パンキュッシュな白昼夢

フィクションとノンフィクションの狭間を行き交う白昼夢。

現代版『自虐の詩』。今宵…あなたは目撃者になる!

月夜の浜辺。言葉の魅力

2017-05-01 21:00:40 | コラム

5月1日。

語彙(ごい)の日。

つまり、

ボキャブラリーの日だ。

こんなクソつまんない語呂合わせは嫌いだけど、

やっぱり、

僕は言葉が好きなんで、

言葉に対する思い書きたい。

 

 

 

月夜の晩に ボタンが一つ

波打際に 落ちていた。


それを拾って、役立てようと

僕は思ったわけでもないが

なぜだかそれを捨てるに忍びず

僕はそれを、袂(たもと)に入れた。


月夜の晩に、ボタンが一つ

波打際に、落ちていた。


それを拾って、役立てようと

僕は思ったわけでもないが


月に向かってそれは放れず


波に向かってそれは放れず


僕はそれを、袂に入れた。


月夜の晩に、拾ったボタンは

指先に沁み、心に沁みた。


月夜の晩に、拾ったボタンは

どうしてそれが、捨てられようか。



中原中也の『月夜の浜辺』だ。




ずっと前のことだけど、

この詩の世界に引きずりこまれるような出来事があった。

月夜の九十九里浜を散歩していると、

波打ち際に、コルクでしっかりと栓をされた、

透明の小瓶が打ち上げられていた。

手に取ると、中に紙が入ってるのがわかった。

その紙を取り出して見ると…


『王子様へ

あん 19歳

エステティシャン

090-○○○○-××××』


と書かれていた。


これってなんだろうね?

ロマンティックな乙女の夢物語なのかな?

それとも…

新手の詐欺の布石なのかな?

 

マトモに考えれば、

こんな効率の悪い詐欺があるわけないから。

やっぱり可愛らしい女の子の夢想なんだろうと思う。

すっごい気になったからさ、

よっぽど電話しようと思ったけれど、

結局、しなかった。

と、言うのは…

僕は『エステティシャン』という職業に、

危険なくらいにキラキラな憧れを抱いてるからだ。

『エステティシャン』って甘くて妖美な響きしない?

小悪魔的な微笑みで、汚れきった僕のすべてを揉みほぐしてしてくれそうだもん。

もし、詐欺のたぐいだとわかったとしても…


「あなたの外見はわたしが磨くけど、

わたしの心はあなたが磨いてね」


なんて、口説かれたら、

無条件で腰が砕けて、

暗黒の恋に飛び込んで行きそうだからさ。

深入りするのはヤバいよな。

 



まぁ、僕が拾ったことによって…

「王子様に拾われる」

って…

 

彼女の夢が半分は叶ったわけだから、

コルクの栓を堅くして、海に返しておいた。

今度は、

ハゲじゃない王子様に拾われることを祈ってる。


てか…


「あなたの外見はわたしが磨くけど、

わたしの心はあなたが磨いてね」


と、書いてて、思ったんだけどさ、

職業別の鉄板口説き文句ってありそうじゃない?

ベタベタな例をあげると…

サッカー選手だったら、

「今日の試合は君のためにゴールを決める」

とか、

ミュージシャンだったら、

「今日の三曲目は、お前のために唄うから」

とかね。


電車の車掌さんが、デート中に、例の鼻にかかった声で、

「次はぁ~ラブホテル。ラブホテル」

なんて言ったら、

鉄子(鉄道マニアの女の子)ちゃんだったら、

すぐ堕ちそうじゃね?

 

モテない男の幻想なの?




他の職業もあるんだろうな。


医者。


「僕の病気は君にしか治せない。

やっかいな…

恋患いなんだ」。



警察官。


「君に出会ってから…

スピード違反するほど…

恋が加速していく」。




消防士。


「火事は消すけど…

恋の炎は消さないぜ」



自衛官。


「日本のために死ねる。

けど、

お前のために絶対に死なない」


 

銀行員。


「貯金?

