星空☆Casting

釣れるものはみんな釣りたい。
夜の海で一人
ひたすら同じ事を繰り返す快感。
さあ、ご一緒に。

特濃180min!

2009-11-27 11:45:09 | メバル
2009/11/25。

恋い焦がれたyasuくんとようやくスケジュールが合う。

此の日の僕は夜中1:00~の仕事なのであったが躊躇はなかった。

yasuくんは19:00に合流できるという。
帰りの道程と飯食って風呂入っての時間を考えると実質3時間の釣りだ。

yasuくんとは過去3回、釣りを共にしていた。しかし残念な事にあまり良い釣果には恵まれていない。

だがこの日は何か良い予感がした。3時間の時間制限。なにか不自由のある時の方が良い結果になる。

狙いはもちろん。

メバルだ。

yasuくんはどんなメバル釣りをするのだろう。


待ち合わせの港に時間より早く到着する。明るく照らされた岩壁際を覗いているとエイが泳いでいた。

わー!これは釣っとかなきゃ(外道賞狙いw)と急いでメバルタックルを引っ張り出す。
エイが何のルアーに反応するのか全く分からない。分からないからgulpを刺した。当然だ。

ひらひらと魂の抜けたように泳ぐエイの前にジグヘッドを落とす。
しかしエイは鬱陶しそうにひれをゆらゆらと曲げてgulpをよけて泳ぎ去った。

ううむ…。難敵だ。gulpでもだめかw

あほな事をしているうちに時間ぴったりにyasuくんが到着する。

「時間ないし行きましょうか!」

了解。あなたの全てを僕に見せて下さい。


yasuくんのポイント。待ち合わせの港に程近いあるシャロー。
目の前に巨大なストラクチャーが聳え、ショアとその間を流れる潮が凝縮され、加速され、早い。
水深は1.5m程。見渡す限りの広大な藻場。なるほど。

ここはこれしかないだろう。

仕掛け巻きに巻いたスーパーボールリグを取り出す。
今シーズンからついに封印を解いた。しかし恐ろしい飛距離だ。あそこも届く。ここも届く。たまらんw

1カ所目。

数投するが反応が無い。5分程経ったか。yasuくんが言った。

「移動しましょうか!」

早い!早過ぎる!なんという見切り。よほどこの場所を掴んでいる証拠か。

yasuくんの後ろを着いて海の中をじゃぼじゃぼとしばらく歩く。

2カ所目。

海に突き出た小さなふたつの岩にふたり並んで立ち、沖にむかってフルキャストした。

着水。リトリーブ。2、3回転巻いたあたりでyasuくんが話し掛けてくる。
それにひと言応えたところで

カッツーン!!!

金属音がするような硬質なあたりがロッドに響き渡った。

「おぉっとぉぉぉ!」

反射的にロッドを跳ね上げる。瞬間、月に照らされた遥か彼方で白い水柱が上がった。

「跳ねましたねぇ。シーバスですかねぇ。それともチヌかな」
yasuくんが落ち着いた口調で言う。

ゴンゴンゴンゴンと首を振る。振り続ける。
つくずく思うがシーバスの首振りの感触は尺メバルのもがきにそっくりだ。
ラインは0.5号PEだがガチ締めのドラグを緩める必要性を感じない。案外簡単に寄ってくる。走らない。
これがメバルであるといいなぁ、などとシー様に失礼な事を思ってしまう。
20m程に寄せたところでまた派手にエラ洗いをやった。

「シーバスですねぇ。なんか好かれてますねぇw」
そう言ってyasuくんが笑う。

足元まで来てようやくその魚は走った。LEDに照らされて澄みきった海中で銀色が閃く。

「結構でかいですよ!」

「やめてくれー」
ブレイクだけはごめんだ。

83deepの粘り腰ベリーと強じんなバットはその疾走をやんわりといなしてくれる。ラインも持ってくれた。
なんとかyasuくんの足元まで誘導する。空中のスーパーボールがびよんびよんと揺れる。

yasuくんはすんなりとグラスパーを下あごに掛けてハイ!っと手渡してくれた。
おお!これ!グラスパー。持ってみたかったんだよな~w



60半ば程か。スレンダーな魚体。きらめく海中に映える銀色が美しい。

嬉しかった。獲れて良かった。シーバスは嫌いではない。全然嫌いではない。
ただこのタックルで掛かって欲しくないだけだ。口にルアーを残したくないだけだ。

グラスパーのレバーをゆっくり引いてリリースする。ふ~。

そこでyasuくんが不吉な事を言った。

「あんなのうろうろしてたらメバルもいやでしょうねぇ」

それだけは困る。やめてくれ。


しかしそれは杞憂だった。


数投後。すぐ近くで馴染みのあたりが出る。メバルだ!26cm。
そのまた数投後また近くで25cm。
そして遥かロングキャストの沖でひときわ強いあたりが出て27cm。

いいっ!ここいいっ!yasuくんいいのっ!

