2012年10月14日(日)
”ウマさんの「続関東ふれあいの道を歩く」”では、
これまでは主に茨城県の「関東ふれあいの道」を歩いてきたが、
仲間の誰からともなく『他県の道を歩きたい』という声が上がり、
東京都の「関東ふれあいの道」を歩くことを企画した。
東京都のコースを選んだのは、コース数が一番少なく、電車・バスの便も良さそうだし、
茨城からでも何とか日帰りで行けるのでは、と思ったからである。
第七回目となるこの日は、コースNo.5「鍾乳洞と滝のみち」(払沢の滝入口バス停~上養沢バス停 9Km)を歩いた。
この日のコースは、3つの大滝を楽しむことができ、終点では、鍾乳洞も楽しめるポイントの多いコース、
と案内されていたが、果たしてどうなのか。
常磐線荒川沖駅を朝一番(5時27分発)の電車に乗り、上野から山手線(京浜東北線)で東京駅へ。
東京駅中央線ホームへの長いエスカレータ。
既に7回目ともなると、駅弁を買うなど余裕も感じられ、馴れたものである。
しかし、この日の参加者は5名とこれまでで一番少ない。
皆さんいろいろと都合があり、参加したくても参加出来ない人が多いようだ。
中央線高尾行き電車に乗り込み、人が乗って来る前に朝食のおにぎり・サンドイッチをパクつく。
『お腹が空いてちゃ元気出ないからねっ』
立川駅に着き、武蔵五日市行きに乗り換えようとした時、突然携帯電話が鳴った。発信は公衆電話だ。
応答してみると、この日参加予定の携帯電話を持たないY子さんからだった。上野駅の公衆電話からとのこと。
最寄り駅の電車の出発時刻を1時間ほど間違えてしまったらしい。
立川と上野、その差は約50分、うう~ん、待ってあげるのは難しい。
Y子さんは、とにかく武蔵五日市駅まで来てみて、うまい具合にバスがあれば一人でも行きたいとのこと。
幸運を祈るかりである。
8時43分、出発地の武蔵五日市駅に到着。
9時ちょうど発の数馬行きバス停に並んでいると、次第に人が増えてきた。
電車が到着する度に人が増えて、瞬く間に大勢の人が列をなした。
出発する時にはバスは超満員となり、臨時バスが出たようである。
幸い我々は、前の方に並んでいたので、全員座ることができ、一安心。
この後のバスは、9時48分であるが、Y子さんに伝える手段がない。
何とかなるだろう、と考える他ない。
本宿役場前でバスを降りて、
「関東ふれあいの道」出発点の”払沢の滝入口”まで、歩くことに。
停留所から10分ほどで、払沢の滝入口バス停に到着した。
ここで、体調を整える。
バス停の向かい側が、払沢の滝への入口になっている。
機会があれば、訪れてみたい。
払沢の滝入口バス停脇に「関東ふれあいの道」の案内板があった。
コースの起点となっている。
北秋川に架かる北秋川橋を渡る。
檜原小学校を過ぎ、川の上流に向って進む。
前方に見える白い三角屋根は「檜原村やすらぎの里 ふれあい館」だ。
檜原村千足の地名が現れた。
間もなく「関東ふれあいの道」の登山口である。
千足バス停先に「関東ふれあいの道」の案内板があった。
本宿役場前から約30分ほど掛かった計算になる。
ここを右に曲がると、登山道になる。
『ここで間違いないねっ』
小さな神社があったので、この日の無事安全を祈願して行くことにした。
天狗滝への途中右側には、きれいに手入れされた杉林が見える。
真直ぐに伸びた杉の木が美しい。
なだらかな坂道が続く。
まだまだ入口に入ったばかり、余裕の笑顔である。
朝方気温が低かったが、気温も上がり次第に体温も上がってきた。
堪らず半袖に着替えるKさん。
