悪魔の囁き

少年時代の友達と楽しかった遊び。青春時代の苦い思い出。社会人になっての挫折。現代のどん底からはいあがる波乱万丈物語です。

若葉と青葉と紅葉と・・・

2017-10-13 10:15:38 | 日記
第一話[左馬](一)


「社長。話は決まりました」
「それは良かった」
「それで条件が 一つあるのですよ」
「なんだね」
「うちから納品するメーカーは決まったんですけど、イーストが納品していた、古い商品を『引き取ってくれ』と言われたのですよ」
「それは困ったたねぇ~」
「50店補改装して、新製品を納品しても、今ある古い商品を引き取ったら、利益が出ませんよ」
「全店改装して、返品を取ったらいくらぐらいになるんだろう」
「今の所は分かりませんね」
「一店舗改装して見ないと判らないか」
「はい。後、一週間余裕あれば、全店回ってどの位残っているか、計算が出来るのですがね」
「そう簡単には、甘い汁は吸わせないと言う事か」
「そういう事ですかねぇ~」
「後はメーカーと返品の交渉するほかないか」
「そうですねぇ。うちが降りれば他の問屋が入ってきますからね」
「そんなに来ているのかい」
「はい。バーヤーの話だと、5~6社は来ているみたいですよ」
「カマをかけているかかも知れないけど、油断は出来ないなぁ」
「もし、本当の話だとすると、間違いなくこちらが切られましからね」
「何しろ、敵が見えないからバイヤーの言いなりでやらなければならないか」
「そんな・・・トコですねぇ」
「とにもかくにも、納品をしなければ先に進めないからな」
「その時は、お願いします」

「一店舗目は要領が分からず混乱すると思うので、前にも言いましたが、搬入員の頭数を揃えていた方がいいですよ」
「何人ぐらい揃えれば宜しいでしょうか」と東山が聞いた。
「一社3人以上いれば、手際よく出来ると思いますよ」
「そうですか」
「私も立会いますので 、解らない時は、その都度聞いてください」
「それならば安心できます」と加山が言った。

4月の頭から、カー用品部門だけの改装商品入れ替え搬入となった。
「古い商品は各社ごとに、ダンボールに詰めてありますので、新規商品を降ろしたら、返品を持って帰って下さい」
「返品伝票はどうしまうか」
「チェーンストァー統一の赤伝を付けてあります」
「そうすると赤伝も印が押してあるのですか」
「はい。両方とも赤い印になるにで “特売はまる型で”
・返品は “角型に”分けてあります」
「それなら間違える事がないでですね」
「量販店の知恵ですよ」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \

「よし、やるか。取り敢えず、納品する商品をゴンドラの前において、返品を積んでしまおぅ」
「そうですね」
「小池くん。納品と返品は同じぐらいだから、ルートバンで積めるよなぁ」
と東山が聞いた。
「大丈夫だと思います」
「もし、積めなかったら、俺の車にも積むよ」
「お願いします」
「水谷バイヤー。ラベラーは何処にありますか」
「事務所にありますよ。月曜日は定番の発注日で納品が無いから、他の部門のラベラーも置いてありますで、好きに使ってください」
「有難うございます」
「野川くん。定番台帳はもらっているから、事務所に行ってラベラーを借りてきて」
「分かりました」

各問屋が3人ずつ来て、12人が入り乱れて飾りつけが始まった。
「俺は壁面の商品を並べるから、小池と野川は平ゴンドラに入れて」
オーライ・・・です――
「うちの商品は何処だ――?」と小池美佐男21歳が探した。
「あっ。ここかぁ~」と渡されたレイアウト用紙と、ゴンドラに貼られている、
棚割りを見合わせて野川健二22歳が言った。
「東山さん。棚割通りに商品を、順番に並べていけばいいんですよねぇ」
と小池が聞いた。
「そうだよ」
「東山さん。レイアウト通りに並べていくと、入らないのですが」と野川が言った。
「そんな事ないだろう」
「入る事は入るのですが、ゴンドラからはみ出してしまうんですよ」
「どれ。ホントだ 」
「この棚割りだと、入る事になっているんですけどね」
「小池の所もそうかい」
「はい 」
「バイヤーに聞いてみるか」
「それがいいですね」
「水谷バイヤー。棚割通りの入らないのですが」
「あれねぇ~ おかしいなぁ~」
「で――しょ?」
「商品パッケージを定規で測って書いたから、入らないはずはないのだけどな」
「どうしても一つだけ、半分ほどはみ出してしまうんですよ」
「こんな単純なこと、やり方が悪いもないものなぁ」
「取り敢えず、綺麗に入るように台紙の小さい商品と入れ替えてください」
「レイアウト通りでなくてもいいのですか」
「入らないのだから、しょうがないでしょぅ」
「そうすると、関連性もなくなりますよ」
「出来るだけ、近い商品を並べてください」
「分かりました」
定規で測って一本線で書けば入る事になるけど、台紙には肉厚があるので入らなくて当たり前だった。
「棚の方は入山くん(正志20歳)に任せるよ。フック掛けは中澤くん(真澄19歳)がやって」
と江戸川物産の加山が言った。
「分かりました」
「加山さん。棚を組んでいくと、商品が全部入らないのですよ」
「ドレドレ」
「ほら」 
「ホントだなぁ~」
「棚割表を見て組んだんですけどねぇ」
「なんでだぁ・・・」
「バイヤーに聞いてきたらどうですか」
「水谷バイヤー。棚の商品が入らないのですが」
「おっかしいなぁ。そんなはずないよ」
「一番下の商品が入らなくなったんですよ」
「上と下、どちらから先に組んで行きました」
「上からやりました」と野川が言った。
「それじゃぁ~ 入らなくなるのは当たり前ですよ」
・・・えぇ!・・・
「下から棚を組んで、商品を1個置いて、手が入るスペースを取ってから、二番目の棚を組んでください」
――なるほどぉ. ――
「泥棒だってタンスを下から開けるじゃないですか」
「そうですねぇ」
「その容量ですよ」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「それに棚割には書いていませんけど、一番上の商品はゴンドラより上にはみ出していいですよ」
「それならんばぁ、入ります」
「可也時間が掛かっていますが、閉店後は出来ませんので、今日中に終わらせてくださいね」
「分かりました」

