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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

生産性とは何か 『小冊子を100万部配った、革命的口コミ術とは?』本田健(話し手)

2006年02月05日 | Audiobook
本田健さんは自分の会社『アイウエオフィス』を作るときに、「社員の人たちが、世界で一番この会社で働きたい、そんな会社にしよう」と想ったそうです(『小冊子を100万部配った、革命的口コミ術とは?』)。

この言葉はとてもシンプルだけど、でも今まで聴いたことがない言葉のように思えます。

「(世界で一番)お金をたくさん稼げる会社にしよう」と考えて経営者になる人は多いと思います。でも本田さんは、社員がその会社で働いて一番幸せになれるような、そんな会社をつくりたいと考えました。

これはすごいパラダイム転換ですね。「どうすればお金を稼ぐことができる会社を造れるか?」から、「どうすれば社員が幸せになれる会社を作れるか?」を模索するわけですから。

それは、普通の会社を、「ボタンが最初からかけちがって最後までとめてしまったシャツ」とみなすようなものだと思います。「世界で一番社員が幸せな会社」とは、ちゃんとボタンをかけているシャツのようなものです。すべてが「それをすることは社員は幸せか?」から組織を構成することになる。

おそらく、「世界で一番社員が幸せな会社」は、お金を稼ぐことができない会社とは違うのだと思います。

 ・社員を幸せにする会社の営業スタイルは?

 ・社員を幸せにする人事システムは?

 ・社員を幸せにする仕事の割り振りは?

 ・社員を幸せにする勤務時間は?

 ・社員を幸せにする仕事内容は?

 ・社員を幸せにする職場の雰囲気は?

etc・・・

既存の企業の体制を、こうした問いで眺めてみたら、一体どれだけの改善が必要なのでしょう。

例えば本田さんの会社では、部長とか課長とか、ヒエラルヒーを作る肩書きが一切存在せず、「感情的にフラット」なチームを作るよう心がけているそうです。また新しい人を迎え入れる際にも、すべての社員がその人をみて判断してから受け入れるので、新しい人も「自分はこの場で受け入れられている」と最初から感じて仕事ができるそうです。

本田さんの会社は10人以内だそうなので、だから可能だと言うこともできますが、本田さん自身は、最初から10人以内の会社にしようと考えていたみたいです。

『ザ・ゴール 企業の究極の目的は何か』では、利益を生み出すという観点から工場生産を見直したときに、各ラインで作業を効率化させようとしたことが、結果的に全体のバランスを崩して生産スピードを遅くさせ在庫部品を増やしていく過程が明らかにされていました。

またその際に、社員を馬車馬のように働かせて怠業を防ぎ、休む間のある社員もまた別の仕事を割り振ってつねに社員を働かせねばならないという考えが、決して利益にはつながらないことを工場長は悟るようになります。

重要なのは利益を生むことであり、「一生懸命」効率性を追求することとは違うということです。

ただこの本の面白さは、この工場の再生の過程が、工場長の家庭崩壊の危機とシンクロさせて描かれていることです。(このあたりのシンクロ具合は、この書籍のオーディオ版“The Goal: A Process of Ongoing Improvement”の方がよく感じ取れます)工場長は、働き過ぎで妻が家を出て行くことを経験し、そもそも自分はなぜ結婚し、なぜ働いているのか?と自問することになります。

書籍ではこれらの問いには明確には答えていなかったと想うのですが、単に利益を生むことだけではなく、人生にとって企業とは何かという問題を著者が考えていたことが窺えます。

無業問題、引きこもり、学校でのイジメ、家庭崩壊、等等いろいろな問題がある中で、私は、現在の社会は、企業でも役所でも、こうしたパラダイム転換をする勇気を持たない限りは、現在の社会が大きくよくなることはないのだと予想しています。

涼風


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