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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

『300万円で起業する、ゼロからの集客法』 神田昌典

2006年10月25日 | Audiobook


『300万円で起業する、ゼロからの集客法』というオーディオセミナーを初めて聴いたのは、もう半年以上前になります。話し手は経営コンサルタントの神田昌典さんで、神田さん自身がゼロから起業するためのノウハウを語っています。

このCDを聴こうと思ったのは、神田さんのCDセミナーは聴いたことがあるけれど、それは神田さんが誰かにインタビューするもので、神田さん自身のインタビューを聴いたことがなかったので、一度聴いてみたいなぁと思ったからでした。

神田さん自身の起業体験については、これまでも『非常識な成功法則』『60分間・企業ダントツ化プロジェクト 顧客感情をベースにした戦略構築法』『成功者の告白』、そして『あなたの会社が90日で儲かる!』、などで語られていましたし、このCDの内容もそれらの本と重複する部分が少なくありません。

それは逆に言えば、彼が「企業ではこれだけが絶対に重要」と考えていることは、かなりシンプルに原則化できるということなのでしょう。

とりわけ神田さんがいつも口を酸っぱくして強調するのが、「粗利」の計算の重要性。まるで、一つの商品につきどれだけ粗利を得られるかを考えなければ、ロマンを追い求めることはできても、ビジネスは成り立たないと言っているようです。

例えば、単純に考えると、商売と言うと“モノ”を売ろうと考えてしまいます。しかし、例えば千円の“モノ”を売るとき、一ヶ月の生活費を30万円として、一体何個売らなければならないか。要するに、30万円の粗利を得るには、千円のモノは何個売る必要があるのか。

粗利を半分としてみます。60万円の売り上げを月に上げるには、60万÷1000=600です。

素人が一人でビジネスを初めて、一ヶ月で千円のものを600個売るというのは、ビジネスについて知らない僕には、とても大変なことなんじゃないかと思えます。一日20個の売り上げが必要です。

しかも、生活費30万と言っても、そこから諸経費や宣伝費を引くと一体どれだけ手元に残るでしょう。その残った金額で、例えば家族を養っていけるでしょうか。

こう見ると、粗利半分というのは、ベンチャーにとってとてもきついことがわります。また、“モノ”を扱うことの大変さも分かります。

“モノ”を扱うことがビジネスとして成り立ちやすかったのは、“モノ”が昔は不足していたからなのでしょう。しかし“モノ”が溢れている現代では、他との差異をそのものがもっているかが重要になります。また、家族を養えるほどの利益を上げるには粗利を相当高く設定する必要があります。原価千円のものだと、価格を1万円にするひつようがあるかもしれません。1万円のものを月に何十個も売ることは、宣伝費なども考えると、ベンチャーには大変なことに思えます。

それゆえに、神田さんは安易に“モノ”を扱うビジネスには手を出さないことをいろいろなところで強調します。自分の熱い思い入れがあり、他とは違うモノを提供できる自信があり、かつ粗利を高く設定できるものならばビジネスとして成り立ちえます。しかし、普段から身の周りに溢れている安価な生活品などでは、それらは既存の企業がすでに市場を押さえているので、十分な粗利を得るほどの価格を設定することは困難です。

こうした考察から、神田さんは、こういうモノが溢れている時代だからこそ、自分の仕事(には限られないでしょうが)などでの経験を“知識”としてパッケージ化して売ることを提唱します。それであれば原価はただみたいなものですし、“知識”という不確定さのゆえに、その“固有さ”“特別性”をアピールしやすく、十分な粗利を得られるだけの価格を設定しやすいからです。

ただ同時に、その不確定さゆえに、“知識”を売るさいには、売る人自身の誠意が消費者によって試されます。

“知識”は、それが役に立つかどうかは、モノ以上に、それを買った人の使い方に左右されます。つまり、その“知識”自身が本物かどうかは、明確に確かめることは難しく、それだけにお客がその知識に納得するかどうかは、その知識を使った結果と同時に、それを売る側の態度・誠意にかかってきます。

そうした際に、神田さんがどういう行動をとったか、それは実際にCDを聴いてくだされば、神田さんの言いたいことがよく分かるのではないかと思います。またこの問題は、神田昌典さんと本田健さんの対談『小冊子を100万部配った、革命的口コミ術とは?』も合わせて聴くと、より興味深いものになると思います。

『300万円で起業する、ゼロからの集客法』は神田さんのかなりパーソナルな体験を語っているので、もちろんすべての人に当てはまることはないと思います。ただそれでも、ベンチャーを志す人が多い中で、気をつけておくべき点については、直截に述べられているのではないかと思います。

このCDでビジネスというものが全部分かるわけではもちろんないでしょうが、ビジネスというものの仕組みの一端が分かって興味深かったです。

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