榎本俊二の「ムーたち」という漫画がある。
これはスゴイ。
どんだけスゴイかと言うと、スゴクないと言わない人がいないと思わない人がいないくらい、スゴクないの反対くらいスゴイ。
この言い回しは、明らかにこの漫画の影響受けてます。読んでない人には意味不明でスミマセン。
この漫画の根底に流れる、徹底的に言葉を解体しまくる言葉遊びはすごい。
ちなみに、Amazonでの紹介文もこんな感じでよくわからん。
*************************
実+空子(そらこ)+ムー夫=虚山家(むなやまけ)
ウ◎コチ◎コマ◎コをとりあえず卒業した作者が
家族の日常を通して「世界のしくみ」をじっくり探求
親子、夫婦、学校、幽霊、風景、数字、名前、偉人伝、フグ、誕生日、
スポーツ、芋掘り、ジンクス、小咄、セカンド自分、事故、危機管理etc.
毎日をおだやかにまったりと生きるヒントが満載です
ゴッド・ブレス・ユー
*************************
じっくり噛み締めるほどに、生きているシアワセが実感できる
ハッピーでチャーミングな口当たり
エログロは一切抜いてありますので
ご家族でほがらかにお読みいただけます
装丁は大忙しのデザインユニット[スープ・デザイン]
なにからなにまでチャーミングです
ゴッド・ブレス・ユー
*************************
主人公のむなやまむーお(嘘山嘘夫)のお父さんは嘘山実(むなやまみのる)と言いますが、コマごとで顔が全て違います。でも、マンガの中での立ち位置や流れ、そういうなんとなくの関係性でお父さんというのが分かる。読み終わって、顔が一定してないことに今気づいたくらいだから、読んでいるときはそれ以上に不可解な世界観の影響受けて、そんな細かいことにはほとんど気づきません笑。
自分を冷静に見るセカンド自分、それを見つめるサード自分というのが出てきて、意識を分配していくとセカンド自分が出てくるとか、セカンド自分が忘我の境地になるとサード自分が出てくるとか。考えて描いているのか、考えないで描いているのか、考えないし描いていないのか・・(あ、またこの漫画の世界に影響受けた)。
榎本俊二と言う人は、吉田戦車(←普及の名作「伝染るんです」)の不条理ギャグの世界を、更によくわからん領域に連れて行って、良く分からんままにもう一層不条理でコーティングしたような世界観です。
榎本俊二の「ゴールデンラッキー」「反逆ののろし」「えの素」も相当にすごい世界だったけど、この「ムーたち」は輪をかけてスゴイ。
漫画ってどこまで行っちゃうんだろうか。哲学とか宗教とかを超えちゃうんじゃないだろうかと、ふと怖くなるときがある。笑
しりあがり寿の「弥次喜多 in DEEP」(←第5回手塚治虫文化賞のマンガ優秀賞を受賞している)を読んだときも、漫画表現の極限まで行ったように思ったし、「分かる」「分からない」の極限まで行ったと思ってたけど、あそこは極限じゃなかったのね。
榎本俊二は、言語とかイメージの世界を完全に解体して、途方もない逆の世界から、逆立ちしながら漫画描いているって気がする。
とにかく、すごい漫画なので脳がどんどん侵食されていきます。(笑)
それなりに強靭な脳を持つ人じゃないと何が何だか分からなくなるのでご注意ください。この世界がほんとにあるのか、ないこともないのか、あると言えばあるし、ないと言えばないのか、そんな感じになってくること間違いありません。
「意味」「存在」「理論」「イメージ」「言葉」「意識」・・・・色んな概念そのものを解体してくる恐るべき漫画です。
子供のとき読んだらトラウマになるだろうなぁ。でも、きっと面白い大人になるとも言える。
ちなみに、芥川賞とった川上未映子さんも榎本漫画のファンらしい。確かに、「わたくし率 イン 歯ー、または世界」「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」とか読むと、よくわかる。あ、新作の「ヘヴン」はまだ読んでない。あ、脱線。
いやぁ、マンガって果てしなく進化してる。あっぱれ。
今度お会いする人にはお貸しします。
ゴッド・ブレス・ユー。
これはスゴイ。
どんだけスゴイかと言うと、スゴクないと言わない人がいないと思わない人がいないくらい、スゴクないの反対くらいスゴイ。
この言い回しは、明らかにこの漫画の影響受けてます。読んでない人には意味不明でスミマセン。
この漫画の根底に流れる、徹底的に言葉を解体しまくる言葉遊びはすごい。
ちなみに、Amazonでの紹介文もこんな感じでよくわからん。
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実+空子(そらこ)+ムー夫=虚山家(むなやまけ)
ウ◎コチ◎コマ◎コをとりあえず卒業した作者が
家族の日常を通して「世界のしくみ」をじっくり探求
親子、夫婦、学校、幽霊、風景、数字、名前、偉人伝、フグ、誕生日、
スポーツ、芋掘り、ジンクス、小咄、セカンド自分、事故、危機管理etc.