なんて素晴らしいポイント。ここは僕の財産になる。

その後も釣れ続く。しかし時々止まる。そしてまた釣れはじめる。また止まり、また釣れる。
このリズムはなんだろう?考えながらリトリーブする。

ふと気付いた。あっ!と閃いた。


月だ。


空には真っ二つに割ったきれいな半月が、天頂からやや南の位置に輝いている。
切れ切れに浮かぶ雲がその月を隠したり照らせたりしていた。

釣れるのは月が隠れた時だ。

空を見ながらリトリーブした。月が隠れる。月が出る。手に伝わる短い時合はほぼそのリズムに合っていた。

月か…。

もちろん例外はあろうが今日のこの場所は月に支配されていた。明確に分かった。

長年の命題が解けた気がした。

                 命題「月は良いのか悪いのか」

「満月は釣れる」と釣りに出掛ける。しかし煌々と輝く満月の下でアオリイカ以外で良い思いをした事が無い。
特に天頂に輝く時間帯では海は沈黙する。

要するに影なのだ。フィッシュイーターは影に身を潜める。天頂に輝く月はその影を無くしてしまう。
より深い影を求めて魚は深く潜り込む。光の届かない岩の下や藻の中に。
食い気はあるはずだ。しかしその影をよほどタイトに狙わないと食ってこない。

それが出来ない。出来ていない。

思い出す。先シーズン舌”くんが言っていた。輝く月の下で。

「月が出るとメバルはテトラに入りますね。よほどタイトじゃなきゃ釣れないですよ。」

そうなのだ。この事なのだ。実感した。

今日この場所のメバルは月の輝きに従ってこまめに「そこにある何か」から出たり入ったりしている。

適当に流す僕のジグヘッドは「出た」時にしか射程距離に入っていないのだ。


空を見ると大きな雲がゆっくり流れ月が顔を出そうとしていた。
その空の風の上流にはもう雲は無かった。
澄んだ空に、輝く半月だけが取り残された。

そしてあたりが止まる。yasuくんが言った。

「移動しましょうか!」

OK。目立つストラクチャーの無い、このぺったりとしたシャローはこれまでだ。

また海の中をじゃぼじゃぼと歩き、大きな岩を越えた。

3カ所目。

嬉しい事にここにはテトラがある。しかも横からそのテトラ際を長く引ける角度。
思わず「わー」と声が出る。なんてタイムリーなポイントだろう。テトラだ。タイトだ。萌えた。

と思っていると何も無いシャローでフロートリグをキャストしていたyasuくんが連発する。

「こっちいっぱいいますよー」

えっ!と思うが投げてみて納得する。

ここは藻が異常に濃い。着水直後のリトリーブでもスローシンキングのスーパーボールが藻に触れる。
2gのジグヘッドも引けない。シンキングミノーなんて完全にアウトだ。
影が近い。強制的に魚の潜む影をタイトに流す事になる。射程距離に入るのだ。

そしてひとつのポイントを見つける。それは足元だった。
遠く沖から続く藻場がなぜかそこだけ切れている。垂直に立ち上がる海藻。そのきわで連発。影だ。
yasuくんが27cmを上げる。僕も何本か掛ける。

間違っていない。わずかに傾いた月からその藻の垂直な立ち上がりは背中を向けているのである。

テトラが目に入る。試してみたい事がある。そちら側に立っていたYasuくんに声をかけた。

「テトラ、打ってみたいんだけど…」

「あっどうぞどうぞ」

テトラの延びる延長線上のやや海側に月は浮かんでいた。テトラの沖に影は出来ていない。

ジグヘッド2gにビームスティックを刺した。

10m沖を狙ってキャストしてみる。何も起きない。
5m沖を流す。何も起きない。
2m。同じ。
そして根掛かり覚悟で「10cm沖」をイメージしてキャストした。上手く入る。

リトリーブ。

こんっ!

ジグヘッド特有のきれいなあたりが出る。一瞬テトラに潜られたが引き出した。

27cm。

タイトだ。



時計を見ると21:00。あまり時間がない。

「もう1ヶ所案内したいところがあるんですけど!」
yasuくんがうずうずしたように言う。

望むところです。こちらからお願いします。


車に乗り込み、後ろに着いて305をすっ飛ばす。はえ~この人。なんでもはえ~。ハンドルを真剣に握った。

ずいぶん走る。かなり走る。
まだかなぁと思いはじめたところでめったに点灯しなかったブレーキランプが赤く輝きウィンカーが右に出た。

ここかぁ!

