日常

映画「クラウド アトラス」

2013-11-29 08:52:46 | 映画
チラホラとよい前評判を聞いていた「クラウド アトラス」。
とんでもなく面白かったー。
自分の中で今年1番の映画!面白すぎる。3時間くらいあったけど一気に見て瞳孔ひらきまくった。


手塚先生の「火の鳥」を同時読みしてる感じを彷彿とさせました。



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『マトリックス』3部作のウォシャウスキー監督
トム・ハンクス&ハル・ベリー主演で贈る新感覚SF超大作!
過去から未来へ。
500年の時を超え、受け継がれる意志が革命を起こす。

<STORY>
主人公は、6つの時代と場所で、6つの人生を生きる男。その人生は悪人で始まるが、様々な数奇な経験を経て、ついには世界を救うまでに魂が成長していく男の物語だ。2度のアカデミー賞に輝く名優トム・ハンクスが、これまでのキャリアのすべてを注ぎ、次第に変化していくキャラクターを演じ切った。
舞台は、19世紀から24世紀。過去・現在・未来にまたがる500年の間の6つのエピソードが、一見アトランダムな流れに見えて、実はシーンからシーンへのつなぎの一つ一つが完璧に計算された、圧倒的な映像で描かれていく。
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名作マトリックスの時はウォシャウスキー兄弟だったのが、弟さんが性転換したということで、今回の「クラウドアトラス」からはウォシャウスキー<姉弟>になっているというおまけつき。






この映画のベースにあるのは輪廻転生(reincarnation)。
転生には性別や時代や人種にも関係がないようだ。

僕らの些細な色んな行為は、親切でも悪でも、未来や過去へと同時に複雑に影響しあっているということ。
6つの時代のパラレルワールド。


原因や結果。過去・現在・未来。
それは単純な直線関係ではないようだ。人間の脳の働きの癖でそう理解しやすいだけにすぎなくて。

すべては今、同時的に起こっている。頭(理性)で把握する時に直線関係で因果や時間の流れを直線的に並べてしまうだけだろう。「時間」は一つの概念でありコンセプトだ。


輪廻転生(reincarnation)のイメージとしては、複数のスクリーンを映画館で同時に上映していることと似ている。
映画のフィルムを伸ばして、そのすべてのコマを同時にみているのに似ている。
時間を糸とすると、糸が入り乱れた糸玉全体を見ているイメージ。



この映画を見ると、自分の些細な善行為は複雑な形で自分に善として返ってきて、自分の些細な悪行為(罪)は複雑な形で自分に悪として返ってきているのが分かる。
時間のスパンが長い(自分の別の人生へ影響を与えている場合は分かりにくい)から分かり行くいだけで。
自分が助けようとしている人は、過去自分が助けられた人かもしれない。
自分を助けてくれた人は、過去自分が助けた人かもしれない。

そして、どんな人でも過去生で悪人や犯罪者を経験しているらしい。記憶を失っているだけで「自分」はあらゆる立場を経験している。そう考えると、犯罪者への眼差しも少し変わる。



ちょっとした勇気や意思の力で、何かしらの善を個人がもたらすことが、全体としての善につながっているようだ。
もちろん、善悪というのは小さいスパンで考えるのではなくて、長い長いスパンで考えたほうがいいみたい。ほんの数十年のスパンで考えるのは適切ではないようだ。少なくとも数世代のスパンで。インディアンも3世代先のことを見越しながら日々行為している。

「雲の地図(クラウド・アトラス)」や星の地図を見ながら。自然の壮大な因果を思いつつ、自分の行為が波紋を呼びながら及ぼす影響を考えることが大事だろう。

全ての事は自分に返ってくる。
与えているものを僕らは受け取っているのだ、ということを感じる。



クローン人間であるソンミ451(最終的にはソンミ崇拝のシンボルとなり予言書となる)の言葉は最後に。

ソンミ451が働いていたお店でもクラウドアトラス6重奏がかかってましたね。
6重奏の6は6つの転生のシンボル?

1849年の南太平洋諸島の航海記を、クラウドアトラス6重奏の作曲家(1936年のスコットランド)が愛読して、その恋人のシックススミスは転生(1973年 サンフランシスコ)して原発爆破の陰謀を阻止するよう命を捨てて行動する。そのときのジャーナリストの女性の深い記憶の底に残っているのはクラウドアトラス6重奏のメロディーで、その作曲に関わったお城は、後に老人ホームとなり、そこでは元編集者の老人が虐待される(2012年のロンドン)。ただその虐待からの逃亡劇、後に映画化され、それを2144年のネオ・ソウルでクローン人間となり転生したソンミ451は涙する。地球は崩壊して、地球人は再度原始的な生活に戻る。その2321年ハワイではソンミ451は預言者であり神として崇められている。
・・・・・

これ以外にも様々なプロットでそれぞれの登場人物が姿かたちを変えながら登場している。もう一度見ると、おそらくそのつながりにまた気付きそう。




現在の地球の現代文明の前に超古代文明が存在していて、アトランティス大陸やレムリア文明も崩壊したとか・・・。
(→アトランティス大陸(2013-05-07)
そういう話も重ね合わせながら堪能した。
やはり芸術の力はすごいものだ。色んなメッセージが埋め込まれているようで。

