中国の都市交通事情:王鋭 (WANG Rui) のブログ

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・大惨事追突事故-甬台温高速鉄道

2011-07-24 08:56:59 | 5) 中国の高速鉄道
・時間:7月23日20時34分
・地点:甬台温高速鉄道永嘉~温州南区間
・D3115列車(杭州~福州)は雷の影響で停車後、後ろににD301列車(北京南~福州)に追突されまして、少なくとも32死亡の大惨事になりました。

2004年以降本格的に高速鉄道の大建設に入った中国は、7年のあっと言う間に延長9600km、世界総延長の半分を超えた大規模な高速鉄道網を建設してきた、やはり早すぎですね。職員の訓練、運営管理のknow-howまだまだでしょう。

また、D3115次もD301次も、旅客専用高速鉄道、旅客貨物兼用高速鉄道と普通の在来線を併用した、海外では見かけない複雑な運用で、信号システムは2種類(LKJとCTCS-2)を揃っている列車です。事故につながるかもしれない。特にD301次は中国にしかない2223kmの超長距離高速列車です。

単純な旅客専用高速鉄道より、在来線併用型のほうが危険という指摘は昔からありましたね。あのドイツの事故も在来線併用型でしたけど。

・甬台温高速鉄道は、浙江省の寧波市、台州市、温洲市を結び,2009年9月開通,延長282キロ,営業速度250キロの貨物輸送兼用の国家1級鉄道です。開通当初貨物年間1090万トン、旅客車1日46往復、将来貨物年間1450万トン、旅客車1日60往復です。建設中の総延長1650キロになる東南沿海高速鉄道の一部,工事費160億元。

・D301次列車:北京南(07:50)~福州(21:26)の動車組列車、北京~上海高速鉄道上海~杭州高速鉄道、杭州~寧波在来線鉄道、甬台温高速鉄道、温福高速鉄道を利用、運行距離2223km、運行時間13h36m。追突当時は遅延でした。

・D3115次列車:杭州(16:36)~福州(21:45)の動車組列車、杭州~寧波在来線鉄道、甬台温高速鉄道、温福高速鉄道を利用、運行距離740km、運行時間5h9m。

中国高速鉄道


2 コメント

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Unknown ()
2011-07-24 23:45:27
 旅客貨物兼用高速鉄道にするのであればなおさら、貨物列車も含めて通過列車すべてを自動列車制御装置(ATC)対応にして、先行列車にトラブルが生じても、後続列車が自動的に減速して停止するように、全線の運行管理をしているはずなんですが。

 以前の王先生の紹介記事では、350km対応と250km対応の路線で、建設コストにかなり差があったようにお見受けしましたが、縦断勾配、曲率半径、トンネル断面、線路中心間隔のような土木工事のスペックの差以外に、信号、通信系統、運行制御などのスペックに差をつけてしまったなんてことがあるのでしょうか?
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Unknown (王鋭)
2011-07-25 11:38:34
250km路線―CTCS-2システム
350km路線―CTCS-3システム

信号、通信系統、運行制御などは、確かに後者のほうが規格(コストも)高いですが、250km級の高速鉄道も、主要在来幹線鉄道もATC対応しているらしい。

この事故の当時、システムが雷の影響で故障、運行管理センターの集中管理ではなく沿線の駅による非常運行管理(マニュアル形式)になっていましたらしい。

人的な責任事故にほかならないと思います。
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