途中で車は通行止めになる。
林業用道路のため、一般車は入れないように鎖がしてある。
登山道入り口から20分ほどで、舗装路に別れを告げて、山道に入る。
沢が流れ、滝が近いことを伺わせる景色になってきた。
沢を横切って、上る。
案内板によると、天狗滝まで0.2Kmとある。
天狗滝への路を行く。
大きな岩だらけの路になってきた。
ほどなく小天狗滝が現われた。
岩を伝って流れ落ちる水は、豪快さはないが、まあまあ立派な滝である。
小天狗滝の左側を上って行くと今度は天狗滝が姿を現した。
高さ20mほどの立派な滝で、先ほどの小天狗滝よりは迫力がある。
揃って記念撮影だ。
滝の前を横切って右手を上ると、杉林になった。
綾滝までは、杉林を抜け、
狭い沢沿いの路を進む。
0.2Kmとあったが、意外と長く感じる。
急な坂道は表示の距離と実際に歩く距離の差が大きい。
綾滝が現われた。
女性的で白い糸を引くような静かな綾滝である。
ベンチが置かれていたので、しばし休憩だ。
その時、下方を見ると、一人の女性が登ってくるのが見えた。
何と、遅れていたY子さんではないか!!
それにしてもよく追いついたものだとY子さんの健脚に感心した。
Y子さんによると、9時48分の武蔵五日市駅発バスは藤原行きで、登山口の千足バス停まで乗ることができたとのこと。
我々よりかなり時間を短縮出来たのも幸いしたようだ。
これで、結局この日の参加者は6名となった。
たまたま犬を連れて綾滝を見に来た人がいたので、シャッターを押してもらい、揃って記念撮影だ。
ハプニングがあっただけに、想い出に残る一枚となった。
綾滝からは馬頭刈尾根の急登となる。
馬頭刈尾根が続く。
馬頭刈尾根の路はかなり長く厳しい坂道の連続である。
途中で緩やかになる場所は全くない。
尾根を40分ほど登ったところでつづら岩分岐の標識が現われた。
つづら岩の基部で路は左右に分かれる。
つづら岩の基部を富士見台へ向かって進む。
富士見台まで0.8Km付近。
つづら岩はロッククライミングの岩場トレーニングとして多くのクライマーに人気があるそうで、
この日も木々の間から何人かが岩に挑戦しているのが見え隠れした。
「関東ふれあいの道」の標識があった。
ゴールの上養沢まで6Kmとある。
『え~っ、まだ半分も歩いてないのかぁ』 愕然である。
つづら岩の基部を通過したところで、一休みだ。
”この先道悪し”の標識があったが、前に進むしかない。
馬頭刈尾根以上に急で登りづらい岩場や
急角度の鉄梯子が出てくるが、それほど危険というほどではない。
多少のスリルを味わうのも「鍾乳洞と滝のみち」の醍醐味というものではないだろうか。
険しい岩場を過ぎると、路は平坦になり、一息つける。
間もなく富士見台だ。
一か所だけ展望が開けた場所があった。
大岳山(1266m)の眺望が素晴らしい。
12時37分、富士見台に到着した。
「関東ふれあいの道」の指定撮影ポイントである。
撮影の前に昼食にしよう。お腹の空いた顔で取るのは写りが良くない。
東屋があり、ここで昼食にした。
『みんなと一緒に食べられて良かったぁ』
天候が良ければ富士山を遠望できる、とのことだが、あいにくここからの眺望は望めなかった。
昼食後、富士見台の看板の前で記念撮影を済ませ、直ぐに下ることにした。
大滝まで2.3Kmとある。
途中、一か所だけ視界が開けるところがあった。
方角は定かではないが、素晴らしい眺望だ。
富士見台から先は、殆どが下りとなる。
最初は熊笹の生い茂るところもあったが・・・
しばらく進むと急な下りになる。
