監督:三谷幸喜
出演:役所広司/松たか子/佐藤浩市/香取慎吾/篠原涼子/戸田恵子
『THE有頂天ホテル』、映画館で観ました。
大晦日を迎えた「ホテルアバンティ」では、ホテルの威信がかかった年越し
カウントダウンパーティーの準備で大忙し。そんな中でも副支配人の新堂平吉は、
様々な問題に機転を利かせて対応するのだが……。
いわゆる“『グランドホテル』形式”の群像劇。当の『グランドホテル』は
ボクが10代の頃に一度観ようとして‥‥、しかし、観れずに途中でリタイヤし、
今日に至るわけですが(笑)、勿論、今作『THE有頂天ホテル』は、そんな
『グランドホテル』なんぞ知らなくても、大いに笑い、大いに楽しめるエンター
テイメントな仕上がり。ここで断然目に付くには、“長回し”を多用した撮影の
素晴らしさと、それゆえに実感する“豪華セットの広大さ”…。加えて、巧みに
配置された人物設定と、伏線に次ぐ伏線の数々…、一見、タダのドタバタ映画
のようでありながら、実は“高度な技術”に裏付けされた超A級の娯楽ムービー
だったのデス。
さて、映画は、それぞれに“悩み”を持ち、それぞれに“苦しみ”を背負い、
“偶然にも”此処「有頂天ホテル」に集まった哀しき人々の物語。今夜、ホテルに
泊まる彼らの部屋には“自分だけのドラマ”があり、その“薄い壁”を隔てた
隣の部屋にも又“別のドラマ”が展開する。それは、出会いと、別れと、偶然とが
絡み合い、もつれ合い、織り成す“人間模様”…。永遠に繰り返される“人生の
喜悲劇”だったのです。で、ボクが本作を観ながらふいに気付いたことは、もしや
この映画自体の構造が、“(悪徳政治家が暇つぶしにやっていた)クロスワード
パズル”なのではないかってこと。クロスワードパズルは、複数の虫食い問題が
提起され、僅かのヒントから“ひとつひとつの穴”を埋めていき、その小さな
問題をすべてクリアしたときに、初めてやっと“ひとつの大きな絵”が浮かび
上がってくる…。つまり、この映画では、大晦日のカウントダウンパーティーの
寸前にして、様々なトラブルが同時発生して、そのひとつひとつを丁寧に(?)
解決していった後に見えてくる「人生」という“大きな絵”‥‥、強いては
それが今作のテーマとなっている《自分らしく生きろ》ってことなんだと思う。
恐らくや、物語が“大晦日の夜”に設定してあるのは、その夜を境にして、
いくつもの人生が「再生」し、新しい一歩への「希望」と「未来」を描いている
のだろう。そして、最後は“痛快エンディング”にして、“じんわり感動”も…。
脚本家として…、映画監督として…、三谷幸喜、さすが。
期待以上に楽しめて大満足しています!
映画の構造がクロスワードパズルになっていたとは気付かなかったです~。
小ネタも見逃していそうなので、もう一回くらい観たいと思っています。^^
TB,&コメント、サンキューです。
はい、ボクも思った以上に楽しめて満足です。
今回、ボクは大勢の仲間と観たのだけど、
(ワイフを除いて)おおむね評判も上々。
ちなみに、ワイフの言い分としては、全体的に“軽い”という批判、、
まぁ、ボクから言わせれば、それが三谷幸喜だから、と思うんだけど(笑)。