レクイエム・フォー・ドリームジェネオン エンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
『レクイエム・フォー・ドリーム』、観ました。
孤独な未亡人サラには一人息子のハリーがいた。ある日、サラにTV番組への
出演依頼が舞い込み、ダイエットを決意する。一方、ハリーは麻薬の密売で
荒稼ぎを企む。ところがいつしかサラはダイエット薬の依存症に‥、ハリーは
麻薬常用者になっていた‥‥。
〈痛み〉を感じる映画だった。しかも、その傷跡が膿みはじめ、腐る間際の
〈激痛〉を‥‥。この映画で観客は登場する主人公らと同じように麻薬の
痛みに身を歪め、その禁断症状を見ることとなる。まさに、これは観て聞いて
“体験する映画”、、恐ろしい麻薬の現実を実感しました。
監督は『π』のダーレン・アロノフスキー。前作『π』ではザラついたモノクロ
映像に“リアルな緊張感”を演出していましたが、今作ではスタイリッシュな
カラー映像を駆使して、麻薬常用者が見る“幻想的な空間”を創造する。
映画は序盤から「早送り」「コマ落とし」「画面の分割」など様々なテクニックを
使いながらも、次第にそれがイヤミなく見えてくるフシギ‥。一転、後半は
BGMに流れるレクイエムと合い重なって“破滅的な悲劇”の映像に酔ってしまった。
更には、思い出のフォトグラフに書かれる電話番号や動き出す冷蔵庫、
観客を煽(あお)り視聴者を煽る人気TV番組など、小道具の使い方も見事。
俳優陣の演技も素晴らしくて、中でもジェニファー・コネリーの狂気は、身震い
してしまうほどの迫力だ。その狂気の演技は、ただ相手を罵り叫んでいるだけ
じゃない、その瞳の奥に堕ちていく自分への「憐れみ」と「哀しみ」が見てとれた。
もはや“演技派”に変身した彼女に感動すら覚えてしまいました。