上りと違って土と石ころの斜面のため、滑り易い。
注意が必要だ。
まむし草がポツンと1本だけ鮮やかな赤と緑のコントラストの実を付けていた。
葉や球根は有毒とのことだ。名前は好きではないが、この時期の実は美しい。
上りの尾根道が長かった分、下りも長い。
太ももの筋肉とつま先が痛くなってきた。
しばらく下ると、沢のような場所に出た。
流れる水は清らかに澄んで美しい。
またしばらく杉林を歩く。
沢の右へ左へと路は続く。
これまで、何度沢を横切っただろうか。
ようやく緩やかな坂道になり、大岳沢に沿って進む。
岩は苔に覆われていて危険なため、慎重に降りたい。
思うように距離が稼げない、時間だけが過ぎてゆく。
小さな滝のような沢もあり、なかなか変化に富んだ路が続く。
沢に沿った路が分岐し、右に進路を取って、大滝方面へ下る。
小さな木橋に出ると、目の前にコース最大の滝、大滝が現れた。
『これが大滝なのねっ』
『素晴らしい滝だわぁ』
幅は狭いが落差のある大滝である。
『東京都のこんな滝を観れるなんて、ホント来て良かったわぁ』
しばし滝に見入る。
大滝から300mで林道を抜けると、「関東ふれあいの道」の案内板があった。
その前には、「熊目撃情報」の看板が。
こんなところにも熊が出没しているのだ。
ここからは、舗装された道路になる。
ようやく急坂の路から解放され、道いっぱいに広がって歩く。
茶店のような家を通り過ぎる。
ジュースなどを売っており、バーベキューなども出来るようだ。
小滝橋に差し掛かると、左手上に小さな小さな小滝があった。
滝と言うより、一筋の流れ、といった状態である。
もう少しで見落とすところであった。
小滝から数100mほど進むと、右手に大岳鍾乳洞への入口がある。
この時点で既に14時45分、ここから上養沢には急ぎ足でも30分以上はかかる。
14時56分発のバスには、間に合わない。
次のバスは16時35分、話しのタネに大岳鍾乳洞を観ていくことにした。
鍾乳洞発見者田中雄嘉造氏の奥さん(80歳は優に越えていると思しきお婆さん)が一人で受付をしていた。
一人500円払うと、日付を押したチケットとヘルメットが渡される。
鍾乳洞の入口は小さく狭い。
鍾乳洞の中はところどころに電灯が吊り下げられており、適当な明るさとなっている。
行きの順路は一番から二十五番まであり、帰りはいろは順になっている、そうだ。
順路に従って進む。
中は当然のことだが、岩だらけで狭く、腰を屈めなければ進まない。
あちらこちらでヘルメットが岩にぶつかる音が聞こえる。
『山登りの方が楽だったわぁ』
『ヘルメットがこんなに役に立つとはなぁ』
『こんな狭いところ行けるのかしらぁ~』
後で聞いたが、リュックは入口で預けることができたそうだ。
洞窟には、乳石や石筍などがあり、いろいろと銘が付けられているが、ゆっくりと鑑賞している余裕はない。
なにせ狭くて薄暗いため、足元ばかりを気にしているせいでもある。
しかし、もう乳石や石筍はどうでも良い。
こんな窮屈なところから『一刻も早く出たい』が正直な感想である。
天井に何やら光るものが。
よく見るとお賽銭のつもりなのか、一円玉がびっしりと貼りつけられていた。
中には十円玉も。
足元には、剥がれた一円玉が何枚も落ちていた。
『記念になるから撮ってもらおうっと』
要望にお応えして、はいパチリ。
鍾乳洞の中を歩くこと約25分、ようやく出口らしき明りが見えてきた。
『やっと外に出られたぁ』
”地獄から解放された気分”というのはこういうことを言うのかも???
