さくらの大学ノート

さくらが日々想うことをつづります。
(旧だいがくしょくいんのたまご・ひよこ)

2013年開校予定の3大学の不認可

2012年11月03日 | ニュース
今日、大学関係者はこのニュースでもちきりでしたね。



田中文科相、3大学新設認めず…審議会答申覆す

 田中文部科学相は2日の閣議後記者会見で、文科相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が2013年度の開校を認可する答申を行った大学3校について、不認可としたことを明らかにした。

 大学の質の低下が進んでいるため、大学設置の認可を審査する審議会制度を抜本的に見直すという。田中文科相は「見直しを行う間は、大学の新設を認めない」としている。

 文科省によると、審議会の認可を大臣が覆すのは、過去30年では初めて。同省は3校に問題はないとしているが、3校は来春の開校ができない見通しになった。

 記者会見で田中文科相は、文科省が先月、ずさんな経営が続いた学校法人「堀越学園」(群馬県高崎市)への解散命令を決めたことに言及。「大学はたくさん作られてきたが、教育の質自体が低下している。そのために就職が不可能ということにもつながり、大学同士の競争の激化で、運営に問題も出ている」と述べた。

(2012年11月2日13時52分 読売新聞)



各新聞社、TV局等が報道していますが、私が最初に確認した記事がこちらでしたので、引用させていただきました。

また、大学関係者の方々、TwitterやFacebook等でさまざまなコメントもされており、共感するコメント目にしておりますが、私が感じたことをいくつか。


まず、今回の3大学が、田中大臣が「バリバリやるわよ!」という気合の表れとしての「見せしめ」のように使われ、不認可となったことに憤りを感じました。
3大学それぞれの設置申請の内容に不備があるというならいざ知らず、田中文科大臣のコメントにある「大学の数が多い」「教育の質低下」等々は、大学業界全体の課題ではあっても、直接3大学の不認可には結びつかないのです。
“たまたま”のタイミングで、不認可にされる道理はないのです。

まして、堀越学園のずさんな経営については、特別な、特殊なケースであり、定員割れを起こしているすべての大学が、このような劣悪な経営を行っているわけではありません。
(このあたりの話は、私の指導教授であった高橋真義教授が、いずれどこかでコメントするのではと思います。
※11/3追記 「創造学園大学の解散と3大学の認可ストップに想うこと!!!」として書いてくださいました。)


「大学の数が多い」ということも言及されていますが、「魅力が(伝わって)ない大学が多い」「変化する社会に対応できていない大学が多い」のであって、この生涯学習時代にあって、社会人が学びやすい大学は少ないですし、アメリカにおけるコミュニティカレッジのような、誰もに高等教育の機会を開いている大学も少ないのが現状ではないでしょうか。

設置審や中教審、各分科会の在り方やメンバーに疑問を感じないわけではありませんが、そこにテコ入れすることと、今回の3大学を不認可にすることを、同じ理屈で語ることはできません。

この段階で覆すというのであれば、田中大臣には3大学の申請内容を吟味し、その理由を明確にした上で、不認可を宣言していただきたいものです。


大学の開学申請には、申請するまでにも多くの準備が必要です。
たくさんの時間をかけ、多くの人を巻き込みながら、作り上げていきます。

例えば教員。
申請を出す段階で、どのような教員がどのような科目を担当するのか、すべてまとておかなければなりません。
そして開設後は、完成年度を迎えるまで(一期生が4年生になり卒業を迎えるまで)、原則、その大学を離れることはできないのです。

例えば職員。
教員や校地・施設・設備の手配のほか、学内外と調整をはかり、時には文科省の担当者に連絡・相談しながら、時間をかけて書類をまとめます。
申請すれば終わりということもなく、広報をして、施設・設備を整えて、万全の体制で一期生を迎えられるよう、準備を進めてきたはずです。

例えば受験生。
入試の実施自体は年明けになりますが、自宅からの通学圏内で志望校を選択する受験生も増えている中、希望の分野の大学ができることを喜んでいた受験生もいるかもしれません。
新設校であること、自分たちが作っていく大学ということに、期待を持っていた人もいたでしょう。
(私自身、新設大学や新設学科のを志望校にしていました。)

例えば地域の人たち。
地方において、大学、大学生の存在がどれほど地域活性化に力を発揮しているでしょうか。
アパートや飲食店・商店といった経済効果だけではないはずです。



多くの人の人生が関わって、大学は出来ています。


私たち日本国民が「大学とは何か」を考えるきっかけをくれたことには感謝しますが、3大学の関係者に配慮をした上で、ご判断いただきたいものです。


【参考】
学校法人吉田学園
 札幌保険医療大学(仮称)
 札幌保健医療大学(仮称)平成25年度設置不認可に対して(PDF)

秋田公立美術大学

岡崎女子大学(仮称)


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