本社(本社チャーターヘリから)

 東京都労働委員会は10日、労働組合が便宜供与を求めたことに対し、朝日新聞社が合理的な理由もなく拒否したのは「不誠実な団体交渉に当たる」として、不当労働行為に認定し、救済命令を出した。

 都労働委によると、管理職で構成される合同労組「東京管理職ユニオン」が昨年2月、朝日新聞社が管理する施設設備の貸与、会議室の利用などを求める団体交渉を求めた。同社が拒否したため労組は同3月、労働委に救済申し立てを行った。

 都労働委は「持ち帰って検討することすら拒否し、拒否する具体的事情を何ら説明していない」と指摘した上で、「誠実に対応すること」とした命令書を交付した。

 朝日新聞社広報部は「命令書の内容を精査し、今後の対応を検討する」とコメントした。

https://mainichi.jp/articles/20190610/k00/00m/040/225000c
朝日新聞が不当労働行為 管理職ユニオンの会議室利用を拒否 都労委認定
毎日新聞2019年6月10日 20時07分(最終更新 6月10日 20時08分)

 東京都労働委員会は10日、朝日新聞社が一部の従業員が加入する労働組合への便宜供与を具体的な理由もなく拒否したのは不当労働行為に当たると認定し、今後は誠実に対応するよう救済命令を出した。

 命令書によると、同社の従業員数人が昨年1月、労働組合「東京管理職ユニオン」の支部を新たに結成。会社側との団体交渉で会議室や掲示板の利用などを拒まれたため、より多数で構成する朝日新聞労組との規模を考慮し、利用時間などの条件を絞って再要求しても「現時点では応じられない」と拒否された。

 朝日新聞社広報部は「命令書の内容を精査し、今後の対応を検討する」とのコメントを出した。(共同)

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/06/10/08.html
不当労働行為救済申立事件-朝日新聞社事件

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報道発表資料 2019年06月10日  労働委員会事務局

朝日新聞社事件命令書交付について
当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。

1 当事者
申立人 東京管理職ユニオン(東京都渋谷区)
被申立人 株式会社朝日新聞社(東京都中央区)

2 争点
組合が平成30年2月28日付けで要求した便宜供与を議題とする本件団体交渉における会社の対応が、不誠実な団体交渉に当たるか否か。
組合が6月25日に本件便宜供与を求めたことに対し、会社がこれを拒否したことが、組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。
3 命令の概要 <全部救済>
会社は、団体交渉において組合が譲歩の余地を示したことを受けても、持ち帰って検討することすら拒否し、便宜供与を拒否する具体的な事情も何ら説明していない。よって、会社の対応は、合意達成の可能性を模索する努力を欠いたものであり不誠実な団体交渉に当たる。
会社は、組合の具体的な要求に対し、抽象的な理由を述べるだけで拒否しており、便宜供与を一切行わない姿勢を示したとみられてもやむを得ない。よって、組合の便宜供与の要求に対して、会社が合理的な理由を示さずにこれを拒否した対応は、中立保持義務に反し、支配介入に当たる。
会社は、組合が団体交渉を申し入れたときには誠実に対応すること及び組合に対して文書交付(要旨:不当労働行為であると認定されたこと。今後繰り返さないように留意すること。)をすること。
参考
命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。

中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)
東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)
問い合わせ先
労働委員会事務局審査調整課
電話 03-5320-6985