肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『モーターサイクル・ダイアリーズ』、観ました。

2005-09-26 12:26:11 | 映画(ま行)
モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版

アミューズソフトエンタテインメント

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 『モーターサイクル・ダイアリーズ』、観ました。
23歳の医学生のエルネストは、親友アルベルトとともに本でしか知らない
南米大陸の縦断旅行に出る。それは、1台の中古バイクにまたがる金も
計画も無い旅だった……。 。 
 監督は『セントラル・ステーション』のヴァルテル・サレス、、
実はその『セントラル・ステーション』こそ、数あるロードムービーの中で
とりわけボクが気に入ってる作品なんだけど、本作『モーターサイクル・
ダイアリーズ』を観終わって、改めてブラジル人監督ヴァルテル・サレスに
興味が沸いてきた。
 ならば、彼がこだわるロードムービー、、その新旧2作品について
考えてみる。『セントラル~』が、少年の父親探しを目的とした必然の旅、、
その向こうにある老いたヒロインの“人生の再生”、強いては
“魂の浄化”を描いたものだとすれば、今作『モーターサイクル~』は、
友人同士がバイクにまたがり自由感覚で流離(さすら)う
行き当たりばったりの旅。しかも、ラストシーンの主人公自身さえぼんやりと
「この旅によって(ボクの中の)“何か”が変わった」というように、
あらかじめ旅の終わりに“明確なる答え”が用意されているわけではない。
つまり、観る側がそれぞれ自分なりの回答を見出していく訳だ。
では、この若き主人公が友との長い旅を通じ、目で見て、耳で聞いて、
手で触れてみて、その心に刻み込んだものは何だったのか??
南米大陸の広大さと、そこに住む人々の温かさについて‥‥
歴史の事実の残酷さと、そこに流れる無限の時間について‥‥
散りゆく命の果かなさと、生まれくる命の尊さについて‥‥
偽りの優しさと、真の思いやりについて‥‥
そして、すべてを知った後、彼は身をもって友に教えたんだ、、
例え、それがどんなに広く激しい川だとしても‥‥
例え、その理想と現実がどんなにかけ離れていたとしても‥‥
向こうの岸辺に辿りつくまでは泳ぎ続けなければならないということを。
世界中の「差別」と「偏見」の壁を取り払い、くだらない「心の国境」さえも
消し去って、いつか本当の意味で“人々が信じあえる日”がくることを願う。


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