音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

ネヴァーマインド (ニルヴァーナ/1991年)

2010-10-14 | ロック (アメリカ)


実は、ピアノのレッスンを止めて以降、10代の中ごろから30代初めまでずっと聴いていたロック音楽であったが、その間のジャズや、世界の色々な音楽も聴いて、それで行き着いたところは元のクラシック音楽だったのに、再び、ロック音楽に関して覚醒させてしまったバンドがある。それがオアシスとこのニルヴァーナである。私のロック音楽歴で言えば、1990年代になってからは、もう殆どと言って主流に聴くものがなかった。ポリスもクラッシュも解散してしまったし、U2も昔と違いビッグネームになってしまった。一方でハウスやラップが出てきて、ポップ音楽の壊滅を感じていたからである。ロック音楽は封印した。そんな感じであった。

事実、ニルヴァーナというバンドに関しても、面白いものでリアルタイムではない。逆リアルタイムというか、名前は聞いたことがあっても全く興味が湧かなかったのである。兎に角、ロックは1980年代前半で終わった・・・、私の中で燃え尽きてしまったのだから。だから悲しいかな残念かな、なんとこのニルヴァーナのことを知ったのは、カート・コバーンが自殺をしたときも確かNewsweekか何かで記事を読んで、グランジ・ロックという言葉は聞いたことがあったが正体は不明だったし、しかし、このカート・コバーンの自殺というのが、単にミュージシャンの自殺ではなく、矢鱈と大きく、その衝撃が色々なところで伝えられていて、その扱いもジョン・レノン暗殺なみだったことに驚いた。なので、私は実質上、彼らの活動が中止になったからこの時代の風雲児たちを知ったのである。やはりリアルタイムで共に生きたミュージシャンというのはその影響も大きく、私は、ポリスとかクラッシュというのがまさにそのバンドである。そして、音楽ファンを魅了した彼らを知りたくて、すぐにミュージック・ショップで買ったのがこのセカンドアルバム「ネヴァーマインド」であるがジャケットにも正直驚いた。グランジというのは、要するに、オルタナティブ・ロックの一種であり、そう考えるとやはり流れとしてはニューウェイヴを引き継いでいるた思われるが、驚いたのはアメリカのバンドだったことだ。特に、このセカンドアルバムは全米No.1も獲得した。ジャムの最盛期なんかと考えると、やはりアメリカ音楽というのはイギリスより10年遅れているのだろうか。オルタナティヴということは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズや、R.E.M、スミスなどはそもそも私の範疇にあるバンドだから実に理解が早かった。しかしこのサウンドは、良くこんな音がアメリカのバンドから出てきたものだと感心したもので、このアルバムを手に入れた当初は毎晩聴いていたことを覚えている。シングル・カットになった「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」はヒットチャートで1位こそ取らなかったが、その年のベストシングルに選出されるほど、評論家にも高評価だったが、ピストルズやクラッシュですら得られなかった沢山の賞賛にも驚いた。時代は遅れている。こと、音楽というジャンルに関しては、一般市民の感覚より、専門家とか言われている人が、本当に10年くらいは遅れているということを知った瞬間だった。また、このグランジという音楽は、ヘヴィメタにも近いし、正統的なロックン・ロールわも継承している。しかし、この作品はニルヴァーナの本来進むべき道とは違ってしまった様で、カートの混迷ぶりは時間の経過とともに益々深刻になり、ヘロイン中毒となり、ついには沢山の期待と重圧に耐えきれなくなった故の自宅において、ショットガンで頭を打ちぬいての自殺だったというが、なんともこの辺りはブライアン・ジョーンズにも似ている。少し違うのはカートは天才肌のミュージシャンではなかったことぐらいである。

カートが自殺したことで、カート及びニルヴァーナは伝説となったのだが、こんな素晴らしいバンド、伝説ではなく、このまま続いてもっと良い作品を出せれば、本当にビートルズの後継者だったのではないかと思う。伝説で終わって欲しくないバンドであった。


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