するなら、

お前の心に思い出を残したい」


 

料理人。


「あなたみたいな最高の素材は…

料理できない。

そのままが美しいから」


 

タクシー運転手。


「君に、人生のナビをしてもらいたいんだ」


 

電気量販店の店員。


「君に対する、心の安売りは絶対にしないんだ」


 

画家。


「人生のキャンバスには…

あなただけしか描きたくない」



大食いファイター。


「あなたを想うと、胸がいっぱいで…

丼三杯しか飯が食えない」

 

芸人。


「お前をストマックに愛す。

せつこ、それ、ストマックやない。

ストイックや」

 

とかさ。

 


絶対、言ってそうだよね。

 

でも、

やっぱり…

中也みたいな詩人やコピーライターの言葉にはかなわないんだろうなぁ。



「僕は言葉の世界に生きてる。

けどね、

お前に対する愛を、

言葉に出来ない

言葉は気持ちに足りないんだ」



とか、言いそうじゃね?

 

ぶん殴りたくなるけど、

詩人やコピーライターやミュージシャンは言ってそうだよな。



つーか、

僕が真剣に好きな人に

愛を伝えるなら、なんて言うんだろ?

 

多分…

 

『好きだよ、

すげえ好きなんだ。

ずっと一緒にいてくれよ』

 

としか言えない。

 

誠実に嘘のない言葉で、

愛を伝えることしか出来ない。

 

こんなんじゃ、

女性にモテるわけないよな。

 

必死か!って感じだろ?

 

やっぱり、

月明りのような淡くて優しい言葉を紡ぐ男がモテるんだよな。




でもさ、

でもさ、

負け惜しみだけど…

どんな言葉より、

無口な相撲取りの、


『がぶり寄りからの

上手投げキッス』

 

的な、流れるような連続技が一番パンチがあるような気がする。

僕は、

是が非でも遠慮させていただきますけど。

 

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
自分では思い浮かばないから (ヒソカ)
2017-05-01 21:19:10
もし君とすれ違ってしまったら、全世界とすれ違うことになる。
こんな人生ってあるか。俺が愛しているのは君なんだ。

真面目だけど
好きな映画のセリフです。
「汚れた血」

あの主人公が言ったから良かったんだと思うけど。
ヒソカさん (ロットン)
2017-05-01 21:35:54
あぁ。
「汚れた血」
僕も見ました。
ビデオで(笑)←時代でしょ^^

フランス映画ですよね?
このセリフまでは憶えてなかった。
もし間違ってたらごめんなさい。

もう一回見てみよう。
DVDでね^^


僕はやっぱりブルース・リーのこれです。

Don't think, feel.(考えるな、感じろ)

もちもんリアルタイムで見てないけど。
あたしもビデオでした。 (ヒソカ)
2017-05-01 21:43:13
そうそうフランス映画ですよ。
ポンヌフの恋人とかの。

ブルース・リーのそのセリフ
あたしも好きです!
かっこよかったよねー。
面白かった~ (おにゆり)
2017-05-01 22:50:39
久しぶりに来てやっぱ、楽しいや。
ニヤニヤしちゃった。

告白される時は真っ直ぐでストレートな方がいいなぁ。


ヒソカさん (ロットン)
2017-05-05 10:07:36
昨日、
燃えよドラゴンを見てしまいました^^

ブルース・リーはカッコいいっすね。
思わず、筋トレしてしまいました笑
おにちゃん (ロットン)
2017-05-05 10:08:27
おぉ。
久しぶり、ありがとね。
コメントうれしいよ^^

また来てよ。
俺も行きます^^
Unknown (肋骨)
2023-10-17 18:56:29
やはり路上駐車はいけません。近所の迷惑。道路交通法違反。駐車場を借りましょ。

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