10年ほど前から膝を曲げるのが苦痛になっているので、余計にそう思ったのかもしれない。
『もう一度は行きたくないよねっ』
同感である。
さらに下ると、途中に採石場があった。
これから大岳鍾乳洞に行くという50名ほどの若い男女の一団とすれ違った。
『良い所だよ~』
『ホントっ、楽しみだわぁ』
50名もの団体が押し寄せて、大丈夫なのかなと、受付のお婆さんのことが少々気になった。
『もう直ぐ上養沢だねっ』
左折して養沢神社を左手に見ると、間もなく上養沢バス停である。
見覚えのあるバス停が見えてきた。
コースの終点上養沢バス停だ。
15時52分、上養沢バス停に到着した。
ここが武蔵五日市駅行きバスの始発となっている。
『ここを歩いてきたんだぁ』
バス停にあった地図に感慨深げに見入る皆さん。
16時35分発のバスまでまだ約40分。
道端の石に腰掛けて、しばし「関東ふれあいの道」談義だ。
16時30分、やって来たのは中型のバスだった。
運転手によると、「瀬音の湯」へ寄るために小型のバスが都合良いらしい。
上養沢から乗ったのは我々6名だけであった。
しかし、次の停留所からは鍾乳洞巡りの50名近い一団が乗り込み、超満員に。
しかも途中「瀬音の湯」に立ち寄ったため、普通30分のところを50分もかかる始末。
武蔵五日市駅に到着した時には、辺りは真っ暗に。
おまけにホリデー快速は既になく、各駅停車で拝島止り、次は立川止りとその都度電車を乗り替えることに。
結局家に帰り着いたのは、21時ちょうどとなった。
帰りの便は散々だったが、天狗滝、綾滝、大滝と素晴らしい滝巡りをし、大岳鍾乳洞巡りを経験したことは、
強く印象に残る「関東ふれあいの道」となった。
また行きたい関東のふれあいの道(東京)は? と問われれば、間違いなく「鍾乳洞と滝のみち」だろう。
ただし、次回は鍾乳洞はパスすることにしたい。
”ウマさんの「続関東ふれあいの道を歩く」の目次”へ
”ウマさんの「続関東ふれあいの道を歩く」”では、
これまでは主に茨城県の「関東ふれあいの道」を歩いてきたが、
仲間の誰からともなく『他県の道を歩きたい』という声が上がり、
東京都の「関東ふれあいの道」を歩くことを企画した。
東京都のコースを選んだのは、コース数が一番少なく、電車・バスの便も良さそうだし、
茨城からでも何とか日帰りで行けるのでは、と思ったからである。
第七回目となるこの日は、コースNo.5「鍾乳洞と滝のみち」(払沢の滝入口バス停~上養沢バス停 9Km)を歩いた。
この日のコースは、3つの大滝を楽しむことができ、終点では、鍾乳洞も楽しめるポイントの多いコース、
と案内されていたが、果たしてどうなのか。
常磐線荒川沖駅を朝一番(5時27分発)の電車に乗り、上野から山手線(京浜東北線)で東京駅へ。
東京駅中央線ホームへの長いエスカレータ。
既に7回目ともなると、駅弁を買うなど余裕も感じられ、馴れたものである。
しかし、この日の参加者は5名とこれまでで一番少ない。
皆さんいろいろと都合があり、参加したくても参加出来ない人が多いようだ。
中央線高尾行き電車に乗り込み、人が乗って来る前に朝食のおにぎり・サンドイッチをパクつく。
『お腹が空いてちゃ元気出ないからねっ』
立川駅に着き、武蔵五日市行きに乗り換えようとした時、突然携帯電話が鳴った。発信は公衆電話だ。
