日本の心

激動する時代に日本人はいかに対処したのか振りかえる。

大川周明 「日本的」言行 第一 日本的言行 四 日本的自覚の確立

2016-10-17 21:27:56 | 大川周明

  大川周明 「日本的言行」 
第一 日本的言行 


四 日本的自覚の確立
 

  吾等は決して異邦思想乃至文明の接取を拒むものではありませぬ。
啻に拒まざるのみならず、声を高くして之を主張する者であります。唯吾等の極力戦わんとするところは、魂を異邦精神に売ること、換言すれば本末主客を顛倒し去る事であります。

 日本歴史が最も力強く教ゆる如く、
国民的自覚が強烈であり、日本精神が堅確に把握されて居さえすれば、外来思想文明が、常に国民的生活の口上充実に寄与し来れるのみならず、其等の異邦文明並に思想は、吾等の精神に統一せらるることによって、真個の意義と価値を附与されてきたのであります。 
 

 之に反して国民的自覚鈍り、日本精神の動揺を見るときは、
曾て国民に貢献せし同一外来思想並びに文明が、常に却って災厄の因となって居ります。故に禍福は彼に非ずして吾にある。
 例えば現在に日本の政治と軍事とを比較するが宜しい。ともに、同一日本国民が、等しく欧米の制度に倣ってたつた仕事ではないか。然るに一方吾が陸海軍は世界に誇るべき成績を挙げて居るのに、他方吾国の政治は言語道断の不始末であります。吾等はこの相違の由来するところを切実深刻に反省せねばなりません。 
 

 之には大小幾多の原因が重畳しておるであろう。
而もその最も根本的なるは、実に日本精神を把持すると否とに在ります。もしくは其の強弱に由ります。今や日本は其の独自の精神に復帰して、一切を純乎たる日本的立脚地から批判せねばならぬ時となった。


 経済上の組織も、政治上の制度も、社会的の施設も、悉く行き詰った。之を打開して新路を開拓するためには、異邦的に考へ且行ふことを許しませぬ。実に純乎として純なる日本的思索と日本的行動とに俟たねばならぬと信じます。



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