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折原一『天井男の奇想 倒錯のオブジェ』文春文庫

2006年05月05日 | reading
ネタバレ注意。

あかん…なんか「お父さんが書いた小説」って感じがする。古川の才気走った文章読んだ後だと特に。

《本当はあいつを愛していた。確かに俺はあいつを裏切ったかもしれないが、俺も男だ。女に誘われて断わらない男なんか、この世に存在しないだろう。》(364p)

って文章はいくら考えても意味がわからないけど、この他にも垢抜けない文章と歪んで虚構的な人物造型と心理描写が盛りだくさんで、折原という小説家の厭な味が全開になってしまっていますね…。「天井男」ってモチーフも常套だし。叙述トリックも収穫とは思えず。
黒星警部シリーズ(だっけ)みたいなバカっぽいノリの方が合ってると思います。

作品の評価はCマイナス。

天井男の奇想天井男の奇想
折原 一

文藝春秋 2006-03-10
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