小説『空の彼方』で、第16回電撃小説大賞・選考委員奨励賞を受賞した菱田愛日先生のインタビューをお届けする. 『空の彼方』は、王都レーギスのはずれにひっそり店を構えている防具屋"シャイニーテラス"を舞台に、そこの主人であり太陽の光を浴びることのできない病におかされた女性・ソラが、訪れる客から旅の話を聞くというストーリー. 旅人たちからの話によって、少しずつ物語が紡がれていく. インタビューでは、担当の荒木編集を交え、菱田先生に作品についていろいろ話をうかがった. 気になる次回作についても触れているので、ぜひご覧いただきたい. 菱田愛日先生 ――まず最初に、この作品を書こうと思ったキッカケを教えてください. 菱田先生: 投稿しようと思った時に、自分が経験していることで、他の作家さんがやらないことって何かないかなと考えたんです. 私は普段販売員のお仕事をしているので、何かを売る話であれば自分でも掘り下げられるかなということから、販売をする話を書こうと思い立ち、お店の設定ができていったんです. 私が担当しているお店が小売なので、小さな箱の中でお客様をお待ちするという経験をファンタジー世界に置き換えていったら大体できていました(笑). ――普段は販売員をしているということですが、具体的にどういったお仕事をされているんですか? 菱田先生: レディースブランドのお店の店長をやっています. でも『空の彼方』を書き始めた時は、メンズブランドを担当していてスーツなどを売っていたんです. それから今のお店に異動になり、店長になりました. ――ひとえにお店といってもさまざまなお店がありますが、その中で"防具屋"を選んだのはどうしてですか? 菱田先生: "待つこと"をテーマにしようと思ったので、相手を傷付ける武器よりも防具の方がいいかなと思ったんです. 他にも宝石屋さんやお洋服屋さんなどいろいろあったのですが、その中で今回の話に一番合っているのはなんだろうと考えた時に、ちょっと地味な防具が合うのかなと思い防具屋さんに決めました. ――お話の構想が先にあって、それを表現する手段として防具屋を選んだということでしょうか. 菱田先生: 具体的な構想はなかったですね. 最初に、お店に入る薄暗い階段のイメージと、ごちゃっとした光のないお店のイメージ、そしてそこにいる主人公のイメージがあって、そこにいろいろな人が訪れる話にしようと思っていました. ――作品の執筆期間はどのくらいでした? 菱田先生: 4カ月ぐらいですね. ――この作品は、いろいろなエピソードが最終的に1つにつながるという構成になっていますよね. 伏線の張り方など、話の構成をするのが大変そうな印象を受けたのですが、いかがですか? 菱田先生: あまりプロットを組み立てずに書いていたので、最初はアルフォンスの話を基準に、トリトス(※どちらもソラに話を聞かせる客の名前)などは間に挟む話のつもりで書き始めたんです. でも書いている途中に「全部つなげた方がおもしろいんじゃないかな」と思って、3分の1ぐらい書いた時に方向を変えました. ――3分の1も書いたところで話を1つにつなげるって、とても難しそうなんですが... . 菱田先生: 頭の中にポンと思い浮かぶんですよね. 「あ、ココとココがつながるんだ」といった具合に、煩雑になっているイメージがカチッとハマる時があるんです. ――そうやって、劇中でのそれぞれのキャラクターの役割ができていったんですね. 荒木編集: 選考の時に、主人公がいろいろな人から聞いた話が、最終的に1つの物語にキッチリまとまるという構成が気持ちいいといった意見が多かったんですよ. 菱田先生: 特に計算していたわけではないんですけどね(笑). ――作品の舞台にモデルはあるんですか? 菱田先生: モデルは特にないですね. 最初にイメージが浮かんだので、そんなに考えてはいないです. 荒木編集: でも一応精密な地図があるんですよ. ――そうなんですか. それは作品を書いていく途中に設定したんですか? 菱田先生: 作品を投稿しようと思う前に、友だちと遊びで書いていたお話があったんですが、その世界を舞台にしているんです. キャラクターなどはもちろんまったく違うんですが、舞台設定は同じですね. それに、今の話を書く際に少しずつ書き足していっています. 設定が好きなので(笑). シャイニーテラスの間取り図などもあるんです. ――劇中に細かい描写があるので、設定があるのかなと思っていました. 菱田先生: つじつまをあわせるのが大変なんですけどね(笑). ――やはり細かく設定を考えていると、矛盾点も出てくるのでしょうか? 菱田先生: 地図を書いていて、「作品内では、来るのに1週間掛かっている場所が、実際に地図を書いてみると1週間じゃ間に合わない! 」といったようなことはありますね. →次のページでは、次回作のお話などが. 北陸3県と横浜市で5人の死者を含む約180人の患者を出した焼き肉チェーン「焼肉酒家(さかや)えびす」の集団食中毒事件で、運営会社のフーズ・フォーラス社(金沢市)は10日、金沢地裁に特別清算を申し立て、同地裁は開始を決定した. 負債総額は17億7800万円. 申立書によると、フーズ社の資産は約1億5408万円. 一方、負債には被害者への損害賠償金(約6億9037万円)に加え、取引業者への未払い金や金融機関からの借入金など(計約10億8821万円)もあり、大幅な債務超過となっている. 同社によると、一般の債権者よりも被害者への補償を優先するため、破産手続きではなく特別清算を選んだという. 今後、協定案をつくり、債権者集会などで具体的な計画を立てる. フーズ社は昨年12月、腸管出血性大腸菌O(オー)111に汚染された肉を卸したとして、大和屋商店(東京都板橋区)に約3億円の損害賠償を求める調停を東京簡裁に申し立てている.
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