つれづれ蒔々

ごく稀に長文を流し込む為の場所。

『宰相リシュリュー』

2008-06-27 06:30:34 | 読書
『宰相リシュリュー』 小島英記 講談社

戦争と謀略と政治。

デュマの『三銃士』でお馴染み、悪玉枢機卿の生涯をまとめた一冊。
いやまあ、実に壮絶な‥‥時代だったんだなあ、というのが感想。

というかフランスって、こうも内乱が多かったのかと驚きました。
絶対王政成立前後なので、もう少し統制が効いているのかと思いきや、
延々と続く内乱と戦争のオンパレード。
他国に侵攻されて、パリにあと32kmって所まで迫られたりしてるし。

欧州の複雑な王族婚姻関係と、それに伴う利害の対立も理解が難しく。
隣の国から嫁を貰って、その後戦争とか普通にやってるし。
国民国家の概念がまだ確立してない頃だから出来る芸当だよなあ。
まあ、だからこそ百年戦争みたいな泥縄な話もある訳で。

その上で、あの状態から絶対王政への道を導き出した手腕と精神は
やはり注目するに値するモノがあると思う次第。

とはいえ、
この本の記述の殆どが戦争と内乱であり、
かのような人物が登場し活躍するのは、やはりそういう時代であったから
なんだろうなあ、と漠然と思ったりもしました。

『ダ・ヴィンチ・コード』

2008-06-20 01:23:59 | 読書
『ダ・ヴィンチ・コード』 ダン・ブラウン/訳:越前敏弥 角川書店

ダ・ヴィンチ絵画と寓意が導く、真実の行方とは。

あまり海外小説を手に取らない自分ですが、何となく気になっていた一冊。
映画公開時、さかんにテレビで宣伝もしてましたし。
図書館で『三銃士』を探すついでに見つけたので読んでみました。

かなり面白かったです。
思わず一気読みして、現在寝不足状態。さすがは世界的ヒット作。

でも大きな謎の割には、こぢんまりとしたお話だったような。
少なくともドラマとしては弱いと思います。
アリ司祭は最後まで外野の人だったし。シラスは右往左往するだけだし。
ラスボスの処遇も「結局、妄想狂の仕業だった」と締まらない。
教会ネタをあからさまに展開するのは気が引けて設けた悪役だから?

とはいえ、
メインである寓意の紐解きはスリリングかつ、牽強付会で面白いです。
最初に「これらは全て事実に基づいています」なんて
フィクションの大前提を使った、ある意味のトリックでもあり。
「最後の晩餐」は言われて見ると、確かにそう捉える事が出来るよなー。

ただ、悲しいかな自分は日本人であり、作中の
“聖杯が明らかになるとキリスト教会が未曾有の危機に陥る”
という部分が、どうにもピンと来なかったり。
その辺の空気感が分かれば、もっとドキドキ出来たんでしょうか。

あ、でも。
この話を日本で置き換えるなら、対象はあの方々になって、
「実は○○の○○は○○だったー!」

‥‥戦後すぐにそういう話は出てきてるな。
あんまりドキドキしなさそう。当時の人ならともかく。

『ネクロポリス』

2008-06-17 23:06:30 | 読書
『ネクロポリス』 恩田陸 朝日新聞社

謎の聖地“アナザー・ヒル”、謎の行事“ヒガン”、そして謎の主人公。

英国植民地時代を経た、架空の日本がある世界。
ファーイースト・ヴィクトリア・アイランズは、
特殊な場所としてその名を知られていた。
───死者が現れる街として。

恩田陸的なモヤっとした世界で、
この世にあらざる存在を使ったミステリ的寓話
‥‥を期待すると、思いっきり肩透かしを喰らいます。

というか、コレ構想半ばな部分が多々あるような。
煮詰めてないままでムリクリ引き延ばした設定が多く、
結局、物語の核心部分は主人公の観測外で処理されちゃいます。

最後で一気に主人公がネタを喋り倒して、相手は聞いてない所とか
ある意味で作者の自虐的な感想なのかもしれません。

舞台が何処にあるやら謎だし、
フード鳥は意図が不明なままだし、
何より主人公が謎のまま。鳥居が見える話はどうなった?
オチもちょっと弱いというか、首を捻る感じだし。

ってな訳で読了後、不満の残る印象です。
好きな作家なのになー。なんでじゃろー。

連載という形式で、後で開示しようとしたネタが、
諸般の事情で使えなくなったとか、そういう想像をしてみたり。

説明レスな『球形の季節』は好きなんだけどなあ。
もう一回読み直してみよう。

『九十九十九 ツクモジュウク』

2008-06-11 03:20:37 | 読書
『九十九十九 ツクモジュウク』 舞城王太郎 講談社NOVELS

人は塔を積み上げ、神は言葉を乱す───創世記の如くに。

巻末の宣伝文によると、こうあります。
「超絶のメタ探偵・九十九十九の魂の旅」

壮絶な本でした。
支離滅裂でいながら、ミステリであり、
何よりこれは神の話であります。

極端に改行が少ない圧倒系の文章。
乱暴な会話。
かなりどうしようもない言葉の戯れ。
無闇に頑丈で空想めいた主人公と、雑草のように死ぬ登場人物。
でも世界はメタメタに愛すべきもの。

誇大妄想的に膨らむ話なのに、
きちんと押さえるべきポイントは存在し、
かつ最後にそれらは放り投げられる。

スゴイとか面白いとか、そういう領域は軽く飛び越えて
とりあえず“壮絶”としか自分の語彙では表現出来ません。

感覚的には日本酒で泥酔している所に
思いっきり冷やしたビールを浴びせられたような印象。

よくもまあ、ここまで滅茶苦茶な話を作ったものです。
分厚い本の外観も相まって、まさにバベル<混乱>。
神は言葉を乱す。

ちなみにwikipediaによれば、
創世記中に「塔が崩された」という記述は全く無いそうで。

言葉は乱れ、塔は未だ地を睥睨す。
なんて、迷惑な話。

つけ麺

2008-06-10 01:25:05 | ごはん
実家の母に通じない単語。それがつけ麺。

自分の好みは甘めの和風系。
さいたま市に、それ系で有名な店があると情報をキャッチ。
行ってみましたらば、改装リニューアルの為、閉店しておりました。

しょんぼり。

仕方がないので帰りにスーパーへ。
そこで見つけたのは日清「つけ麺の達人-濃厚魚介醤油」

あまり期待せずに作ってみたら、すっっっっっっごく美味しい!!
うはー! めちゃ好みですよコレー!!
太麺で甘めの和風味! まさに自分の為にある商品!

人間万事塞翁が馬というか、瓢箪から駒というか。
素敵な出会いは、案外身近に転がっているもの‥‥なのかもしれません。