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音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

サイアミーズ・ドリーム (スマッシュ・パンプキンズ/1993年)

2013-01-08 | ロック (アメリカ)


別に予告したわけではないが、前回からの自然の流れとして当然、今回はスマッシュ・パンプキンズの作品レビューになるだろう。2011年、実は大変驚きのニュースが飛び込んできた。それは、現在のベーシストである、ニコール・フィオレンティノが自分のツイッターに於いて、当作品「サイアミーズ・ドリーム」のジャケットの一人だと告白したことだ。逆になんで今の今まで隠してきたのだろうかと言うのも不思議だったのだが、ニコール曰くは、それを話すとバンドに入れて貰えないと思ったらしい。うーんこの辺りの女心って余り理解できないのだが、確かにこのバンドに対する思い入れが凄いのだろうと思うと同時に、やはり歴代のこのバンドのベーシストは女性であるし、それも皆、ミュージシャンとしても中々の兵であるのも事実。そんな中で、コネクションで加入したと思われるのも嫌だったのだと、こういう部分は純粋な乙女心なのだと思う。前回レビューのピクシーズとの共通項は「女性のベーシスト」と書いたことがここに繋がってくる訳ではないが、このパンプキンズの歴史を開いた作品に、既に登場していたのだから驚きである。因みにニコールは左の女の子で、そういえばタレ目なところに面影がないでもないが、作品は1993年のものだから彼女の年齢は13~4歳。どうみても、もっと幼い時代なので以前に撮影した写真なのかもしれない。その辺りはまた全部を顕かにしていないところが良いと思う。

この作品はパンプキンズのセカンドアルバムとして発表されたが、この当時がニルヴァーナ全盛時代。オルタナの中でもグランジが主流で、各プローモーターは、所謂、オルタナミュージシャンには目もくれず、グランジ、若しくはそれに代わる新しい要素を求めていた。従って、パンプキンズもこの作品にバンド生命を掛けていたという気合いに満ちていたらしい。筆者も、この作品はリアルタイムで聴いたのではなく、実は次の作品がビッグヒットになったためにその関連で聴いたので、当時の気の利いたコメントは出来ないが、しかしこの作品には少なからずともニルヴァーナやグランジの影響が細部に感じられる。そもそもパンプキンズは、ギター&ヴォーカルのビリー・コーガンを中心に1985年から88年までThe Markedというバンドで活動していたメンバーを中心に結成された。ビリーはそもそもサバスやチープ・トリックを愛し、またルーツ的にはニューウェーヴの延長上に位置していたものの、一方で、ニューヨークパンク、中でもトーキング・ヘッズのことは可なり毛嫌いしていた。ファーストアルバムの"Gish"は、今聴いてみても当時のオトとしては衝動的な箇所が多いもののそれなりに良く出来ているとは思うのだが、不幸にもこの作品発表の数ヵ月後にあの「ネヴァーマインド」が発表され立場は一転した。そんな彼らのジレンマは当時の発言に多くみられるようで、やはり、彼らにとってもニルヴァーナの存在のそれはとても大きなモノだったようだ。しかし、この作品で、彼らは格段に進化した。代表曲となった"Today"を始め、"Quiet"、"Disarm"など、前作よりもメロディが向上し、オトの幅が広がった感がある。この変わりようを聴いていると、前述した「この作品をヒットさせなくては次の作品はない」と真剣に感じ取っていたのかもしれない。しかし、運命とは時として非情なもので、実はこの作品と次作で得たものは彼らをオルタナの代表格に押し上げてしまい、その為に背負込んだものは大変大きなものであった。この詳しいことに関しては、また別の機会に書くと思うが、聞くところによると、この作品の制作中も色々バンド内でのゴタゴタがあったらしく、ビリーが略一人で作ったと言っても過言ではないという言い方もされている。そんなことは全く知らなかった筆者にとっては、この時期、なんと制作意欲の高い作品だろうと思ったものである。

ご他聞に洩れず、実は色々な意味で、筆者もこの次のアルバムの方が好きだ。丁度、ロック音楽とは一線を隔していた時期なので、次作の大ヒットによってこのバンドの詳細を知り、その後付けのように聴いたからだと思うが、今思えば、「ネヴァーマインド」の前にリアルタイムで聴きたかったと思うと残念だ。歴史に「タラレバ」がないように、音楽との付き合いも偶然が重なった必然であるからそれを肯定しないと始まらないが、もし、パンプキンズをファーストから順に聴いていたとしたら、あれほど「ネヴァーマインド」に衝撃を受けなかったのかもしれない。そんな位置づけのできるバンドが、このスマッシュ・パンプキンズなのである。


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