ここは知っている。嬉しかった。ポイントが合う。

100m程離れた場所にほんの2日前にも入っていた。昼間。シーバスだ。1本バラシた。
調子に乗ってシーバスロッドを買ってから3本目のバラシだった。世の中そんなもんだ。

しかし夜、ここに入った事は無かった。
でかいメバルいるんだろうなーと思ってはいたがなんだかものすごく気色悪くてひとりでは入れなかったのだ。

礒場。ごろごろと大岩が転がりショアから10m程に根が点在する。
そこから3mのブレイクになり100m沖は砂地だ。
夏に良くここで泳いだ。魚も貝も豊富。言うこと無しの1級ポイントである。

「ここ知ってますよ」
「えぇ~そうなんですか?」
「何年か前にyasuくん見かけた事あります。友人があれが飯田くんやって教えてくれたのw」
「友人って?」
すえもんっていいます」
「あ~すえもんさんですか!何回か話した事あります!彼はベイトで釣るんですよね~。あのスタイルに憧れてました!会いたいな~」

あの~yasuくんyasuくん…。

あんなのに憧れんでも良いですw会っても良い事無いですw


ポイントに入る。岩が林立する。所々の岩の間に海に延びる道がある。そこを通していく。

「つーさんはメバルで!僕はシーバス狙います!」

勝手が違う釣りに苦戦しているといきなりyasuくんの落ち着いた声が聞こえた。

「来ましたよ」

うわーいきなり。シーバス。べた凪なのに…。固定観念が崩壊する。ここは荒れないと出ないと思っていた…。

声も上げず簡単にいなし簡単にキャッチする。



60後半。太い。HALUCAの新作。シンキングバージョンらしい。

写真を撮りながらひとつの疑問を聞いてみた。

「シーバスルアーのカラーってどうやって決めるの」
「カラー?あ~なんでもいいですよっw」

なんて明快…。


釣り座を移動した。2m程の岩に登る。沖にいくつも根が有り丸く囲まれたような場所。
その光景に突然記憶が蘇った。ここは5年前にシーバスで立った岩だ。その日僕は10連続バラシに見舞われた。
デスのF6-69に20lbのPE。引き波が強く硬い短竿では対処が出来ずことごとく逃した。
この岩からも2本ばらしている。目の前の岩陰から水面のMaria the firstめがけて突き上げてきた。

うわー。シーバス恐いなぁ。このタックルでこの根だらけの場所では掛けたくないなぁ。

と思っていたらyasuくんが声を上げる。

「ここ。シーバスだらけですね~」

見るとまたロッドが曲がっている。

シーバスだらけ…。なんて恐ろしい響き。
メバルタックルを持つ僕の耳には「シーバスだらけ」が「血の池地獄」に聞こえる。

ずいぶんでかそうだ。あぁ…なんて…神…。何度も言うがべた凪なのだ。

そしてまたyasuくんは声を上げた。

「うわっ!潜られました~」

あちこちの岩を飛んでなんとかしようとしている。獲れるといいが。


さて。自分の釣りをしよう。メバル。いるはずだ。

さっきの月と影理論を思い返す。ここは影だらけだ。
空を見上げる。ずいぶん傾いた半月が左上方から照る。
振り向くと少し高いところに街燈がある。この場所は確実にあの街燈の影響を受けているはずだ。
街燈は歩いて回らない。過去から未来永劫まであの角度からここを照らし続けている。
それによる魚の付き場所を考える。当然影だ。でかいやつほど影だ。
しかし月も照っている。これは空を歩いて回る。今は左横からだ。
それによって左側に出る影は消滅させられる。影は岩の右前方の90°にのみ存在するはずだ。そこを狙おう。

小さくて尖った沈み根があった。弱い波で時々渦を巻く。右前方90°を狙うにはうってつけの角度にある。
ルアーはAthlete55Trout Tune。ここはPinTail tuneの飛距離もカウントダウンも必要ない。

根を狙って、投げた。少し外す。根から1m程離れる。だめだ。
もう一度投げる。根の真上やや右。入った。ここだ。集中してリトリーブした。

ゴンッ!

強烈に突き上げられる。しかし外す。あ~!。声が出る。トラウト用の極細のフックが1発で伸ばされた。

Pintail tuneに替える。フックが太い。

もう出ないだろうか。出ないだろうな…。あたりだけではなく一瞬乗せてから外したのだ。

同じラインを通す。1回。だめ。

2回目。ほぼあきらめかけていた。

が。

ゴン!

