urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

近藤史恵『Shelter』祥伝社文庫

2006年10月21日 | reading
ネタバレ一応注意。

なんだか最近、辛い読書が続くなあ。
整体師シリーズ。どうしてもこうもクソ正直なフェミニズム小説書いちゃうんだろう。坂木司かと思った。話的には『ガーデン』(大好き)と似てるけど、そっちにあった情念の凄みが皆無です。「(男の横暴によって)傷ついた女性たちが、理解ある男性の助けを借りて立ち直る話」です。アホか。
このしょうもなさ、この小松崎って何一つ魅力のない主人公にして視点人物のヌルいキャラ造型に負う部分も大きいと思う。ホントしょうもない。いじめだの性的虐待だのの取り入れ方も恐ろしく安直で、プロットの完成度は著しく低い(野崎六助の解説も作品じたいにはほとんど触れてねーなw)。ミステリとしての結構は一切放棄されている。
こうやって感想書いてくると、こないだ読んだ『天使はモップを持って』と重なる部分が多い気がしますね。大好きな作家だったけど、彼女の小説がこうした主題に軸足を移すのであれば、俺はもう読みません。『ガーデン』と『スタバトマーテル』の美しい思い出だけを抱いて死にます。あ、『桜姫』も。

作品の評価はD。

Shelter(シェルター)Shelter(シェルター)
近藤 史恵

祥伝社 2006-09
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