応答してみると、この日参加予定の携帯電話を持たないY子さんからだった。上野駅の公衆電話からとのこと。
最寄り駅の電車の出発時刻を1時間ほど間違えてしまったらしい。
立川と上野、その差は約50分、うう~ん、待ってあげるのは難しい。
Y子さんは、とにかく武蔵五日市駅まで来てみて、うまい具合にバスがあれば一人でも行きたいとのこと。
幸運を祈るかりである。
8時43分、出発地の武蔵五日市駅に到着。
9時ちょうど発の数馬行きバス停に並んでいると、次第に人が増えてきた。
電車が到着する度に人が増えて、瞬く間に大勢の人が列をなした。
出発する時にはバスは超満員となり、臨時バスが出たようである。
幸い我々は、前の方に並んでいたので、全員座ることができ、一安心。
この後のバスは、9時48分であるが、Y子さんに伝える手段がない。
何とかなるだろう、と考える他ない。
本宿役場前でバスを降りて、
「関東ふれあいの道」出発点の”払沢の滝入口”まで、歩くことに。
停留所から10分ほどで、払沢の滝入口バス停に到着した。
ここで、体調を整える。
バス停の向かい側が、払沢の滝への入口になっている。
機会があれば、訪れてみたい。
払沢の滝入口バス停脇に「関東ふれあいの道」の案内板があった。
コースの起点となっている。
北秋川に架かる北秋川橋を渡る。
檜原小学校を過ぎ、川の上流に向って進む。
前方に見える白い三角屋根は「檜原村やすらぎの里 ふれあい館」だ。
檜原村千足の地名が現れた。
間もなく「関東ふれあいの道」の登山口である。
千足バス停先に「関東ふれあいの道」の案内板があった。
本宿役場前から約30分ほど掛かった計算になる。
ここを右に曲がると、登山道になる。
『ここで間違いないねっ』
小さな神社があったので、この日の無事安全を祈願して行くことにした。
天狗滝への途中右側には、きれいに手入れされた杉林が見える。
真直ぐに伸びた杉の木が美しい。
なだらかな坂道が続く。
まだまだ入口に入ったばかり、余裕の笑顔である。
朝方気温が低かったが、気温も上がり次第に体温も上がってきた。
堪らず半袖に着替えるKさん。
途中で車は通行止めになる。
林業用道路のため、一般車は入れないように鎖がしてある。
登山道入り口から20分ほどで、舗装路に別れを告げて、山道に入る。
沢が流れ、滝が近いことを伺わせる景色になってきた。
沢を横切って、上る。
案内板によると、天狗滝まで0.2Kmとある。
天狗滝への路を行く。
大きな岩だらけの路になってきた。
ほどなく小天狗滝が現われた。
岩を伝って流れ落ちる水は、豪快さはないが、まあまあ立派な滝である。
小天狗滝の左側を上って行くと今度は天狗滝が姿を現した。
高さ20mほどの立派な滝で、先ほどの小天狗滝よりは迫力がある。
揃って記念撮影だ。
滝の前を横切って右手を上ると、杉林になった。
綾滝までは、杉林を抜け、
狭い沢沿いの路を進む。
0.2Kmとあったが、意外と長く感じる。
急な坂道は表示の距離と実際に歩く距離の差が大きい。
綾滝が現われた。
女性的で白い糸を引くような静かな綾滝である。
ベンチが置かれていたので、しばし休憩だ。
その時、下方を見ると、一人の女性が登ってくるのが見えた。
何と、遅れていたY子さんではないか!!