毎日をおだやかにまったりと生きるヒントが満載です
ゴッド・ブレス・ユー
*************************
じっくり噛み締めるほどに、生きているシアワセが実感できる
ハッピーでチャーミングな口当たり
エログロは一切抜いてありますので
ご家族でほがらかにお読みいただけます
装丁は大忙しのデザインユニット[スープ・デザイン]
なにからなにまでチャーミングです
ゴッド・ブレス・ユー
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主人公のむなやまむーお(嘘山嘘夫)のお父さんは嘘山実(むなやまみのる)と言いますが、コマごとで顔が全て違います。でも、マンガの中での立ち位置や流れ、そういうなんとなくの関係性でお父さんというのが分かる。読み終わって、顔が一定してないことに今気づいたくらいだから、読んでいるときはそれ以上に不可解な世界観の影響受けて、そんな細かいことにはほとんど気づきません笑。
自分を冷静に見るセカンド自分、それを見つめるサード自分というのが出てきて、意識を分配していくとセカンド自分が出てくるとか、セカンド自分が忘我の境地になるとサード自分が出てくるとか。考えて描いているのか、考えないで描いているのか、考えないし描いていないのか・・(あ、またこの漫画の世界に影響受けた)。
榎本俊二と言う人は、吉田戦車(←普及の名作「伝染るんです」)の不条理ギャグの世界を、更によくわからん領域に連れて行って、良く分からんままにもう一層不条理でコーティングしたような世界観です。
榎本俊二の「ゴールデンラッキー」「反逆ののろし」「えの素」も相当にすごい世界だったけど、この「ムーたち」は輪をかけてスゴイ。
漫画ってどこまで行っちゃうんだろうか。哲学とか宗教とかを超えちゃうんじゃないだろうかと、ふと怖くなるときがある。笑
しりあがり寿の「弥次喜多 in DEEP」(←第5回手塚治虫文化賞のマンガ優秀賞を受賞している)を読んだときも、漫画表現の極限まで行ったように思ったし、「分かる」「分からない」の極限まで行ったと思ってたけど、あそこは極限じゃなかったのね。
榎本俊二は、言語とかイメージの世界を完全に解体して、途方もない逆の世界から、逆立ちしながら漫画描いているって気がする。
とにかく、すごい漫画なので脳がどんどん侵食されていきます。(笑)
それなりに強靭な脳を持つ人じゃないと何が何だか分からなくなるのでご注意ください。この世界がほんとにあるのか、ないこともないのか、あると言えばあるし、ないと言えばないのか、そんな感じになってくること間違いありません。
「意味」「存在」「理論」「イメージ」「言葉」「意識」・・・・色んな概念そのものを解体してくる恐るべき漫画です。
子供のとき読んだらトラウマになるだろうなぁ。でも、きっと面白い大人になるとも言える。
ちなみに、芥川賞とった川上未映子さんも榎本漫画のファンらしい。確かに、「わたくし率 イン 歯ー、または世界」「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」とか読むと、よくわかる。あ、新作の「ヘヴン」はまだ読んでない。あ、脱線。
いやぁ、マンガって果てしなく進化してる。あっぱれ。
今度お会いする人にはお貸しします。
ゴッド・ブレス・ユー。
僕は「えの素」を読んだ時も「なんてロックな漫画なんだ・・・」と思ってましたが。えの素はそのあまりのあんまりさに、堂々と人に薦めるのがはばかられますが(笑、でも薦めたいんですよね)、ムーたちは薦めやすいですね。
この作者、新井秀樹と同様に今後どうなるのか楽しみな作家さんの一人ですよね。
ほんと、モーニングの編集長は偉大だよねー。
あの雑誌はどんどんすごい作品が生まれていく。場の力なのかなぁ。
「ムーたち」も、単行本で通して読むとまた感想違うと思いますよ。連続で呼んでると、本当に自分の常識的な意識の枠がどんどん解体されて恐ろしくなるので。笑
「えの素」とか、初期榎本作品はシモネタ満載だから、あまり女子にはお奨めできない。笑 でも、こっそり読んでほしい。それこそが漫画のよさなのです。大人にかくれながら読む感覚。
新井秀樹も、Rymくんに貸してもらった「ザ・ワールド・イズ・マイン」は面白かったねー。浪人中、寮の中に宮本君っていう3浪中の人がいて、その宮本君が「宮本から君へ」を愛読書にしてたから、「宮本から君へ」はよく読んでたけど、作品ごとに全然作風変わるし、本当に幅が広い。
この前御本人と会って話させてもらった森薫さんも、同じ年齢だけど本当にすごい。ビームで連載されていた「エマ」(←文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞)も、ヴィクトリア朝時代のイギリスを舞台にしていて、その背景にある知識や漫画表現はスゴイし、今『fellows!』(エンターブレイン)に連載している『乙嫁語り』も、19世紀の中央アジアが舞台だけど、当時の中央アジアの資料を探すためにアラビア語勉強したり、ありとあらゆる資料を入手していたりして、あのプロ魂は頭があがりません。しかも、大部分を一人で描いている稀有な漫画家さんだし。LaStradaさんが紹介していた、ここの漫画を描いている生の映像なんて度肝抜かれます。神降臨という感じです。
http://natalie.mu/comic/pp/otoyomegatari
いやぁ、日本の漫画は本当にすごい。(この人生で何度言ったかわからん)
西田幾多郎とか和辻哲郎しか、日本独自の哲学者が生まれなかったってよくいわれるけど、おそらく漫画家が哲学の領域を担ってると思うなー。
映像表現と言語表現で哲学してるってのは、はっきり言ってデカルトとかカントよりも先言ってる気がする!