各問屋はメーカーを呼んで返品交渉した。
「改装が終わって返品が可也あるんだけど」と港商事の及川が言った。
「弊社は、取れませんねぇ」と昭和製作所の外山部長が言った。
「どうして」
「一時代前みたく、利益が取れれば返品を取っても採算が取れたのですけど、
今は薄利で返品を取ると赤字になるんですよ」
「それは御社の経営が悪いだけで、こちらの責任ではないよ」
「そうですけど。辺品を取らずに店で売りベラス交渉をしてくださいよ」
「平台には特売品を並べるから、置く場所がないですよ」
「100円均一で売れば2~31日でなくなりますよ」
「そんなことを言ったら、バイヤーに切られてしまうよ」
「買ったものは、売りつくすのが当たり前出すからね」
「そんな硬いこと言っていると、おたくの商品は担げないよ」
「そう言われると申し訳なく思うのですけど」
「なら、返品させてよ」
「数はどの位あるんですか」
「倉庫に置いてあるから見てよ」
「しや、行きましょうか」
2階の倉庫に入った。
「結構ありますねぇ」と山済みのダンボール箱を見た。
「うちの原価で計算すると、30万円ぐらいだよ」
――!?――
「だけど、全部生きている商品だから、引き取っても台紙を変えれば再生は可能ですよ」
「まぁ、そうですねぇ」
「しかし ねぇ~ 台紙に貼ったラベラーのノリが“キツくて!”剥がれないんだよ」
「どこも同じですね」
「それで潤滑剤を吹きかけて剥がしたんだけど “ベットリ貼ってあるから”剥がしきれないんだよ」
「ドライヤーで温めてから剥がすと、綺麗に取れるんですよ」
「それじゃぁ~ 時間がかかるだろうなぁ」
「でも、ノリの“カス”跡がつきませんよ」
「それをやるには人手が足りないしなぁ」
「そうすると、やはり台紙を交換するしかないですね」
「そうしてくれると有難いけどね」
「台紙代を貰っていいですか」
「せこい事言わないでよ」
「うちも商売ですから」
「いくらなの」
「1枚50円ですね」
「それは高いよ」
「それなら、折半にしますか」
「25円負担か。うぅん~ 仕方ないか」
「これで手打ちしますね」
「いいでしよ」
「この返品が、後、49店舗ある訳ですね」
「そうだよ」
「キツイですね」
「なぁに、全店が30万円ある訳ではないよ」
「でも、それ以上ある店もある訳でしょう」
「店の規模で売れる店もあれば、売れない店もあるからね」
「平均すると、30万円と思えばいいわけですね」
「そんな とこ だねぇ」
「どうでしよう。御社と弊社で半分ずつ泣くと言うのはいかがですか」
「うぅん~」
「その代わり、売れる商品は台紙を交換して、及川さんの所で在庫しておけば直ぐ売れてしまいますよ」
「そうだなぁ」
「そうでしょう」
「そうすれば、お互いに腹が立たないか」
「そうですよ」
「それで台紙は、いつ持って来てくれる」
「はい。今日引き取り商品を仕分けして、赤伝と一緒に来週持ってきますよ」
「そうすると、また、来週商品が帰ってくるかもよ」
「年内、この繰り返しになりますけど、仕方ないですね」
「悪いけどそうしてくれる」
「はい>」
「まぁ。今後の事も、あるからさぁ」
「空手形の殺し文句にならなければいいですけどね」
「大恩ある外山部長は泣かせませんよ」
「儲けと損の線引きは、何処なりますかねぇ」
「ウイン――ウインだよ」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「これからも、ホームセンターは開拓して行くのですか」
「そのつもりですよ」
「すると、売上は倍増どころか、うなぎのぼりの天井知らずになりますねぇ」
「そうだといんだけどねぇ」
しかし・・・
“カモ”が!――“ネギを背負って?” 来るようなものだった。
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