野球肩(肩峰下インピンジメント症候群)

2009年06月13日 | Weblog
中学生の野球少年が肩の痛みの相談にいらっしゃいました。

付き添いのお母さんいわく

投球練習のあと、肩が痛むので病院にいったら肩の関節に「骨棘」がでている

といわれたそうです。



中学生で骨棘…

『先天的な問題だろうか?』といぶかしむ私。


先ずは手技療法による治療が可能な状態なのかを調べます。


本人の訴える痛む場所は漠然としており、痛みは肩の外側からやや前方にかけて。

左右の肩を触り比べてみると、腫れによる熱はない様子です。

手を前からと横から頭上に上げてもらっても今は痛まないといいます。

(肩の関節に腕の骨(上腕骨)を押さえ込んでいる回旋腱板という部分があるのですが、

手を上げてもらうのはこの部分の怪我が無いのか調べているのです。)

他にも諸々調べてみましたが、今のところ故障らしい故障はないことがわかりました。  ほっ


しかし、よく調べてみると肩のソケットに対して腕の骨の位置が痛めている側だけ前にせり出しています。

肩の裏側にある筋肉を調べてみると、

外にねじる筋肉(外旋筋:棘下筋/小円筋/三角筋の後部)がだいぶ縮んでいることがわかりました。

腕を上げる際の骨の動きを指で追ってみると、

腕の骨が肩関節のソケットから前にせり出すような動きが確認できます。

これも外にねじる筋肉(外旋筋:棘下筋/小円筋/三角筋の後部)が縮んでいるサインです。

こういった条件のまま腕を上げる動作をすると、

外にねじる筋肉のスジ(腱)が集まった回旋腱板や

肩峰下滑液包という関節のクッションを痛めてしまいやすいのです。(←いためる順序としては滑液胞が先です)



次に、投球フォームを診てみると、

肘を曲げたまま、肩から腕を振り回すようにあまり股関節を使わずに投げています。

ようは「手投げ」状態なんです…


聞けば小学生時代に肘を痛めたのだとか。

ひょっとしたら痛めた肘をかばいながら、徐々にフォームが崩れていったのかもしれません。


今回の騒動(故障)はこの崩れたフォームで投げ込むことで、

肩先に一時的な炎症を起こしたのでしょう。


今のところは落ち着いていますが、

少年の持つカラダの条件(関節の可動制限/運動パターン)が変わっていなければ

練習再開後、再発する可能性は高いでしょう…


少年には、肩裏の筋肉のストレッチを次回の治療まで続けるよう伝えました。

次回は肩のソケットへ腕の骨がしっかりと収まるための機能訓練を伝える予定です。

その次は対角の股関節の使い方を直して

フォームを修正して…

と、

やることいっぱいです。

が、

一通り条件が揃ったら、ゴッツイことになるでしょうね~(うひひ

楽しみです

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