来た!

落ち着いてパシンッとあわせを入れる。重量が乗った。重い。走らずにその場で鈍重に暴れる。

ロッドを低くした。これはでかい。きっと太い。走らないメバルは太い。

10m足らずの近距離。ゆっくり寄せる。慎重に足元まで寄せ重さを測る。重い。28は確実。

手探りで横に置いたバッカンのふたを開けた。その中に落とそう。

ゆっくり抜き上げた。バッカンを狙って落とした。が、外す。僕のばか~。

メバルは不安定な岩の上に落ちた。べたんべたんともがく。

わ~まずい~。

慌ててしゃがみ込んでメバルを押さえた。押さえた手の感触は真ん丸だ。クマンバチのようにころんころんだ。

LEDを点ける。照らす。思わず声が出た。

「よっしゃ~!」



茶色くねばねばしているが僕にとっては宝石だ。その美しく澄んだ目は原石から覗く宝石その物ではないか。

28は余裕。29に絡む。自分に課しているメバルダービー登録サイズは確実に越えた。

バッカンに水を汲み泳がせる。計測は後だ。生きていれば縮んだりしないだろう。
(開高健よると魚は釣られると生きていても縮む。彼はそれを「恐縮する」と書いている。今思い出したw)


続ける。いくつかの沈み根を通す。が、出ない。
沖に抜ける水道を狙う。水道を越え沖に投げ、両脇の岩の影を意識してリトリーブする。
左側の岩。ややラインをこすらせながらギリギリを通過させた。

ゴン!

よしっ!合わせる。乗った。これもでかい!少し溜めて寄せようとした途端、外した…。あ~…。

もう乗っていた。乗りに乗っていた。投げ続ける。意識してオープンウォーターを流す。だめ。出ない。
根を意識してこすりつける。ロストしたって構わない。pintailなんていくらでもboxに入っている。
タイトなのだ。タイトでなければ出ないのだ。確信していた。

そしてその通り、答えが返る。

ゴン!あたる。外す。またあたる。また外す。なんて下手なのだ。いりいりする。

えいっと投げる。根を通す。またコンとあたる。しかし乗らない。

???

おかしい。pintailを見た。

ベリーのフックが2本。伸びていた…。最初のバラシで既に伸びていたのだ…。チェックしなかった…。ばか。

振り返ると遠くでyasuくんは写真を撮っていた。フラッシュが閃く。獲ったんだな。よかった。


時計を見た。22:30。タイムリミット。終了だ。


さっきの魚をyasuくんに見せる。

「うわっ!デカッ!」

この人の口からこの言葉を聞くのは何よりの快感だ。

計測する。メバル釣りで一番難しいのは計測の写真撮影だと思う。
おとなしくしててや~いいこやでな~などと声を掛けつつなだめる。
さあ鎮まったとカメラを構えシャッターを押そうとする瞬間必ずべたんと暴れる。それを繰り返す。

こいつは特にひどかった。
yasuくんに押さえてもらう。そーっと手を放した瞬間にシャッターを押そうとすると必ず暴れる。
もう10回以上やったと思う。
最初は暴れるたびに笑っていたyasuくんもそのうち笑わなくなった。いらいらし出したのだw

ようやく納得の写真が撮れた。は~ぁぁぁ。これに疲れ果てる。




これは何cmだろう。皆さんはどう思う?

yasuくんは29で文句無しと言う。しかし僕は28.5かなと思う。

「28.5ですね」
「いや~29でいいでしょ!」
「29…は…ん~微妙。28.5でいいですよ」
「29でいいですって!」

変な会話を続ける。これがすえもんとだと言ってる人間が入れ替わるw

判定は写真を見てもらいバーブレスくんにまかせる事にした。
そして翌日のやすや倶楽部を見ると29cmと読んだようだ。

でもねバーブレスくん。これ。本当の正確なところは28.7cmですよw


計測中に(凪ぎなのにw)whoozyさんが合流する。このメバルを見て彼は低い声で呟いた。
僕は聞き逃さなかったよぉw

「がんばろっと…」



ここでお別れ。楽しかった。心から。

車へ向かう一人の時間。今日を振り返る。

そして思った。



yasuくん。


濃いよぉ。


特濃180分であった。




TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR83deep
REEL/EXIST2004
LINE/Daiwa Emeraldas SENSOR 0.5号+7lbフロロ
LURE/ jighead0.4g+do-yodama+beamfish(seabass+mebaru)
    jighead2g+beamstick
    Athlete55 pintailtune

Moon DATA
コメント (17)
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海水浴場は海水浴を楽しむためだけにあるのではない