ちなみに、最近は星野之宣ワールドにはまっております。
ちょっと、そこらの漫画の域を軽く超えちゃってて、非常になんというか、哲学的ですね。いや、哲学とか思想とかそういうものを超えているようにも見えます。
「わけわからな~い」ではすまされない何か、奥深さを感じずには居られません。
読んでいる間に、現象学が頭をよぎりました。
作者の榎本さん的には、きっとストーリーなんてはっきりいってどうでもよくて、自分の中でちょっと盛り上がるつぼみを発見したら主人公にその魂を乗せてドンドン漫画として書き進んでしまっているような感じがします。しかも、その盛り上がりはどうしても毎回発散する方向に進んでしまうために、『もう収拾つかない!』ってなるのを防ぐためにだけ、物語としての整合性を保つようになんとかまとめているようにも見えます。(まあ、実際あんまりまとまらないまま一話が終了するのだけど、漫画として読める程度にオチ的なもので終わっているので良識を感じる。)
自分的には、、、
授業での「山」の漢字練習中に自意識が何重にも分裂してどんどん妄想が膨張していく巻
と
歯医者さんで痛い部位を意識的にどんどん動かして行って、意識が無限に広がっていき他人にも侵入していく巻
がたまらなく面白かったし、あまりにも哲学的で恐れ入りました。
ふとしたコマで、お父さんが、もはや人間とは思えない形になっていたりと、芸が細かくて最高です。
かなり、自分的にツボです、この漫画。
ご紹介ありがとうございます!
そんなあなたに
ゴット・ブレス・ユー
読んでもらえてうれしい。
僕も漫画は浴びるほど読んでいますが、今年は星野之宣「ヤマタイカ」と並び、特に衝撃を受けた漫画なのです。
本当に、哲学とか思想とか宗教とか、その辺を振り切って先進んでますよね。
よく考えたら、お経も聖書も文字なわけだし、そこにビジュアルな絵が、相乗効果のような形で働けば、今までの文字文化を超えた世界観が表現できるはずなんですよね。
まさに、「漫画じゃないと表現できない世界を漫画で表現する」というものだと思う。
映画は、最近そこが欠けてるんじゃないかと思っちゃいますよね。
活字、マンガの原作を越えられない映画が多くて。
時代は全然違うけど、映画版「砂の女」は、安部公房とは違う領域で切り開いている映画だなぁって感動しましたけどね。
「わけわからな~い」では、ほんとすまされないものがある。本当に。
「違う」と「同じ」(「分からない」と「分かる」)の極限で交差したところを扱っている気がする。
漫画として、なんか全体的に整合性があるような気がするのが凄いんですよね。
世界観としては極限まで発散しているんだけど、何か最後のコマでは何かしらに収束したような気がしちゃいますし。
まあ、この辺は、もう読んでくださいとしか言いようがない世界観ですが、なんとか無理を承知で言葉で説明しようとすると、延々と周辺をグルグル回るような説明になってしまうのが悲しいところです。
『授業での「山」の漢字練習中に自意識が何重にも分裂してどんどん妄想が膨張していく巻』
→すごいよね。教室が山文字で切り取られていくとこなんてすごいし。
『歯医者さんで痛い部位を意識的にどんどん動かして行って、意識が無限に広がっていき他人にも侵入していく巻』
→ビルの地面に広がる様子を表現するのは、あれは活字じゃ無理ですよね。
是非、でかい本屋で見かけたら皆様も立ち読みOR購入してください。脳が浸食されていくので、数日は余韻が残ります。笑
子供の時読んだら、数か月はボーっしちゃうだろうなぁ。