Fliegenfischen am Wochenende

Fly Fishing in Europe
(Bozemann Europe FFC, Tight Lines)

OH! My Rod!!

2007-04-30 | Fly Fishing Holland

Bozemann Fly Fishing同好会。

そう。欧州駐在者・欧州出張が多い日本人フライフィッシャー達の集まり。
なんの規約もなく、あるのはワッペンのみ。
ブログ・メールで情報交換をし、時には集まって馬鹿話をする集まり。
しかし、今週は一体?

スウェーデンで初アトランティックサーモンをあげた空飛ぶ魚屋さん
フィラデルフィア・モンタナで釣りをしている師匠
沖縄でカツオ・ツナを釣っているミッチー
みんな本当にアホだ。
でも、ボクが一番ドラマチィックなアホだ。
今回は自信がある。負けない自信があるんだ。
(一体、誰と競っているのだろう・・・)


本日起こった出来事をアップする前に、とんでもないことになってしまった
OVのレインボーさんに、この場を借りてお詫びさせていただきます。


■日曜日。午前5時。
相変わらず北東から風が吹いている。が、弱い。風力2といった感じ。
昨日、ホテルに帰る前に状況を確認し
北東の風の場合、本湖から浜に抜けていく流れが出るM岡から流す作戦。

手前から居つきのレインボーを狙う。
右。左。
3歩前進。右。左。
なんどもなんども繰り返す。出ない。
居付きはいないようだ。

昨日1匹取り込んだ際、ネットの中にLEDライトが不覚にも入ってしまっており
明かりがない中での釣行。トラブルだけは避けたい。
30分後。白々と夜が明けてきた。
携帯電話のライトを頼りにフライを変更。エース、モー浜登場である。
風向きが変わった。東風。
水面の流れは浜から本湖に流れていく。
東風は天敵だが、今朝は何かが起こる気がしてならない。
風を背に受けフライを漂わせる。

ライズ・モジリを2度程見つけたが、フライへのアタックはない。
午前6時も近い。かなり明るくなってきた。
「ティペットが太いかな?」
昨日からフライ交換している際に、付け替えていないため短くなってきたこと
もうずいぶんリーダーも交換していないことから
新しいリーダー・ティペットをおろすことにした。
ラインを手繰る。
「おっと、Loop to Loopでフライラインに繋いでいるんだった。
金時を逃さないためにも、一旦キャストし、リーダーで輪を作ってからラインに繋ごう。」

ロッドを消波堤に置く。
(そう。この時、唯一ロッドから手を離したのだった。)

胸ポケットから3Xのリーダー&ティペットを取り出す。
裏を見る。「ふーん。Timcoのは25%がティペットか。」
「12ftだと3ft。そういうことだとこれ位か?」
と両手を広げた瞬間・・・

ガタガタッ!
バシャシャシャシャ!!!

物凄い音とともにロッドがリールが湖に持っていかれる。
「いかんっ!」
慌てて、水に入る。
が、凄い勢いでロッドが消える。深場に入っていく。
「間に合わないっ!」
湖面に水飛沫があがった。
178cmの大物がロッドに向ってライズしたのだ。
まるで、ゴール左隅下にシュートを決められそうになったゴールキーパーの如く
半身の体制から湖にダイブした。

左肘を強打、左膝も強打。
左半身ずぶぬれ。
が、努力虚しく左手にはロッドはなかった。
今まで苦楽を共にしたSage
フライフィッシングで初めてレインボーを釣らせてくれたSage#5のロッドがなくなっていた。
勿論、リールも一緒だ。
ご丁寧にリールだけ置いて行ってくれる律儀さはなかったようだ。

湖面を見る。
沖の方でレインボーがジャンプしている。
後ろには約9ftの不自然な長い棒状のものがついている。

呆然と湖面を見る。
消波提に向って一筋の線が水面を切り裂く。
うぉっつ。戻ってきた。
「かもーん。かむばぁっくぅ!」大声で叫ぶ。
が、途中で消えてしまった。


1分経過...

   何事もなかったように波が打ち寄せている。


3分経過...

   「OH! MY GOD!! 」やっと言葉がでる。


5分経過...

   身体が冷たいのが分かる。ずぶぬれなのが分かる。風が強まってきた。
   膝が肘が痛い。きっと明日は青く腫れ上がるだろう。


10分経過...

   起こったことを思い返そうと努力する。
   思い出せそうなのだが、思い出せない。
   思い出したくもない。
   手には何も無い。何も持っていない。
   金時というのに釣りができない。
   「だって、ロッドとリールを持ってかれちゃいましたから」
   こんな作り話のようなことが、ブログネタのようなことが
   本当に起こっていいのか?


15分経過...

   何故だか、イソップ物語が頭に浮かんでいる。
   【金の斧 銀の斧】
   OVの神が出てきて、『そなたの無くしたのはXXXXじゃな?』と聞かれたら
   「バンブーで返事をすべきか?」
   「ブランドは正直に言って、ロッドの種類をZ-Axisで返事してもいいか?」
   「やっぱり、ブランドもロッドの種類も素直に正直になるべきか?」
   などと訳の分からないことを考え出している。
   
明らかに正常じゃない。
  
帰るしか、
一旦車に帰るしかなかった。



■日曜日。午前6時30分。
ホテルに帰るべく車まで戻る。
エンジンをかける。
「帰ろう。帰ってシャワーを浴びよう。」

誰かの声がする。
『負け犬のままでいいの?』と。
『トランクに1本予備があるでしょ?何故、リベンジに行かないの?』と。

濡れ具合を確認。
先週よりも濡れていない。そりゃそうだろう。
ゆっくり時間をかけて沈(ちん)したのと半身でダイブしたのは違うはずだ。
「いける」
「オレ。まだいける」
「まだ戦える」

Sage#6を持ち、戦場に戻った。

先程の海峡部に向ってシューティングヘッドのインタミを投げ込む。
魚はどこだ。どこなんだ。
扇状にキャストを繰り返す。

右を見る。キャスト。
左を見る。

んっ?

何か違和感がある。

湖の中に何か存在しないものがある光景が目に入った気がする。



あんなところにアンテナが・・・
ふーん。変なの。
あれっつ。
あの細い棒。ガイドが付いているような・・・



OH! MY ROD!!
OH! My God!! It's my rod! It's mine, you know?
あれ、オレのSAGE。My SAGE!
もう、頭の中ぐちゃぐちゃ。
何で?WHY??Warum???

こんなことが・・・本当にこんなことがあっていいのだろうか?
半ベソかいて車に戻って、6番のSAGEを持って戻ってきた。
その間、15分はかかったはず。
でも、目の前にボクのSageが、愛しのSageが突き刺さっている。
『助けてくれ!』と湖の中に突き刺さってるではないか。

冷静に状況を分析せねばなるまい。
恐らく、水の中はこうだ。
だとせば、こんないいブログネタがなくなる可能性もある。
写真。まず、写真だ。
パシャッ。撮った。
「よし。面白いブログが出きそうだ。」
違う。そうじゃない。
今一番にすべきことは写真じゃない。
あまりにも予想外の光景に本当に壊れてきている。

恐る恐る水の中へ入る。
3メートル程進むとその先の湖面は真緑。
ロッドまでは5メートル程だが、かなり深そうだ。
『前進あるのみだ!』また声がする。
『やめとけ。今回は本当にやばいぞ。本湖の方に行ったら死ぬぞ。』と別の声。

いやぁ。よかった。
先週溺れておいて本当によかった。
勇気ある撤退
ボクは少し大人になっていた。

「さて、どうしよう?」
OVの神様がロッドを持って来てくれた。
VIVA。イソップ物語。
でも、ちょっと届かない。
何か手はないか?
浜を見る。何とチューブに乗った救世主がいるではないか!
「Hello! Heeeelllllllo!」
両手を振って呼びかける。が、なかなか気が付いてくれない。
こっちに向ってきているのは間違いないが、後ろ向きに進んできている。
足ヒレ入れでキックしながら進んできているからだろう。
何度も叫ぶ。何度も手を振る。

しばらくすると気が付いてくれた。
一生懸命両手を振る。無人島に打ち上げられたかのように助けを求める
向こうも応えてくれた。
しかし、通常の朝の挨拶と思ったのか釣りを再開してしまった。
でも、消波堤から手を振り続けていることを不思議に思ったのか
時折釣りの手を休め、こっちを見ている。
「神様が救世主がボクの存在に気づいてくれた。気にしてくれている。」

大きく手を振ろうと思った瞬間。
バシャッ
何とっ。ライズ。
しかも消波堤沿いの浜側。キャスティングレンジ!
ヒュンヒュンヒュン
Sageを投げる。シューティングヘッドを投げ入れる。
が、どこかへ行ってしまった。
「残念。逃した!」
「そうそう救世主に助けてもらわないと・・・」

ドアホだった。
まさに【2兎追うものは1兎も得ず】。
救世主は釣りを再開してしまった。

辛抱強く救世主が近づいてくるのを待つ。
大きな声で話かける。
「Excuse me. Could you kindly look for my rod?」
「A rainbow trout took my rod into the lake!」
「You see? Over there, you can see my rod in the lake, like an antenna.」
2人して仙人岬方向に目を向けた。

が、そこにはロッドもアンテナも避雷針も棒状のものは何も立っていなかった。
親切なオランダ人は何度も何度もロッドが立っていた辺りを探してくれた。
『見つけたら取っておいてやるよ』と暖かい言葉を残し
名前も、どこに住んでいるかも、何人(国籍)かも聞かず仙人岬方向へ流れていった。

娘の不吉な言葉。
チビまる子ちゃんから聞いたという諺
先週の土曜・日曜に引き続いて、3回目が起こってしまった。
しかも、2週連続のずぶぬれ+αという形で。
今回も失くした物は3つ。
「Sageのロッド」「Sageのフライライン」「Pfluegerのリール」
先週との違いは、それらを同時に失くたことだけだった。


ところで、これは盗難届けになるのでしょうか?
遺失物届けになるのでしょうか?




嘘のような本当の話です。脚色一切ありません。
今後OVに行く方でSageのロッドが打ち上げられていたり
Sageのロッドが付いたレインボーを見かけましたら連絡ください。
ボクのロッドですし、レインボーは手厚く葬ってあげたいと思います。

コメント (24)
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