アトランティス大陸も高度に発達した文明におごり高ぶって自滅したとされているし、地球も近い状況だと思う。
最近の原発事故や戦争や経済活動のことを考えると、暴走していると思う。
同じような歴史を繰り返さないため、同じ失敗を踏まないためにも、こういう映画も含めたありとあらゆるものを教材として学ばないといけないと思いますね。






いやはや。
素晴らしい映画でした!
いまだに余韻が・・・。

特にこの映画で出てくる未来像のイメージはすごかった。クローン人間とか奴隷の概念とか・・。
それもすべて人間の業(カルマ)なのか?(この辺りの表現でR15指定になっていると思う。)

ソンミ451の名前はベトナム戦争で民間人を虐殺した「ソンミ村虐殺事件」から来ていると思う。
あと、ソンミのシーンで出てきた「ソープ」という衝撃的なものも、強制収容所での「人間石鹸」という都市伝説から来ていると思う。

人間はどこまでも非人道的なことも想像できるし実行するのも実行しないのも人間の意思次第だ。意思の力で世界はパラレルワールドに枝分かれしている。人類は善にも悪にも進みうる自由意志を与えられている。自由とはそういう諸刃の剣でもある。諸刃の剣は使い方次第だ。どちらの面を使うのか。
人類の善も悪もすべて受け止めて前へ進む覚悟が必要だろう。歴史とはそういうものだ。



とにかく見てほしい!超絶お薦め!!


DVDを買って誰かにプレゼントしようかな、と思ったら、ブルーレイ&DVDセットの1800円(定価3980円)が出てる。なぜだかDVD単品の発売は来年。。。
この映画は配って回って宣伝したいDVDだわー。感動!

●映画『クラウド アトラス』 予告編【HD】



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フロビシャー「クラウド アトラス」より

「騒音と音楽の垣根など単なる幻想だ。
 必ず超えることができる」

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ソンミ451 「クラウド アトラス」より

Our lives are not our own.
From womb to tomb,
we are bound to others.
Past and present.
And by each crime and every kindness,
we birth our future.

命は自分のものではない
子宮から墓まで
人は他者とつながる
過去も現在も
すべての罪が
あらゆる善意が
未来を作る
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4 コメント

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激しく同感! (まーこ)
2013-11-30 07:51:54
わかります~!
私も先月観てぶっ飛んで、周りの友達や先生に「観るべし!観るべし!」と、DVD貸し出しまくっています。
思い出しますよね、火の鳥。布教したくなりますよね、ソンミ教。
(ソンミの英語ってうつる!時々、1人でソンミごっこして遊んでしまう。不気味~・爆)

小さな意志(良くも悪くも)が枠も時間も超えて世界を変える。みんなで一つの大きな絵を、海を創る。
今を生きる人の、個人の意識と集団としての状況を、すご腕の板前さんが刺身にした感じ。
現実以上にリアルに感じました。
観ている間、ブルーハーツの『情熱の薔薇』の、「涙はそこからやってくる 心のずっと奥のほう」から、ずっと涙が流れてた。ミクロもマクロも入ってて、愛と希望と勇気が炸裂。

ホントにいいもん観た。今年の象徴として心に「クラウド・アトラス塔」を建てました。
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思いや行為 (いなば)
2013-12-01 08:36:49
>>まーこさん
やっぱりまーこさん見てましたか!!嬉しい~。
あれ、すんごく面白いですよねー。

どれだけ評価高いんだろうと思って映画のレビュー見てみたら、


米TIME誌の「Top 10 Everything of 2012」でワースト映画1位だったらしい・・・
http://www.tvgroove.com/news/article/ctg/1/nid/9312.html

TIME【2012年のワースト映画トップ10】

1位 「クラウド アトラス」
2位 「ジョン・カーター」
3位 「Hyde Park On Hudson」
4位 「リンカーン/秘密の書」
5位 「Black & White/ブラック & ホワイト」
6位 「ロラックスおじさんの秘密の種」
7位 「Alex Cross」
8位 「恋愛だけじゃダメかしら?」
9位 「The Odd Life Of Timothy Green」
10位 「One For The Money」

アメリカ人はどんだけ感受性ないんだーと思った。
やっぱりキリスト教的な世界観の考えは根強いんだろうなー。
天国と地獄の2元論。最後の審判・・・・・

やはり、死の概念が変わる時が医療が変わる時なのかな、とも思いますね。その辺は複雑に連動してそう。

この前も、たけしのアンビリーバボーで「独占取材!脳外科権威が発表★死後の世界はあった」ってのをやってましたが。
脳神経外科の世界的権威、エベン・アレクサンダー医師自身が臨死体験をして、その本の内容をテレビにしたもの。
http://www.fujitv.co.jp/unb/contents/131128_1.html

こういう話も一般的になるのかなぁー。


ソンミの英語ってうつるって話を聴いて、ソンミの言葉をブログにも追加しときましたよー。

ソンミ451 

Our lives are not our own.
From womb to tomb,
we are bound to others.
Past and present.
And by each crime and every kindness,
we birth our future.