それにしてもよく追いついたものだとY子さんの健脚に感心した。
Y子さんによると、9時48分の武蔵五日市駅発バスは藤原行きで、登山口の千足バス停まで乗ることができたとのこと。
我々よりかなり時間を短縮出来たのも幸いしたようだ。
これで、結局この日の参加者は6名となった。
たまたま犬を連れて綾滝を見に来た人がいたので、シャッターを押してもらい、揃って記念撮影だ。
ハプニングがあっただけに、想い出に残る一枚となった。
綾滝からは馬頭刈尾根の急登となる。
馬頭刈尾根が続く。
馬頭刈尾根の路はかなり長く厳しい坂道の連続である。
途中で緩やかになる場所は全くない。
尾根を40分ほど登ったところでつづら岩分岐の標識が現われた。
つづら岩の基部で路は左右に分かれる。
つづら岩の基部を富士見台へ向かって進む。
富士見台まで0.8Km付近。
つづら岩はロッククライミングの岩場トレーニングとして多くのクライマーに人気があるそうで、
この日も木々の間から何人かが岩に挑戦しているのが見え隠れした。
「関東ふれあいの道」の標識があった。
ゴールの上養沢まで6Kmとある。
『え~っ、まだ半分も歩いてないのかぁ』 愕然である。
つづら岩の基部を通過したところで、一休みだ。
”この先道悪し”の標識があったが、前に進むしかない。
馬頭刈尾根以上に急で登りづらい岩場や
急角度の鉄梯子が出てくるが、それほど危険というほどではない。
多少のスリルを味わうのも「鍾乳洞と滝のみち」の醍醐味というものではないだろうか。
険しい岩場を過ぎると、路は平坦になり、一息つける。
間もなく富士見台だ。
一か所だけ展望が開けた場所があった。
大岳山(1266m)の眺望が素晴らしい。
12時37分、富士見台に到着した。
「関東ふれあいの道」の指定撮影ポイントである。
撮影の前に昼食にしよう。お腹の空いた顔で取るのは写りが良くない。
東屋があり、ここで昼食にした。
『みんなと一緒に食べられて良かったぁ』
天候が良ければ富士山を遠望できる、とのことだが、あいにくここからの眺望は望めなかった。
昼食後、富士見台の看板の前で記念撮影を済ませ、直ぐに下ることにした。
大滝まで2.3Kmとある。
途中、一か所だけ視界が開けるところがあった。
方角は定かではないが、素晴らしい眺望だ。
富士見台から先は、殆どが下りとなる。
最初は熊笹の生い茂るところもあったが・・・
しばらく進むと急な下りになる。
上りと違って土と石ころの斜面のため、滑り易い。
注意が必要だ。
まむし草がポツンと1本だけ鮮やかな赤と緑のコントラストの実を付けていた。
葉や球根は有毒とのことだ。名前は好きではないが、この時期の実は美しい。
上りの尾根道が長かった分、下りも長い。
太ももの筋肉とつま先が痛くなってきた。
しばらく下ると、沢のような場所に出た。
流れる水は清らかに澄んで美しい。
またしばらく杉林を歩く。
沢の右へ左へと路は続く。
これまで、何度沢を横切っただろうか。
ようやく緩やかな坂道になり、大岳沢に沿って進む。
岩は苔に覆われていて危険なため、慎重に降りたい。
思うように距離が稼げない、時間だけが過ぎてゆく。
小さな滝のような沢もあり、なかなか変化に富んだ路が続く。
沢に沿った路が分岐し、右に進路を取って、大滝方面へ下る。
小さな木橋に出ると、目の前にコース最大の滝、大滝が現れた。
『これが大滝なのねっ』
『素晴らしい滝だわぁ』
幅は狭いが落差のある大滝である。
『東京都のこんな滝を観れるなんて、ホント来て良かったわぁ』
しばし滝に見入る。
大滝から300mで林道を抜けると、「関東ふれあいの道」の案内板があった。
その前には、「熊目撃情報」の看板が。
こんなところにも熊が出没しているのだ。
ここからは、舗装された道路になる。
ようやく急坂の路から解放され、道いっぱいに広がって歩く。
茶店のような家を通り過ぎる。
ジュースなどを売っており、バーベキューなども出来るようだ。
小滝橋に差し掛かると、左手上に小さな小さな小滝があった。