2009-11-05 21:16:30 | seabass
昼間吹き荒れた風も予想通り夕方には弱まった。

前日の夜、岩壁の向こうでシーバス58cmとアジ20cm多数を上げていた。
しかし風が強くうねりも強くアオリイカは不調に終わっている。
その海の状況からみて今日も波はまだ残っているはずだ。

ふと今日は水曜日である事を思い出してtomくんに電話をかけてみる。もちろん家電話からだw

「こんちわ~」
「あっ、つーです」
「はい~」

名乗らなくても既にこちらが誰だか判明している事に今だ慣れる事が出来ないwけーたいって…w

「今日は何してんの?」
「いや~今日は行かないっす。うねりも風も強いですからねぇ。昨日夜○へ行ったんですがだめっしたねぇ。」
「あ~やっぱり。そうか。そうよねぇ。でもちょっと行ってきますわ。」
「気をつけて~」

やはりアオリの線は薄かろうなぁ…。困ったなぁ…。終わっちまう。


11/4/18:30

今日のアオリはここと決めていた港に入ってみるが一面のサラシ。怒濤。おまけに疾風。

だめだ…。波高2.5m…。僕の持つ外海のポイントは全滅である。

気が進まぬまま某巨大漁港内部の新堤に入って小一時間しゃくってはみたが全く乗る気配が無い。

乗らんなぁ…。イカも。困った事に気持ちも…。


車で海岸線をゆっくり流し今日のプランを考える。朝までたっぷり時間はある。

この波で狙えるのはやっぱあいつだけだろうなぁ。そう。シー様。
岩壁の向こうでは直近2回で2本だ。先日の寒波とこの波。もうショアにも着いているはずだ。

流していた車をある海水浴場の前で止める。様子を見る。
幾重にも重なる白い波頭がぼんやりとした街燈に照らされていた。
過去のいくつかの良い思い出が頭をよぎる。全てこの波だ。

よし。やるか。

ハッチバックを開けロッドを取り出す。さっきまでしゃくっていたエギングロッドだ。

ZENAQ ASSAUT Shore S92H

遠くの底のデカイカ狙いで久々に出したロッド。
海のショアからのルアーフィッシングにおけるエギングロッドのバーサタイル性を考える。
そのパワー。その軽さ。その感度。ほとんど狙えないものが無い。
ASSAUTの92Hであれば考えうるほぼ最大級のシーバスであっても対処できる。
ただしそれはブランク性能の話である。そのロッドパワーに比すれば極端とも思えるPEの細仕掛けを必要とするエギングロッドには小さなガイドが必須である。そのガイドの小ささがエギングロッドを専用ロッドにしている。

こんな荒れた海のシャローでシーバスを狙うのであれば最低でもPE1.5Gと20lbのリーダーが欲しい。
しかしガイドの抜けを考えるとエギングロッドでそれは無理なのだ。

PEは0.8G。これしかない。
「Kさんごめんなさい」
と心の中で唱えながら付いていたエギを外し10lbのリーダーを切り12lbに結び替えた。

「専用」ではない微妙な中途半端さ。狙う獲物とシチュエーションに対してややバランスを崩したライン強度。
大概それでも問題なく事は済むのであるが「時として」悲劇を生む事もある。時として。

スナップにHALUCA125Fを装着する。

yasuくん推奨のこのルアー。良く飛ぶとは聞いていたがこれの飛び方はちょっと特殊だ。
飛行姿勢の安定した状態での飛びはまるでロケットの勢いである。
力任せにぶん投げてもだめだ。姿勢を崩させるだけである。姿勢が崩れると悲しいほど飛ばない。
短いたらしでティップとベリー上部に重量を乗せる感触で軽くひゅんとロッドを振る。
すると振ったロッドのスピードより速いのではないかという勢いでラインが出て行く。一直線だ。
ロッドを振った力と飛距離の感覚がおかしくなる。なんでこんなに飛んだの?と。
それにアクションも非常に素直。
ぶりぶりと無理矢理動くのではなく、一定以上のリトリーブスピードを必要とする良くある重くて鈍いシーバスルアーでも無く、とても自然にひらりふわりと身を翻す。軽くて可憐なアクション。釣れるよな、これは。

海岸に降り立ちキャストするポイントを探す。
荒波は遥か沖で立ち上がり何重にもなって押し寄せてくる。急な傾斜を駆け上がった波が足首を洗う。
こんな状態でも目を凝らせばポイントが見えてくる。
この波の中でも波立たない部分。黒く渦を巻くだけの部分。ねらい所はそこだ。

ひゅんと軽く投げる。やや弱いフォローの風を受けHALUCAは飛んでいく。
しかしこの海岸ではあまり飛ばれては困るのである。沖にはここ特有の嫌な障害物がある。

何度目かのリトリーブ。波打ち際沖10mのブレイクでゴゴンと何かがあたった。乗らなかったが。

よ~しよしよし。魚は居る。

一気にテンションが上がる。案外近くにいる。
波打ち際に小さくぽつんとある沈み根の奥へ斜めの角度から打ちこんだ。

ゆっくりリトリーブ。ブレイクに差し掛かる。

そこで。

ゴフッ!

来た!

口とえらを大きく開けてルアーをバホッと吸い込んだのが見えるようなあたり。
ずんとロッドのベリーを溜めるように重くあわせを入れる。

ゴンゴンゴンと首を振る。もごもごと蠢く。
そこで僕はこの魚の大きさを65cmと読んだ。メバルの癖で掛けた瞬間に大きさを読んでしまう。
魚はまだ戸惑っている。起こった事が理解できないでいる。なんだこれは?なんなんだこれは?もごもご。

しかしすぐに魚は理解する。これは…逃げるべきだ。

走り出した。ロッドに本当の重量が乗った。

うぃぃぃぃぃんんんん。

4号のエギの鬼しゃくりでもチリとも鳴らないところにドラグは締めてある。それが軽く出された。

!!!

勘違いに気付く。65ではない。これは70を越えている。

まずい。この波打ち際の引き波の中、0.8Gでガチ締めのドラグで捕れる魚ではない。
スプールに手をやった。半回転ほどドラグを緩めた。沖に出したい。

その瞬間魚は更に加速する。希望通り魚は沖に走った。しかしそれは希望を越えた加速だった。

うぃーぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ!!!!

うわ、ぁ、ぁ、ぁ…70…どころでも無い。なんなんだこれは。今度は僕が戸惑う。

うぃーぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ!!!!

いいようにラインを出される。トルクが凄い。余裕が凄い。

30mも出されただろうか。そこでようやく魚は減速した。
これ以上は出せない。沖には障害物がある。そこまで行かれたら完全にアウトだ。

止まった…疲れたか?これだけ走りゃ疲れるだろう。なんとか寄せなければ。

ドラグに手を伸ばした。短絡的に1回転。ドラグを締めた。ポンピングしようとロッドを引き寄せた。

瞬間。

うぃぃっ!うぃぃっ!うぃぃぃっ!うぃぃぃぃぃ!

渾身の力で魚は走った。滑らか、ではなく、ドラグが鳴った。がくんがくんとロッドが煽られた。
もう手はドラグに伸びなかった。だめだ。と思った。間に合わない。これは…全然…70ではない。

うぃぃうぃぃぃ.....プンッ!

テンションが抜けた。

ブレイクした。

しゃがみ込んだ。少し恐かった。手が震えた。

しゃがんだまま遠い過去に釣った自己レコードの83cmのファイトを思い出していた。



あれも重かったがこんなには走らなかった。10m先で掛けて20mの範囲で片が付いた。

あれにこんなトルクはなかった…。

なんなんだ…。なんなのよ……。

どうしようか迷ったがやめられるわけが無かった。
まだ震える手でFGを編んだ。さっきと同じタックル。

今度来たら走るだけ走らせよう。沖殺しだ。完全に浮いてから寄せよう。
反省した。経験から学ぶ。今度はそうしよう。

しかし大抵そんな反省は生かされる場をもたない。同じ事などめったに起こったりしないのだ。


しかし。

ところが。

この夜はよほど良い夜のようだった。



見渡す海がなんだかとても見やすくなった。
振り返ると背後に迫る急峻な山の端から大きな月が顔を出していた。

月…か。良いのか悪いのか。


ルアーをShore Line Shiner SL14LDS-Gに替えた。スローシンキング。
カラーはさっきのHALUCAと全く同じ、赤腹のイワシだ。形状も良く似ているがサイズは一回り大きい。

波打ち際を歩き50m程移動した。波の立たない黒い海面を選んで打っていった。
移動しながら打って行く。海岸から突き出た大きな根の沖に美味しそうな黒い水面があった。

魅惑的な雰囲気のポイントを打つ前のわくわく感。たまらんなぁ。あそこ。

しかしそこにはぎっちりと流れ藻が集まり釣りにならなかった。
だが何となくその場所をあきらめきれなかった。雰囲気に満ちあふれていた。

角度を変え流れ藻の沖に斜めにキャストした。リトリーブしてくれば流れ藻の影をかすめる角度。

ゆっくりと巻いた。味わうように巻いた。流れ藻は吉兆のはずだ。きっと。

ルアーが流れ藻をかすめた。アクションが変わった。小さな藻を一筋拾った。だめだ。

何も起こらない。思った瞬間。

ゴフッ!!

!!!!

さっきと全く同じ吸い込むあたり。泣きそうになりながらドシンッと溜めるようにあわせた。

ごんごんごん!

既視感のような展開。魚の戸惑いを受け止めきっておもむろにドラグをかりりりりと緩めた。反省を生かせ。

走れ!

うぃぃぃぃぃぃぃん!!

また魚は沖に走った。更にドラグを緩めた。

うぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!!

もうどこまでも走る。時々スプールをサミングしながら様子を見た。

ん?

さっきほどのトルクと余裕が感じられない。小さいか…?

いや、また勘違いかもしれない。慎重にいこう。もうどこまでも付き合おう。沖で完全に殺そう。

スプールを押さえてポンピングした。ゆ~っくり。ゆ~っくり。

しかし少しでも走るそぶりを見せたら惜しげも無くラインを出した。そしてまた寄せた距離を出される。
疲れるとグリップエンドをお腹に当て片手でロッドを支えて休んだ。魚は沖を横にゆっくり泳いでいる。

ポンピング。出す。休む。ポンピング。出す。休む。

そんな事をなんと15分もやっていた。胃がきりきりと痛くなってきた。比喩ではなく現実に。
1匹の魚にこんなに慎重になったのは初めてだ。
さっきのがよほど堪えているようだw
僕って。単純。

その一連の経過の中でこの魚はさっきよりはずいぶん小さいことを確信した。
70…ちょいか…。

なめはじめたところでふとラインのテンションが抜けた。ぞわっとした。ばれたか?
あわててロッドを煽ってみると…良かった、まだ付いていた。
魚はこちらに頭を向け浮いている。

もういいでしょうw

ドラグをがっちり締めポンピングせずにゆっくりと寄せてきた。
しかし最後の難関がある。波打ち際の引き波だ。

沖からは次から次へと波が来る。うまいタイミングが見出せない。
少し待った。波の周期が弱くなるタイミング。よし、今だ。沖を見た。次の波は遥か彼方だ。

一気のポンピング。弱い引き波に巻き込まれたが容赦しなかった。
そして魚は寄せ波に乗った。波が引き、波打ち際にごろんと取り残された。慌てて駆け寄り下あごを掴んだ。
思った以上の重量と下あごの厚さに戸惑いながら陸へ取って返した。波が追うように寄せてきた。

うっし。獲った。

ついいつもの写真の癖が出て手に持ったまま撮ってしまった。重いw



顔だけw こう見るとメバルって小さいんだなぁw

地面に横たえた。太いなぁ。80あるか?と思ったが手尺で測るとややたりない。



78cm。案外でかいな。

フ~と息を吐いた。そこで。体に。異変が起きた。

ファイト中からきりきりと痛んでいた胃が急にぐぅぅぅっと締め込みはじめた。
立ってられない。体をふたつに折ってしゃがみ込んだ。吐きそうだ。胃けいれんを起こしている。
完全にストレス性である。魚釣ってストレスって…。なんて情けない…。

以前にも書いたが僕は大きな魚の強烈なファイトが苦手なんである。
そんなに強く引っ張らないで下さいお願いしますと常に思っている。
大きな魚は魅力ではあるが出来ればお愛想程度にファイトしてサクッと上がってきてもらいたい。
ひと言で言えば恐いのだ。生理的に暴力が苦手、というのと近いと思う。
じゃあ釣らなきゃいいんだろという事だがでもそれはそれでやっちまうんである。あほだ。

ブレイクした怪物と気を使い過ぎた78cm。それに何より細いライン。
それらはかつてないストレスを僕のストマックに与えていたようだ。重ね重ね情けない。
メーターマサなんて掛けたら死ぬと思う。死ぬの嫌だから途中で放すと思う。竿をw

しばらく待ったが胃けいれんは治まる様子が無い。
仕方なく帰る。海岸に転がっていたハッポーのトロ箱を拾いシー様を横たえて車に乗せゆっくりと家に向かう。

帰宅して嫁と2人で78cmをしげしげと眺める。
えらと頭にあるフックポイントを見て嫁は

「あんたも戦ってたんやねぇ。」

と、魚にむかってしみじみ言った。

まだ体を二つ折りにしていた僕に嫁は熱い薬草茶を淹れてくれた。
一口、こくりと飲む。
熱い液体がのどを通り食道を通り胃に到達してじわっと広がった。瞬間、胃けいれんが治まった。

