夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

100年の難問はなぜ解けたのか

2012-04-12 | review
この本はポワンカレ予想を解いたロシアのペレルマンとその風変わりな性格を描いたもの。
宇宙が(3次元的な意味で)球面なのか、ドーナッツの表面なのか、どんな形をしているのかを決定する方法についてポワンカレが提示し、それを彼は証明した。

NHKの番組を元にしたものだから、エピソードは面白く読めるが、L関数などの数学的な道具立てにしても、なぜエントロピーが出てくるのかにしても、いちばん知りたいところがわからない。
日本人の書く数学関係の本は、数式なしのお話か、数式をやたら操作するばかりの専門書しかなくて、「こいつホントにちゃんとイメージをもってわかってるのか?」という不安を抱かせるものが多い。

なぜ位相幾何学ではなく、微分幾何学、つまり偏微分方程式の手法で解けたのか。
この予想が位相幾何学を牽引してきただけに、その深い意味が明らかになっていないのが物足りない。

そうした不満はさておき、(もう一つの難問中の難問のリーマン予想もそうだが)天才たちがこの世界の神秘を垣間見ようと悪戦苦闘してきた姿は感動的だ。
なぜ数学によって世界は説明できるのか、
なぜ宇宙は数学的にできているのか、
数学を生み出した人間は宇宙においてどのような意味を持つのか、
そうしたことを考えてしまう。


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