滝と言うより、一筋の流れ、といった状態である。
もう少しで見落とすところであった。
小滝から数100mほど進むと、右手に大岳鍾乳洞への入口がある。
この時点で既に14時45分、ここから上養沢には急ぎ足でも30分以上はかかる。
14時56分発のバスには、間に合わない。
次のバスは16時35分、話しのタネに大岳鍾乳洞を観ていくことにした。
鍾乳洞発見者田中雄嘉造氏の奥さん(80歳は優に越えていると思しきお婆さん)が一人で受付をしていた。
一人500円払うと、日付を押したチケットとヘルメットが渡される。
鍾乳洞の入口は小さく狭い。
鍾乳洞の中はところどころに電灯が吊り下げられており、適当な明るさとなっている。
行きの順路は一番から二十五番まであり、帰りはいろは順になっている、そうだ。
順路に従って進む。
中は当然のことだが、岩だらけで狭く、腰を屈めなければ進まない。
あちらこちらでヘルメットが岩にぶつかる音が聞こえる。
『山登りの方が楽だったわぁ』
『ヘルメットがこんなに役に立つとはなぁ』
『こんな狭いところ行けるのかしらぁ~』
後で聞いたが、リュックは入口で預けることができたそうだ。
洞窟には、乳石や石筍などがあり、いろいろと銘が付けられているが、ゆっくりと鑑賞している余裕はない。
なにせ狭くて薄暗いため、足元ばかりを気にしているせいでもある。
しかし、もう乳石や石筍はどうでも良い。
こんな窮屈なところから『一刻も早く出たい』が正直な感想である。
天井に何やら光るものが。
よく見るとお賽銭のつもりなのか、一円玉がびっしりと貼りつけられていた。
中には十円玉も。
足元には、剥がれた一円玉が何枚も落ちていた。
『記念になるから撮ってもらおうっと』
要望にお応えして、はいパチリ。
鍾乳洞の中を歩くこと約25分、ようやく出口らしき明りが見えてきた。
『やっと外に出られたぁ』
”地獄から解放された気分”というのはこういうことを言うのかも???
10年ほど前から膝を曲げるのが苦痛になっているので、余計にそう思ったのかもしれない。
『もう一度は行きたくないよねっ』
同感である。
さらに下ると、途中に採石場があった。
これから大岳鍾乳洞に行くという50名ほどの若い男女の一団とすれ違った。
『良い所だよ~』
『ホントっ、楽しみだわぁ』
50名もの団体が押し寄せて、大丈夫なのかなと、受付のお婆さんのことが少々気になった。
『もう直ぐ上養沢だねっ』
左折して養沢神社を左手に見ると、間もなく上養沢バス停である。
見覚えのあるバス停が見えてきた。
コースの終点上養沢バス停だ。
15時52分、上養沢バス停に到着した。
ここが武蔵五日市駅行きバスの始発となっている。
『ここを歩いてきたんだぁ』
バス停にあった地図に感慨深げに見入る皆さん。
16時35分発のバスまでまだ約40分。
道端の石に腰掛けて、しばし「関東ふれあいの道」談義だ。
16時30分、やって来たのは中型のバスだった。
運転手によると、「瀬音の湯」へ寄るために小型のバスが都合良いらしい。
上養沢から乗ったのは我々6名だけであった。
しかし、次の停留所からは鍾乳洞巡りの50名近い一団が乗り込み、超満員に。
しかも途中「瀬音の湯」に立ち寄ったため、普通30分のところを50分もかかる始末。
武蔵五日市駅に到着した時には、辺りは真っ暗に。
おまけにホリデー快速は既になく、各駅停車で拝島止り、次は立川止りとその都度電車を乗り替えることに。
結局家に帰り着いたのは、21時ちょうどとなった。
帰りの便は散々だったが、天狗滝、綾滝、大滝と素晴らしい滝巡りをし、大岳鍾乳洞巡りを経験したことは、
強く印象に残る「関東ふれあいの道」となった。
また行きたい関東のふれあいの道(東京)は? と問われれば、間違いなく「鍾乳洞と滝のみち」だろう。
ただし、次回は鍾乳洞はパスすることにしたい。
”ウマさんの「続関東ふれあいの道を歩く」の目次”へ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます