ヒトの身体は精巧にできているが…

2017年07月12日 | つぶやき

【精巧】仕組みが細かくよくできていること

【デリケート】

・感受性が強く、繊細なさま

・細心の注意を要するさま

・精巧にできていて、こわれやすいさま

これを前提として…

臨床経験を積めば積むほど、

ヒトの身体というのは実に上手くできているなと、感心してしまいます。

精密機械のように精巧にできていつつも、多少の不具合があってもそうそう簡単には壊れないし、

キッチリ機能することができる(それが本当のベストパフォーマンスとは限りませんが…)。

つまり、決してデリケートではないところがまた人の身体の凄さだと思うのです。

 

先日、ある競技の試合会場にて、故障を抱え不安な面持ちでいる選手にこんな言葉をかけました。

「ヒトの身体は精巧にできているけど、デリケートにはできてはいないから大丈夫!

この程度の不具合なら試合を邪魔することはない!

僕もついてるから思い切って行こう!」

と。

実際、故障と言っても違和感が残る程度で、関節機能もほぼほぼ正常でした。

今までの経験からも、彼の今の状況であればベストを更新する可能性も十分にあると感じました。

こうしたときに成否のカギを握るのは本人の「心」です。

ここ一番!というときに一番厄介なのは「気の迷い」が吹っ切れない時です。

身体は精巧にできていますが、それでいて結構タフにできてます。

しかし、「心」は意外に繊細な造りをもっているようです。

背負うものが大きくて精神的に追い込まれたときには、

無意識に諦めるための切っ掛けを求めてしまったりすることもあるわけです。

今までの経験上、そうしたシチュエーションではたとえ小さな不安の種でも放っておくと雪だるま式に大きくなって、

本来の力を発揮できずに終わってしまうこともままあること。

逆に、気持ちが乗った時には多少壊れていても(中にはがっつり壊れていても)信じられない力を発揮したりすることもある。

前出の選手、上手く不安が吹っ切れたのか気持ちの乗ったいい試合をし、無事に好成績を修めることができました。

 

心技体と言いますが、技と体は地道な積み重ねで着実に強くなります。

もちろん心もその道程で磨かれ強くなってゆきます。

でも、心は瞬間瞬間で無限に強くも弱くもなる。

そして、心持ち次第で発揮されるパフォーマンスは大きく変わる。

身体は精巧でありタフな造りを持っていますが、

心は案外デリケート。

なので、ここ一番のその舞台では気持ちを充実させられるかどうか、

これを大事にするのです。

 

しかし、

「身体は精巧にできているけどデリケートにはできていない」

とは、我ながら上手いこと言ったな。

そう、大事なのは

「気持ちで負けない」「常に勝ちに行く姿勢を貫く」

これだと思います。

勝負は水物、時の運。

だからこそその道程をどう進むかを大事にしたい。

私も頑張ろう。

選手の頑張りに背中を押された42歳の夏なのでした。


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怪我する前より逞しく! リハビリは順調です

2017年07月08日 | トレーニング日記

嫁さんの掃除に関する格言に「使う前より美しく」というのがありまして、

私もそれに倣って、リハビリの格言を「怪我する前より逞しく」とさせていただいております…

 

blogに書いたかどうかわかりませんが、

私…

5月18日に左の股関節を傷めまして…

現在鋭意リハビリ中なのです。(´;ω;`)ウゥゥ

その日は調子が良かったものですから、ついついオーバートレーニングになってしまいまして…

3時間ほど、しこたま練習した後に

『あ、こののところフロントスクワットしてないな。最後にサクッと1MAX(自分の限界に挑戦ということ)いっとこ♪』

などと気の弛んだまま1MAXに挑戦。

事件は90kgを立とうとしたときに起こりました。

だいぶ練習をした後でしたので、『重いなァ~(+_+)』とは感じていたのですが、

自己ベストよりも軽い重量だという事で『何とかなるだろう』と粘ったところ、

左のお股から「プチプチッ!」という残念な音とともに鋭い痛みが走りました…

その瞬間、『あ、やったな…(-_-;)』と…

調べてみると、内転筋腱と腸腰筋腱の故障でした。

この日から、キズが治るまで3週間+リハビリに1か月~1か月半、

つまり2か月弱~2か月半の遠回りを覚悟することになりました。

当分の間、ウエイトリフティングの基礎力養成に重要なスクワットもデッドもオアズケです。

しかし、この状況も「成長」をあきらめる理由にはなりません。

こうしたアクシデントが起きた時は、元気な時にやりきれない要素を伸ばすことに専念し、

将来的に大きな成長をつかむための布石を打つ絶好の機会です。

幸い私の場合、自分で治療もできますし、リハビリ中の運動指導もお手の物です。

バランスツールを使ったコーディネーショントレーニングや

スクワット・デッドの代わりにヒップスラストを行うなど練習を工夫しました。

おかげで故障から1か月半の今現在、故障前よりも地力を高めることに成功しました。

回復も当初の予想より半月から一か月早く、

直近の練習でフロントスクワットで95%まで痛まずにできました。

あと一歩、いや半歩!というところまで漕ぎつけた感じです。

「故障前より~」「地力を高めることに成功」の証拠映像がこちら↓

 

故障前は85kgのロークリーンがギリギリといったところでしたが、

この日は88kgが楽にハイクリーンで取れました。

実はこの後91kgのロークリーンを成功しています。

91kgはハイクリーンを取り損ねてローになってしまった感じですが、それでも故障前を1kg超える自己新記録です。

きちんと管理して練習を積めば怪我からの回復期も有意義な時間にできる。

さらなる成長につなげるための練習を積むことができる。

という予てからの持論を肯定した結果が出せてほっと一安心。

試合まであと42日。

このままどこまで行けるか楽しみです。

行けるところまで、伸ばせるところまで、精一杯頑張ろうと思います。


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ベンチプレスで肘が痛む~「肘の痛みとグリップ」の話~改

2017年07月07日 | 治療の話

この記事は6/30に書かれた記事ですが、7/7に図と解説を追記いたしました。

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今日はベンチプレスで起こりがちな「肘の痛み」についてのお話です。

トレーニングにおける『ビッグ3』の一つとしても有名な「ベンチプレス」は、おもに大胸筋と上腕三頭筋を鍛える種目です。

治療中、このベンチプレスをこよなく愛するAさん(ちなみにAさんは肩の故障で治療中)との会話。

 

Aさん

「僕の知り合いにベンチ(プレス)やっててテニス肘になったやつがいるんですよ。

肘の外側の痛みがなかなか取れないって困ってて…

なんでベンチやっててテニス肘になっちゃったんですかね?」

「おそらくは三頭筋の外側頭を傷めちゃったんだと思います。

ベンチは上腕三頭筋もメインターゲットになりますから。」

Aさん

「テニス肘って三頭筋の故障なんですか?

前腕の故障だって聞いたんですけど。」

 

▲ Right triceps brachii

「テニス肘もゴルフ肘も前腕の筋肉の故障だと言われていますが、

治療してみると三頭筋の故障を治療すると治るものがほとんどなんですよ。

反対に前腕だけを治療していてもなかなか治りません。

肘の外が痛むのをバックハンドテニス肘、内が痛むのをフォアハンドテニス肘とかゴルフ肘なんて呼ぶんですが

テニス肘もゴルフ肘もどちらも共通しているのは、得物をもって肘を曲げ伸ばしするところと

インパクトの瞬間は肘を伸ばす時で、三頭筋が強く働く瞬間だというところです。

三頭の強い筋力発揮が繰り返されるなかでダメージが蓄積して、肘の痛みが顔を出すんです。

ベンチは前腕の筋肉というよりは胸や三頭筋を鍛えるような種目でしょう⁉

だから三頭筋の過労が祟れば肘が痛むのも不思議じゃないんです。

ちなみに、

肘の外に痛みが出るときには三頭筋の外側頭、

内に痛みが出る時は内側等頭、

肘の頭に出る時は肘頭のすぐ上(三頭筋の長頭)にしこり(トリガーポイントを内包する硬結)が見つかります。

そのしこりを丁寧にほぐせば大体の肘の痛みは自分でも治せますよ。

そのお友達はサムレスグリップ(バーベルのシャフトから親指を外して四指と掌でバーを握る手法)ですか?」

Aさん

「あ~そうですね!

サムレスだと肘の外が痛むんですか?」

「サムレスでシャフトを持つと手首が反るでしょう⁉

この手首を反らせている筋肉の一つがテニス肘で犯人だと言われている長短橈側手根伸筋なんです。

手首が反ると長短橈側手根伸筋を含む前腕の伸筋(パーを作る・手首を反らせる側の筋肉)が固くなりますよね⁉

この前腕の伸筋は三頭筋の外側頭と肘の外側の上の部分(外側筋間中隔)に接点があるんです。

▲extensor carpi radialis brevis & longus / triceps brachii lateral head

※長短橈側手根伸筋は肘関節においては屈筋としての作用を持ち三頭筋は肘関節の伸筋としての作用を持つ。

これらの相反した作用は運動時の肘関節の安定化に貢献します。

作用がそう反することを拮抗作用と言いまして、関節の安定化にこの拮抗筋の作用も欠かせない要素になっている

という話はあまり知られていないところかもしれませんので付記しました。

構造的につながりがあるという事は前腕の伸筋は三頭筋の外側頭と一緒に働きやすい構造を持っているということになります。

ベンチでもテニスでも前腕の筋は得物との接点を安定させるためのいわば補助的な働きです。

これに対して動作のメインに働く(主動作筋となる)のは三頭筋ですからから、故障の原因も三頭筋がメインになるのだと思います。

そして、前腕の伸筋とつながりが強いのは三頭筋の外側頭なので肘の外が痛くなるんです。

反対にサムアラウンド(シャフトを包むように五指で握る支え方)で親指の握りが強い方は三頭筋の内側頭を故障しやすくなりますね。」

Aさん

「おれ、ベンチとかやると肘の内側が痛くなるんですよね…(;´∀`)」

「Aさんはサムアラウンドグリップですか?」

Aさん

「はい。」

「握りは結構強い方?」

Aさん

「そうかも⁉(;´∀`)

やっぱり腕(前腕)の筋肉とのつながりが関係してるんですね…」

「そうですね。

前腕の屈筋は三頭筋の内側頭と肘の内側の上の部分(内側筋間中隔)でつながりがあるようですので、

握りを強めると三頭筋の内側頭に力が集まります。」

▲thenar muscles flexor carpi radialis & ulna muscle / triceps brachii medial head

※母指の屈筋群の緊張や短縮は前腕屈筋の中でも手首のつまり(手関節のインピンジメント)に関与する橈側手根屈筋や尺側手根屈筋へと緊張を波及させます。

橈・尺側手根屈筋は肘関節においては屈筋としての作用を持ち三頭筋内側頭は肘関節の伸筋としての作用を持ちますので、

前述の長短橈側手根伸筋と上腕三頭筋外側頭と同じ関係性が生じます。


ここまでお話した時、やおらAさん三頭筋を触りながら手首を反らせたり曲げたりし、そして…

 

Aさん

「ほんとだ!手首反らせると三頭の外側に力が入る!握りこむと内側だ!!」

 

さすがはAさん。

話を聞くだけではなく、自身の腕を使って事の真偽を確かめ、そして、確証を得たわけです。

 

すると今度はAさんから興味深い提案がありました。

 

Aさん

「じゃあ俺の場合は痛い間だけでもサムレスグリップでやるのも手なのかな?」

 

と。

 

「いいアイデアです。

グリップを時折変えるのも怪我の予防や偏りなく鍛えるのに役立ちそうですね。

故障した部分は休ませつつ、今まで育て切れていなかった三頭筋の外側頭を鍛えられれば

故障が治ったときにはさらに効率的に三頭筋全体を使えるようになってることでしょう。

故障は後ろ向きな事柄ですけど、やりようによってさらに強くなるために役立てることもできるんです。

何度も失敗を繰り返すケースは怪我の痛みに挑んでしまったケースです。

『この痛みに打ち勝って…』というのは大きな間違いです。

それをして私はこの仕事に流れ着いちゃったんですよね(^^;