「わぁ!治った!!」

そして嫁に言った。

「もっかい行ってくるわ」

あきれた顔で

「気をつけてね」

と送り出してくれた。うちの嫁は釣りに関して何も言わない。もっとがんばりなさいとすら言う。
皆さまのブログを読んでいるとそのあたりで非常に苦労なさっているようなので僕はとても幸せ者だと思う

再び同じ海岸に降り立つ。懲りていない。のど元を過ぎればすぐに忘れる。

しばらくキャストするが何度かあたりがあったのみでその後沈黙した。

次はあそこだな。

車に乗り移動。こんな波では勝率8割のガチポイントがある。これもまた海水浴場だ。

僕は海水浴場が好きだ。

越前海岸の海水浴場はことごとく岩礁絡みである。ゴロタが有り海藻も豊富なシャロー。
シーバスだけではなくメバルにも好ポイントが多い。何より人が少ない。

海水浴場はただ海水浴を楽しむためだけにあるわけではないのだ。

ある港に乗り入れる。その横にある小さな海水浴場。海岸から30m沖の近距離にテトラが入る。
波がそのテトラを越え、内側にサラシが出来ている。ここはそのテトラの内側を横から狙えるのだ。
幅10m。投げてもせいぜい40m。水深は1mしかない超小場所。サイズは出ないが確実である。

身を縮めてそっとポイントに立つ。小場所に似合った小さなルアー。CALM80だな、ここは。
ここはメバルの可能性もある。先シーズン最初にメバルを上げたのもここ。2008/11/23だった。

フルキャストしてテトラの開口部まで届かせる。ゆっくりとリトリーブする。
ココン!あたった。しかし乗らない。もう一度投げる。足元の沈み根付近でゴン!と来たがまた外す。

今日もいるな。うしし。もらったも同然。フォローにpintail6を選んだ。無敵のマイクロミノー。

キャストしリトリーブの中盤。ゴゴゴゴと来た。よし!

また戸惑いの首振りを見せたがさっきとははケタ違いに小さい。

余裕っちラララ~。

というかこれぐらいが僕の耐えられる限界w

かなり乱暴な扱いで引き寄せ一気に抜いた。


54cm。

ここは出ても60である。それに超小場所なだけに1本釣るとそれで終わる。

みたび最初の海岸に戻り朝まづめを迎える。しかし海は沈黙した。もう何も起こらなかった。

なんだか帰り難かった。この波の朝まづめ。サラシ打ちがしたかった。

テトラ帯に入る。ロッドはこれを選んだ。


CPS133B。

「B」である。
13ftのベイトロッドだ。男竿。あるいは物干し竿と呼んでいる。ぶぅぅぅ~んと振る。
70を掛けても溜めているだけで勝手に浮いてくるパワー。
こんなのあるんなら最初から使えばよいのだがサーフからのロングキャストに向くロッドではない。
足場の高いサラシ打ち。あるいはゴロタのサラシ打ち専用として使っている。

ルアーはShore Line Shiner MM13。

足場の高い礒、あるいはゴロタ帯においてこれほどの完成度を持ったルアーは無いと思う。
ロングビルで足元までリトリーブできる。障害物にあたってもヒラを打って回避してくれる。
沈み根の向こうに投げ入れ、直接当て、ヒラを打たせて手前に入れて食わせる、のがパターン。

2,30mの距離で次々と美味しそうなサラシを打って行く。この行為自体がものすごく楽しい。
今にでるか?今にでるか?と銀色のひらめきを想像する。

足元の沈み根。真上を通して手前に入ったところでゴンッ!1発出た。
乗らなかったがその魚はしばらく水面できょとんとしていた。よく見ると体高が異様に高い寸詰まり。
ヒラやなあれは。
50cm程か?ゆっくりと体を横にして潜り込んで行った。
ぎらりとした体表の独特の鱗の輝きは明らかにヒラだ。

そしてそれきり。もう何も起こらなかった。帰るか。久々の完徹。


あ。その前に。ようやくこいつを手に入れたw



あみー!

tailwalk Catch Bar500。

ネットと枠の色はこれしかないなとオレンジ&ブルーで揃えたw

もうこれで安心wなんでも掬える。掬いまくってやるw


ふーぅぅぅぅ。

それにしても。



サラシって美しい。

目に沁みる。


TACKLE DATA
ROD/ZENAQ ASSAUT Shore S92H
REEL/CERTATE2500 CUSTOMBODY
SPOOL/NoLimitz EX2500A
LINE/剛戦X SW0.8G+12lbフロロ
LURE/HALUCA125F
   Shore Line Shiner SL14LD S-G
   Pintail6

Moon Data
コメント (13)
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