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【342】携帯用のデコーダー

 携帯用デコーダーは、十センチ四方の蛇腹式の箱で、側面の小さい穴に臍の緒【338】を挿し込みハンドルを回せば、蛇腹を伸縮させながらデコードした音声を発してくれる。臍の緒の他にも多種多様なコードを使用できる。例えば掃除機にもデコーダーが備えられており、コードを挿入するとするすると巻き込んで、吸引時に騒音を出してくれる。あの音がないと掃除している気分にならないものだ。

 さて今あなたは禿頭だ。なおかつ裸の無一文で食事に出かけようとしている。だが疱瘡コードをデコーダーに挿入すれば、裸体の局部は疱瘡で覆われる(更にそれをQRコードとして使用可)。禿頭が気になるなら、JANコードを挿入すればよい。資産家から脂ぎったすけべ親父まで、お好み通りにすだれ状の頭髪を育毛してくれる(更にすだれをリーダーに通せば、ふさふさとした生来の頭髪として可視化可)。あとはドレスコードで服を編みこんでもらえば、どれだけ服装規定にうるさい店にも入ることができる。運ばれてきた料理が口に合わないときには、ソースコードでお好みの調味料をかければよい。食べ終わったなら、あとは円コードで支払いを済ませるだけだ――というマニュアルをいまデコードしたせいで今わたしは禿頭だ。

 

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【338】臍の緒

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