昨年3月からの1年間で、清掃工場の焼却灰に含まれるセシウム量は1千億ベクレルは優に超えている。下水汚泥焼却灰のセシウムを加えると、どれほどのセシウムが東京都の埋立処分場に埋め立てられてしまったのか~
なにしろ環境省は、「セシウム8,000Bq/kgの焼却灰を55万トン埋め立てた場合でも埋立終了後は、周辺住民への健康に対する影響を無視できるレベル」といっているので、1千億ベクレル、2千億ベクレルなどなんの心配もないと軽くあしらわれるのだろうか。ちなみに、8,000Bq/kg×55万トン=4兆4千億ベクレルになる。
環境省のいうように、一般廃棄物の処分場にこうも放射性セシウムを埋め立てていいのだろうか。放射性物質を封じ込めできることを前提の、放射線量の安全シナリオで、これを信用しろというのも無理がある。将来に禍根を残すことになるのではないか。将来といわず、数年先、今日、明日のことでさえ不安である。放射性セシウムの半減期がセシウム-134で2年、セシウム-137で30年と、とてつもなく先の長い話し、長期にわたっての処分場の管理は確実におこなえるのだろうか。
兎にも角にも、現状の処分場が放射性廃棄物の処分場となってしまったからには、確実に封じ込めができるように、考えられる限りの、最強の、最善の対策を実施してほしいと願うのみ。(本来なら、これまで埋め立てた放射性物質をすべて掘り起こして福島原発周辺に保管してほしいところである。)
国の言う安全など信用できないので、今は東京都に期待するしかない↓↓
■【東京都】都の埋立処分場における放射性セシウムの溶出防止に関する取組みについて(2012年03月17日)
埋立処分された23区清掃工場の焼却灰中セシウム総量
少なく見積もってもこれまでの総量は1,854億ベクレル
平成23年度の清掃工場別ごみ焼却量はまだ公表されていないので、平成22年度のごみ焼却量にあてはめて計算してみた。
全清掃工場ごみ焼却量合計 約270,000トン
主灰を6%として 162,000トン
飛灰を2%として 54,000トン
清掃工場の放射能濃度も、各工場の焼却能力もかなりの差があるので、各工場ごとの放射能濃度平均を工場別ごみ焼却量(主灰量・飛灰量)でざっとエクセルで計算してみたところ~
主灰のセシウム合計 389億ベクレル
飛灰のセシウム合計 1,465億ベクレル(江戸川保管分含む)
セシウム合計 1,854億ベクレル※江戸川清掃工場の飛灰保管分は8,470~13,630Bq/kgが980トン
平均1万Bq/kgとしても約98億ベクレルとなる。
訂正:江戸川保管分の980トンはキレート処理後の重量だと
セシウム2,350~11,640Bq/kg×980トンは約57億7千万ベクレルとなる
(ただし、各工場とも、3月下旬~6月中旬までの未測定の期間は、下水汚泥との相関からみてもかなり高濃度であろうことは予測できるが、とりあえず6月測定結果と同じ数字をあてはめた。)
セシウムのキログラムあたりの測定結果も満遍なく均等に混ざっているとも思えない。もしかしたら少ない部分の抽出か、たまたまホットスポットを取り出しているのかもわからない。今年度のごみ量も実際にはどうなのかはわからないので、たいした根拠のある数字でもないが、ただとてつもなく想像を絶する放射性物質セシウムが埋立処分場に埋め立てられていることだけは間違いないことであろう。
東京都の下水汚泥焼却灰に関しては処理量が不明のため計算していない。
(処理量のデータを探しているところ~)
放射性物質について専門的なことがわからないだけに、ベクレル単位であらわすと大きな数字になってどう解釈すればいいのかわからなくなる。武田邦彦氏によると、福島原発事故で飛散した放射性物質の量は80京ベクレルから100京ベクレルにも達するという。〈兆の次が京(ケイ)〉100京を1億2000万人で割ると1人当たり「約80億ベクレル」とのこと。ほんとうにたいへんなことになったものである。東北地方、関東地方と、満遍なくセシウムまみれとなっているのだろう。薄く広くばらまかれた放射能を効果的に除染する技術があるなら即刻実施してほしい。何はともあれ、否応なく日常のごみの焼却でこれまでに2,000億ベクレル分が日常空間から除染できたと思えば、それはそれで子どもたちの被ばくがその分減少するのかもしれないが、しかし、それは封じ込めが完全にできてこそ、はじめて効果が期待できるといえるのだが。この現実をなかなか直視できないというか受け入れられないでいる。
女川の災害廃棄物がセシウム50~100Bq/kgであれば10万トンで50億~100億ベクレルのセシウムも引き受けるということである(放射能に限らず災害廃棄物10万トンのリスクをそのまま引き受ける)。不幸にして、23区の場合は、日常の廃棄物処理のなかで、結果的に放射性廃棄物と向き合っての処理・処分をしてきた。23区のごみと比較して、放射能濃度が高い低いというより(23区も地域によってかなり差があるので)この先も長期にわたって放射能との闘いは続くのだろうから、災害廃棄物も通常廃棄物同様に、しっかりと処理・処分していくということになるのだろう。要は災害廃棄物の受け入れも、滞りなく日常の廃棄物処理が実施できていて、尚かつ放射性廃棄物を受け入れる対策がしっかりとあるかないかにかかってくる。
災害廃棄物の広域処理、、、
中部、関西、中国、四国、九州、沖縄と、運良く東京のような放射能汚染から逃れられた地域にまで、多少とはいえ放射能汚染された災害廃棄物の処理を要請するなど、、、これから新たに、放射性廃棄物に立ち向かっていかなくてはならない。広域処理にお金を落とす分、被災地にお金を使ってほしい。被災地の支援が、ほんとうにわけのわからない世界になってしまった。ちょっと支離滅裂、、、
武田邦彦氏HP
■原発事故中間まとめ(5) 国民が背負ったベクレル
参考
焼却灰等に含まれるセシウムの存在割合
Cs-134:Cs-137=0.806:1
セシウムの半減期
セシウム-134 2.06年
セシウム-137 30.10年
環境省 広域処理情報サイト
よくあるご質問Q&A
Q 放射性セシウムの濃度がいくら低くても、大量に広域処理の対象とすれば総量としての放射能量は膨大になり、そこから生じる多量の焼却灰を埋めれば危険なのではないですか?
A 放射性セシウムを含む焼却灰の埋立を実施する場合の周辺住民や作業員への影響については、埋立容量が40万m3の処分場(200m×200m×10m)の処分場全体に焼却灰を55万トン埋め立てた場合を想定するなど、非常に安全側の評価※1を行っています。仮に8,000ベクレル/kg※2の焼却灰のみを55万トン埋め立てた場合であっても、QA8、の通り埋立終了後は、周辺住民への健康に対する影響を無視できるレベルに抑えられます。実際は、広域処理により災害廃棄物を焼却した場合に発生する焼却灰は8,000ベクレル/kgを大きく下回る※3と考えられます。
※1 災害廃棄物等の処理・処分のシナリオに対する線量評価結果(概要版)
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