小さな意志が様々な影響を与えているんですよね。
だからこそ日々の思いも行為も大事なわけで。
ブッダの八正道もまさにそういうことで。
「苦」を滅する八つの正しい道。「正しい」とは「真理に合った」・「調和のとれた」考えや見方や行動のこと。小我(自我、自分本意)ではないもの。中道。その時々の最善の見方や考え方。

1:正見:とらわれなくありのまま見ること。
2:正思惟:自己本位にかたよららず考え、評価すること。
3:正語:正しい言葉を使うこと。
4:正行(正業):正しい行いをすること。
5:正命:規則正しい生活をすること。人の迷惑になることや世のためにならないことをやめること。
6:正精進:正しい努力をすること。
7:正念:真理にあった心と目標を持つこと。
8:正定:心を正しく安定させ、心を安らかにすること。



本当にいい映画でしたねー。
アメリカではワースト映画になってるのが衝撃でもありますが、こういうのも振り子は大きく振れるもので、価値観が反転するのかもしれないですが。。



映画の話をしていて、時々「映画っていうのは娯楽で何も考えずに見るのが最高なんであって、意味のないアクションとかコメディーとかが最高だー」って言う人もいますよね。そういう人には、こういう複雑にからみあった映画は嫌われるみたい。でも、それってなんだか考える事を放棄しちゃったんじゃないかと思って残念でもあるんですよね。考える事を放棄すると、容易に洗脳されますから。マスコミから政治から・・自分に都合のいいようにコントロールしたがって、洗脳したがる人が多い・・・。経済も洗脳して不必要な物を消費させる、、、という不可思議なルールで回転していたりしますしね。
村上春樹さんなら、やれやれ、というところです。(^^;


それはともかく。いい映画はいい!いいものはいい!と自分は自信持って言えます~。共感してくれて嬉しいです!
返信する
金曜の夜に (usako)
2014-01-19 22:23:10
こんにちは。
今更なのですが、先々週金曜にぐったりしてもう何もしたくない!って時に、ふと購入したままになってたこの映画DVDが目に入って、観てみました。

あっという間!
釘付けでした。面白いですね。SF好きなのでたまんないです。構成面でインセプションを思い出したり、コンセプトで攻殻機動隊を連想したり。いくつものストーリーが複雑に絡み合うので、気づいたら結構集中してみてました。何回も観たいですね、長いのでなかなか時間とれないけど。いろんなものの境界線がなくなっていくんでしょうね。そういえば、遺伝子に記憶があるって分かってきたり、その辺はシータヒーリングの理論に科学が追いつきつつあるのかなと思ったりするのですけれど、あ、そうそう昨日NHK BSでやってた「超常現象」って番組も、人の意思が量子に影響するという話で、今の時点で証明できないからといってそれは「ない」「うそ」ということにならないだなと改めて思ったのでした。自分の意識、周りの意識に耳を澄ませていたいです。

書き散らした感じですが、あの、来週のレクチャーも申し込みました、楽しみにしてます。
今年もどうぞよろしく。
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嬉しい! (いなば)
2014-01-19 23:55:11
>usakoさん
いやはや、よろこんでもらえてうれしい!!!
自分もこの映画は大の大のお奨めですよ。
というか、映画のすごさを痛感したというか。
最近、別に映画じゃなくてもいいんじゃないかとか、10分くらいでいいんじゃないか、という映画に出会うことがおおかったんですが、かぐや姫しかり。クラウドアトラスしかり、本当に熱いクリエーターはすごいですねー。


いろんな善意も悪意も、すべてが未来に影響を与えて世界を枝分かれしていると思うと、日々ちょっとしたいいことでも積極的にしていきたいな、と思うようになりました。妙な道徳映画より、こういう映画の方がしっくりくるもので・・。


この監督もかなり日本のアニメ大好きみたいですし、かなり影響受けてるみたいですね。それもあって、日本人にはとっくみやすいのかもしれない。


NHK BSでやってた「超常現象」って番組、見てませんが、まあだいたいNHKのまとめ方っていうのは予想できる気がします。。。でも、なんとかこういう番組を作りたい!と思ってディレクターの意志は尊重しますよね。
自分の友人のディレクターにも、ヒーリング関係のNHK番組作れば面白いのにーと時々言ってますが、なかなか動いてくれない。笑 

来週のNOTHのレクチャー、来てくれるんですねー。うれしいです。
なんだかすぐに満員になって締め切ったみたいで、土曜が来れない人には申し訳ない感じ。精一杯頑張りますのでよろしく。帰るときには意識が裏返って帰ってもらえるよう頑張ります。(^^;

今年もよろしく!


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ソンミ451 「クラウド アトラス」より

Our lives are not our own.
From womb to tomb,
we are bound to others.
Past and present.
And by each crime and every kindness,
we birth our future.

命は自分のものではない
子宮から墓まで
人は他者とつながる
過去も現在も
すべての罪が
あらゆる善意が
未来を作る
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