音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

レッド・ツェッペリンⅡ (レッド・ツェッペリン/1969年)

2010-07-17 | ロック (イギリス)

レッド・ツェッペリンを神格化させたアルバムである。このアルバムは確かに収録されている曲も素晴らしいが、実はその録音自体からして、色々なバックボーンがあり、言い方を変えれば構想の段階から名盤であったという言い方ができよう。ツェッペリンはグループ名の如く、「時代を先取り」したバンドとなったのてある。

まずは、このアルバムの音に注目して欲しいと思う。このどこか必要以上に過激な音は、聴き方によっては、「切羽詰まった」感じがしないであろうか。その通りであり、「レッド・ツェッペリンⅠ」が予想以上の、しかも全米での大ヒットに気を良くしたアトランティックは、すぐさま次のアルバムの制作を急いだが、それは過酷なスケジュールであったにも係わらず、メンバーには大変良い刺激になり、結果、これらの今までにないダイナミックな音に繋がった。一説によると、彼らはホテルに缶詰めになり、その場で曲作りをし、出来た段階でスタジオの空き時間を縫って、録音に迸った様である。なので、細かい手法などその場で処理できなかったものは、別のスタジオや、時間が無い時はヘッドホンでオトを聴いて最終的に編集されとたと言われている。その結果出来上がった音は、当初の録音ものよりも可なり音が被さって(後日、オーバープロデュースとの声もあったが)、より、音に厚みが出来たのも事実である。そして、そんな中、発売されたアルバムは、じわじわとチャートを駆け上がり、当時ヒットチャートの1位に君臨していたあのザ・ビートルズの「アビー・ロード」を首位から蹴落とし、さらに7週間もアルバムチャートの1位を独占した。シングルにおいても「胸いっぱいの愛を」は、初のベスト10入りを果たした(遅れること、イギリスでも発売されこちらもアルバムは1位を獲得した)。これがツェッペリン伝説の始まりとなったのは事実で、特に、このアルバムに関しては内容が高く評価され、このバンドのこの音が新しい「ロック」音楽の基準となったのは事実である。特に、ファーストには根強く残っていたブルースの残骸が殆ど見当たらず、ブルースではなくスローテンポのロックという音作りに拘っているところは必聴で、この部分では、クラプトンが後年も拘り続けたブルースリフとの区別を聴き分けるのもギタリストとしても面白く、ペイジが、師クラプトンには到底及ばないと思いつつ、同時にロバート・プラントという類稀な詩作発想の持ち主、及びその実現を声で発揮できるという実践に、結果このバンドが新しいロック音楽の方向性を提言した偶然に繋がったと言えよう。前述以外にも、「ハート・ブレイカー」は、「ロック史上最高の名曲」という評論家も多く、各方面に多大な影響を与えたアルバムとなったが、そもそもがそれらはすべて必然ではなかったというのが面白い。

結果、このバンドは次のアルバムで大きく軌道修正を計ろうとするが、果たしてそれがこのバンドのやりたかったことかどうかも疑問で、その辺りはまた別記することとしたい。


こちらから試聴できます


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。