なので経験者は語ります。

痛みとは決して喧嘩をしないこと。

大事なのはケガを負った時にも冷静にその時々にできることに目を向けることなんです。

『痛み』は『痛まずにできること』を探るためのモノサシとして活用します。

厳密にいうと、痛みが出る前の『あっ!やばい!!』っていうあの感覚が出たらそれ以上追いかけないことです。

その場合は、動きの幅を『やばくない』範囲に狭めるか、『あっ!やばい!!』っていう感覚が出ない重量に下げてトレーニングをすることです。」

 

と、以上がAさんとの会話でした。

ベンチプレスで起こる肘の痛みの原因をお話ししたところ、

痛めた時にも成長をあきらめず、かつ傷を深めないための工夫に

「グリップに変化をつける」

という発想に行き着くあたりさすがはAさんです。

どのスポーツでも、気を付けていても怪我をしょい込むことはあります。

そんな時こそクレバーに現状を見極めて、できることを無理なく積んでゆく必要があると思います。

どんなときにも自棄にならず、まず冷静になること。

その上で前向きな変化を、競技者としての成長を諦めないという姿勢を貫くと、

必ず理に沿った答えが導かれてゆくものです。

そうして得た答えはさらに多くの気付きを与えてくれるから面白い。

Aさんとのやり取りが、そうした思考を持つ切っ掛けというかモデルになればいいなと思い

ブログに載せさせていただきました。

ちょっとした日々の治療の一幕ですが、

 

ハードにトレーニングをされている皆様にお役立ていただけたら嬉しいです。

=終わり=


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徒手医学と機能障害-知っておきたい基礎知識 // 動画再生リスト

2017年06月27日 | 事務局よりご案内

【事務局よりご案内】

いつも当ブログをご愛読いただきありがとうございます。当院院長古川が代表理事を務めさせていただいている一般社団法人徒手医療協会のYouTube公式チャンネルで「手技治療」についての解説動画が公開されました。
当院へご相談をいただいている皆さまへご提供させていただいている「徒手医学」に基づく治療とは何か、また手技療法が「医学であるため」の概念について、お話をさせていただいています。

動画は2016年12月11日開催の「熊本地震復興チャリティセミナー・はじめての手技療法」より抜粋された映像です。もしよろしければご参照いただければ幸いです。

なおチャリティーイベントセミナーでお預かりした講習会参加費は2016年12月に東京熊本県人会様を通じて被災地に義援金として送金させていただきました。

日本各地で災害の多発する近年ですが、社会は相互につながり合い助け合い成り立っているという思いを込めて、とよたま手技治療院、一般社団法人徒手医療協会は日常の活動にこれからも真摯に向かい合ってまいります。

#手技療法 #機能障害
#とよたま手技治療院 http://toyotama.net


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頑張り過ぎない

2017年06月21日 | つぶやき

このところ、働き盛りの方からの

「全身くたびれてどうにもならない…」

そんな相談がいつもより多いように感じます。

よく聞けば「肩凝り」「頭痛」「腰の痛み」に「めまい」や「眼精疲労」etc…と不定愁訴の雨あられ。

単に「疲れた」では片付けられない様子に、私の脳裏には「過労」の二文字が浮かびます。

「眠れていますか?」と聞けば、

「眠れはするんですが、物理的に寝る時間が取れません」

と苦笑いされる方も珍しくなく…

せめて疲れだけでも置いて行ってもらおうと精一杯の治療をします。(いつでも精一杯の仕事をしますが…)

治療を終えて「あぁ~これでまた頑張れる!」という言葉を聞いたとき、

『よかったなぁ』と思うと同時に『また頑張っちゃうのかなぁ…』と、ちょっと複雑な気分になったりもします。

そんな時はつい

「頑張り過ぎも毒ですから、今はちょっと手を抜く程度でちょうどいいのかもしれませんよ。」

などと声をかけている自分がいます。

でも返ってくるのは『それができればなんぼか楽なんだけどもね…(;´∀`)』と言いたげな面持ちの苦笑い。

『そうですよね…』と私も苦笑い。

『無理をするなっていうのがそもそもの無理か…』

と、複雑な思いに駆られてしまう今日この頃なのでした。


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