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東日本大震災で発生した災害廃棄物の広域処理に関する一考察(第一報) ―費用と処理期間の低減効果―

2012年01月23日 17時23分54秒 | 災害廃棄物など

☆図は「東日本大震災で発生した災害廃棄物の広域処理に関する一考察(第一報)」より


■東日本大震災で発生した災害廃棄物の広域処理に関する一考察(第一報)
―費用と処理期間の低減効果―

独立行政法人国立環境研究所 加用千裕、石垣智基、山田正人、大迫政浩
財団法人日本環境衛生センター 立尾浩一

1.はじめに
2011年3月11日に東日本で発生した大地震ならび大津波により、東北3県(岩手県、宮城県、福島県)の広範囲に大量の災害廃棄物が発生した。震災から8カ月経過した現在(2011年11月)、これら災害廃棄物のほとんどは総計314カ所の仮置場(または集積所、保管所)に集められた状態である。
廃棄物の堆積の長期化は、粉じんや悪臭などの周辺の生活環境の支障となり、いくつかの仮置場では自然発火による火災が発生している。さらに、仮置場が土地を占有することによって復旧復興の妨げになっている点も否定できないことから、早期の復旧復興に向けて災害廃棄物の迅速な処理処分が必須であるといえる。
しかし、我々の推計によると、災害廃棄物の量は岩手県で4.5百万t、宮城県で16.7百万t、福島県で4.0百万tにのぼり、各県の一般廃棄物年間処理量のそれぞれ約10倍、20倍、5倍であり、各市町村や県内処理ではとうてい捌ききれる量でない。すなわち、仮置場に堆積された災害廃棄物の速やかな撤去に向けては県域を越え、産業廃棄物の処理能力や再生利用を活用した広域処理の体制を整備する必要がある。
本研究では、広域処理による費用と処理期間の低減効果を評価するため、宮城県で発生した災害廃棄物を対象とし、処分や再利用用途によって廃棄物を分類したうえで、東日本(北海道、東北、関東)全域に立地する一般廃棄物および産業廃棄物処理処分施設、ならびに製紙、肥料、発電などの再生利用先への最適配分を「線形計画法」で求めた。
2.データセット
2.1 災害廃棄物

宮城県の全市町村の仮置場81カ所における災害廃棄物を、評価対象とした。また、災害廃棄物の種類は、不燃物(コンクリート、瓦・陶磁器、ガラス、石膏ボード、金属、混合物の一部、津波土砂の一部)、可燃物(畳、プラスチック、混合物の一部、津波土砂の一部)、木くず(製紙用、木質ボード用、肥料・敷料用、燃料・焼却用)とした。
各災害廃棄物の発生量は、倒壊建物由来の発生量を[損害の程度・建物種別の損壊棟数(5月末時点)]×[平均延床面積(m2)]×[発生原単位(t/m2)(災害廃棄物の発生原単位について(第一報)]で求め、倒木発生量を[ 海岸林被害面積(m2)]×[面積当たり倒木重量(t/m2)]で求めた。
なお、津波土砂量は、災害廃棄物に付着しているものだけを対象とし、北海道大学における組成分析調査の結果を参考として、[発生量×0.10]により算定した。
参考までに、岩手県と福島県を含めた3県における発生量の推計結果を図1に示した。
本稿で広域処理を検討した宮城県で発生した災害廃棄物量は、約16.7 百万tと推計され、環境省の公表値15.8 百万tよりも大きく、宮城県の公表値18.2 百万t(宮城県、宮城県災害廃棄物処理実行計画(第1次案)―災害廃棄物処理の基本的考え方―、2011 年7月)よりも小さい値となった。また、仮置場の位置は便宜上、各市町村役場の所在地と仮定したうえで評価に供した。
2.2 処理・処分・再生利用施設
災害廃棄物の受け入れ先として、日本全国における総計1万81 施設の廃棄物の処理・処分施設と木くずの再生利用施設を考え、評価対象とした。
対象とした施設は、不燃物の安定型最終処分場(産業廃棄物用)と管理型最終処分場(一般廃棄物用、産業廃棄物用)、可燃物の焼却処理施設(一般廃棄物用、産業廃棄物用。ただし、現在稼動・計画中の仮設焼却炉は対象としていない)、木くずの再資源化施設(製紙工場、木質ボード工場、肥料・敷料工場)と燃料利用施設(バイオマス発電所、製紙工場、セメント工場)である。それぞれの処理・再生利用施設における日受入可能量は、統計資料および関連業界団体からの情報収集(全国木材資源リサイクル協会連合会、木質バイオマス需給調査、2008 年)に基づいて、当該施設の処理(生産)能力に対する年間稼働日数と処理可能率を表1のように設定した。なお、最終処分場については、日受入可能量を10t車で1日10 回搬入と仮定した。処理施設の位置として各施設の所在地の緯度経度を設定した。また、処理費用として、輸送費は、仮置場と処理施設の緯度経度から求めた直線距離を輸送距離とし、10t車の輸送単価600 円/km・台(けんせつ、積算資料、2008 年)
を用いて求めた。
処理費は、複数の文献[東京都渋谷区、廃棄物処理手数料(東京都清掃工場など処理施設へ直接持ち込む場合)、山田正人、平成21 年度循環型社会形成推進科学研究費補助金研究報告書、破砕選別による建設系廃棄物の地域循環システムの設計に関する研究(K2157)、2010 年]をまとめて、表2のように設定した。
なお、本稿では仮置場までの解体・輸送費と仮置場における分別・選別の費用は計上していない。





全文は:財団法人 日本環境衛生センター(略称:JESC)
東日本大震災で発生した災害廃棄物の広域処理に関する一考察(第一報)」へ



最後は、「復興復旧のための迅速な処理・処分のためには、官民が協同したより広い視野での広域処理の戦略が必要である。」と結んである。



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