肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『スパイダーマン3』、観ました。

2007-05-02 21:43:14 | 映画(さ行)
3
監督:サム・ライミ
出演者:トビー・マグワイア、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコ

 『スパイダーマン3』、映画館で観ました。
ある日、謎の黒い液状生命体がピーターに取り憑き、全身を黒く染めていく。
黒いスパイダーマンとなったピーターは、新たなパワーに酔いしれるが、今まで
感じることのなかった怒りを制御することができない。そして親友ハリー・
オズボーンとの決闘。悲しき運命の連鎖が、彼を究極の闘いへと導いてゆく…。 
 改めてこのシリーズ、人気の秘密は何かと聞かれれば、ソニーピクチャーズ
(コロンビア)を支え持つ大ヒット“メジャー作品”でありながら、いかにもサム・
ライミならではのB級テイスト満載、そんな“確信犯的なチープさ”にあるんだろう。
言い換えれば、それは他のアメリカンヒーローものには成しえない、不思議な
”親しみ易さ”とでもいうのかしら。例えば、映画では、国民的ヒーローである
スパイダーマンの正体が、およそ“精悍(せいかん)さ”とは程遠い、実は
“しがない大学の貧相な学生”だったことにもリンクする。さて、今作『3』では、
従来までのサービス過剰で“なんでもエンターテイメント路線(?)”から、
明確な“メッセージ性”も加味されて、すべてが程好く配置されたバランス感を
窺(うかが)わせる。まぁ、そのメッセージが何たるかはレビューの中で追々
書くとして、「今作の見所はココだ」とひとつに言い切れない“お得感のある
映画であるのは間違いない。ただ、個人的に“ヒーローものの娯楽映画”として
観るには、2時間20分はちと長いと感じたけどね。
 それにしても、こいつは“近年ハリウッド映画のトレンド”なのか、復讐への
否定、報復への批判…、強いては、そこに“イラク戦争におけるアメリカの影”を
ダブらせて描いたものがよく目立つ。例えば、この映画では主人公ピーターを
はじめ、親友ハリー、同僚カメラマンのエディらが、それぞれに激しい復讐の
炎を燃やす。中でも、主人公ピーターが“(スパイダーマンとしての)超人的な
強さ”を手に入れたことで、自分自身を見失い、いつしかダークサイドに堕ちて
いく様は、まるで“現在のアメリカの悲劇”そのままだ。だとしたら、これからの
アメリカがどこに進めば良いのか…。映画終盤、心の行き場を失ったピーターに
その伯母が言う、「まず、自分を許すことから始めなさい」と。つまり、過去の
自分を責めるのではなく、今自分が出来ることを考えるべきなのだ、と。いざ
決戦のとき、以前よりも一回り強く、逞(たくま)しく蘇ったスパイダーマンが、
大きくはためく星条旗の前を駆け抜けていく。そんな彼を迎える人々の拍手が
鳴り止まない。まるでその姿こそ、“来たるべき、本当のアメリカの姿”だと
言わんばかりに…。確かに、この映画が世界中の誰もが楽しめるハリウッド
エンターテイメントであるのは紛れもない。だが、一方で、そのメッセージは
“アメリカ国内”に向けて発信されている…と、ボクはそんな風に感じた。



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