肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ネバーランド』、観ました。

2005-09-29 15:21:20 | 映画(な行)
ネバーランド

アミューズソフトエンタテインメント

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 『ネバーランド』、観ました。
1903年のロンドン。新作の芳しくない劇評や、妻とのぎくしゃくした関係に
悩むバリは、シルヴィアと4人の息子たちとの交流に安らぎや生きる喜びを
覚えていた。父の死を心の傷としている三男のピーターに書くことの素晴らしさを
伝え、病気を抱えたシルヴィアを気遣うバリ。やがて舞台「ピーター・パン」は
初日を迎えるが…。
 「空想」と「現実」が交錯するファンタジックなストーリー展開、、、ティム・
バートンならともかく、これを『チョコレート』のマーク・フォースターが撮ったとは
驚いた。何も知らないオイラは、当然『チョコレート』さながらのハードで
ヘヴィーな内容だと覚悟を決めて観た訳だが、思いも掛けぬソフト路線に
ホッと胸を撫で下ろす(笑)。さて、物語は想定内の中にも、随所にマーク・
フォースターらしい“確かな演出”が光る。この感動作、絶対泣くまいと固く心に
誓ったオイラだけど、不覚にも最後はホロリ。要するに、どんな映画を手掛けても
マーク・フォースターはマーク・フォースター、、名人はやはり名人だった。
 歳とともに人は誰でも飛べなくなる‥‥。次第に手足の自由は利かなくなり、
夢さえ燃えかすになっちまう。つまり、この映画で言いたいことは、せめて
“イマジネーション(想像)の心”にだけはカギを掛けちゃいけないってこと。
そして、〈大人になる〉っていうことは“夢みる心”を捨てることじゃなく、
相手の気持ちを思いやる余裕が生まれたことを言うんだね。ひとつの愛を
経験した後で、主人公が去っていた妻に「悪かった…」と謝るシーンは、まさに
彼の心が“大人”になった瞬間だった。ラストシーンは公園のベンチに座る
主人公と少年、、ふたりの前方を森が大きく開けている。その先は、
遠くネバーランドへ‥‥、“ふたりの未来”へと続いているようだった。


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