
写真は「東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の促進について」別添「災害廃棄物の広域処理」より。上段写真は岩手県、下段は宮城県(石巻ブロック)
今日の、廃棄物資源循環学会 特別プログラム「震災に対して廃棄物資源循環学会が貢献できることは何か?」の中で、環境省の方が、岩手県、宮城県の災害廃棄物の広域処理について支援の必要性を切々と語られていた。何しろ、4月の調査で572市町村が受入可能としていたところ、再調査では54市町村(下記に調査結果内訳あり)のみになってしまったのだから。災害廃棄物と放射能汚染の混乱などから、都道府県や市町村、環境省にも、不安や疑問、反対意見などなど、また誹謗中傷ともいえるメールやファックスもたくさん届いているということである。それで、都道府県あてに事務連絡でパワーポイントの資料「災害廃棄物の広域処理」を通達。そして公開したということであった。
しかしこればかりは、むりやり押しつけることでもないだろう。岩手や宮城もそれは望まないであろう。あの政治家がよく使う「痛みを分かち合おう」という言葉はとても嫌である。(こういうのは人から指示されることではない。ましてや政治家からいわれたくない。)いまや原発推進政策、原発事故のせいで、日本国中が放射能に関しては被害者なのである。その国民の不安を十分に理解してほしい。すでに放射能でひどく汚染されてしまった福島近県の都県で、余力があって支援可能なところで支援をするしかない。なんとか被害を免れた関西や九州までも(多少といえども放射性廃棄物を含む可能性のある)災害廃棄物を運ぶことは、さらなるリスクを生んでしまう。
環境省も、広域処理の促進に固執しないで、福島県内の災害廃棄物の県内処理と同様に、岩手県も宮城県も、できるかぎり仙台市のように現地での処理促進、その支援をバックアップする方向にさらなる努力をしてほしい。それでも残るであろう災害廃棄物は、被災地周辺の都県で受入可能な自治体が支援するしかないだろう。受入側の住民の理解を得ることもたいへんではあろうが、しっかりとていねいに説明責任を果たすしかない。
東京都も、石原都知事のように、「黙れ」などといっている場合ではない。23区の清掃工場での受け入れとなれば、それぞれの地域での説明や運営協議会での理解は最低限求められる。まだそれすらできていないのだから。それができなければ、東京都の50万トンも絵に描いたもちとなる。
環境省>東日本大震災への対応:http://www.env.go.jp/jishin/index.html
■東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の促進について [PDF:1,097KB](平成23年11月2日)New
http://www.env.go.jp/jishin/attach/memo20111102_shori.pdf
平成23 年11 月2日
関係都道府県廃棄物行政主管部(局) 御中
廃棄物対策課
東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理の推進につきまして、御理解御協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
東日本大震災においては、地震による大規模な津波により膨大な量の災害廃棄物が発生しており、岩手県では1年で排出される一般廃棄物の量と比較すると約11年分、宮城県では約19年分となっています。これらの災害廃棄物の処理は復旧復興の大前提であることから、できる限り速やかに処理を進めなければなりません。また、災害廃棄物の仮置場への搬入が進む中、災害廃棄物の仮置場における火災がしばしば発生しており、被災地にとって重大な懸案となっていることからも、早急に処理を進める必要があります。しかしながら、被災地では処理能力が大幅に不足していることから、被災地以外の施設を活用した広域処理の推進が不可欠です。なお、福島県は県内処理を基本としています。
本年9月28日には東京都から岩手県の災害廃棄物を受け入れる旨が発表され、本日、岩手県において都内への搬出が開始されており、初めてとなる本格的な広域処理が実現しました。
災害廃棄物の広域処理における安全性の考え方については、環境省の災害廃棄物安全評価検討会における専門家の検討を経て、「東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドライン」(8月11日策定、10月11日一部改定)を策定するとともに、そのQ&Aや説明資料の作成、地方公共団体の説明会への職員派遣等の対応を行ってきているところです。環境省で作成しました説明資料を送付いたしますので、ご活用ください(別添1)。
環境省では、引き続き、ガイドライン、Q&A等充実に加え、一般の方にわかりや
すいパンフレットの作成などを行うとともに、地方公共団体の説明会等への協力を行っていきます。
また、10月7日付け事務連絡「東日本大震災により生じた災害廃棄物の受入検討状況調査について」により、東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の受入検討状況を把握するための調査をお願いしたところですが、10月31日(月)までに提出いただいた回答を一旦取りまとめましたので、併せて送付いたします(別添2)。
本結果も参考に、環境省では、住民の理解を得つつ、広域処理のマッチングの
手続を進めるため、環境省本省と地方環境事務所が緊密に連携し、地方公共団体間の仲立ちに努力してまいりますので、引き続き広域処理の推進に御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
別添1 災害廃棄物の広域処理 ← パワポ資料
別添2 東日本大震災により生じた災害廃棄物の受入検討状況調査について(中間報告)
詳細は:http://www.env.go.jp/jishin/attach/memo20111102_shori.pdf
別添2
東日本大震災により生じた災害廃棄物の受入検討状況調査について(中間報告)
平成23 年11 月2日
1.回答状況
調査対象都道府県のうち、10 月31 日(月)までに回答のあった数:37
2.結果の概要
調査対象都道府県のうち、区域内にA~Cに該当する市町村等がある数:11
A:既に受入れを実施している:6市町村
B:被災地への職員派遣や検討会議の設置等の具体的な検討を行っている:2市町村
C:被災地への職員派遣や検討会議の設置等は行っていないが、受入れに向けた検討を行っている:46市町村
※一部事務組合等を含む