tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

「拾ったパスモの悪用」はなかなかバレにくい。実に「気軽な犯罪」が可能である。

2016-06-24 15:49:06 | 物申す
パスモを誤って落とす。
悪意のある誰かがそれを拾う。
パスモにはいくらかの金額がチャージされているから、悪意のある人間はそれを使ってやろうとたくらむ。
チャージされている金額は、多い人で限度額いっぱいの2万円。
「オートチャージ」を利用している人は1日1万円まで繰り返しチャージできるから、
そこをさらに悪用されれば、被害額は1~3万円になる。
つまりは多くの人が、「財布の中に入れている現金」と同じくらいかそれ以上の金額を
パスモに入れているということだ。

紛失に気づいて利用停止措置をとれば、パスモの中のチャージは使えなくなる。
だが、紛失にすぐさま気づけるとは限らない。
それよりも早く、悪意のある拾得者が不正に使おうと動き出すかも知れない。
それなのに、紛失者は自分のパスモが誰かに不正に使われたかどうか、日にちが経たないと把握できないのだ。
なぜか。

パスモは、カード現物がない限り、チャージ残高を確認できないからだ。
つまり、新しいカードが再発行されて自分の手元に届き、その利用手続きを済ませるまで、
自分のパスモが誰かに不正使用されたのかどうか、確認のしようがないのだ。
クレジット機能の付いていた僕のカードの場合、送付には2週間程度かかるそうだ。

だから、拾ったパスモを不正に使ってやろうとたくらむ人間は、大いに安心するといい。
あなたが不正に使ったという事実は、しばらくは(僕の場合なら2週間)、被害者にバレないから。
被害者にバレない以上、被害届も告訴状も出されることはないし、あなたに捜査の手が及ぶこともない。
発覚が遅れる分、被害者を諦めさせるに充分な時間が経過するし、
たとえ捜査が始まったとしても、あなたの犯行を裏付ける材料はどんどん消えていることだろう。
(不正使用現場の防犯ビデオの記録映像だって、そのうち消去される)
パスモはコンビニでもスーパーでも家電量販店でも書店でもドラッグストアでも飲食店でも、
サインレスで支払いができる。サインレスだから当然あなたの身元は問われない。
被害者が紛失に気づいて利用停止措置をとってしまう前に、存分に使うといい。
しかも、利用停止措置がとられたところで、
そのカードが不正使用されたという事実は、上記のように「その先も当分発覚しない」のだから。

これがクレジットカードなら、紛失時の連絡先(どのカード会社も24時間対応だ)に
電話を入れれば、ただちに利用を停止することができるし、
利用データがクレジット会社に届き次第、不正に使われたかどうかも確認することができる。
それに対しパスモは、駅やバス営業所へ本人が直接赴かないと利用停止手続きができないし、
クレジットカード同様に個人情報を厳密に登録したうえで使用し、
やる気になればそのカード所有者の本人認証の方法などいかようにもあるはずなのに、
自分の利用記録にアクセスすること自体すらできないのだ。

これは大きな欠陥と言わざるをえない。
「発覚まで時間の余裕がたっぷりある」という事実は、
「気軽な犯罪者」をどんどん後押しするだろうから。

利用者がインターネットの専用ページで自分の利用履歴を確認できるようなシステムを作れ、とまでは言わない。
(いや、クレジットカードでもTポイントでもポンタでも、それはもうすでに当たり前のことなのだが)、
せめて、本人が身分証明書持参で駅窓口に赴いたら確認できる、くらいにはならないのか?

手癖の悪い泥棒は、拾った財布から“足のつかない”現金だけを抜き出して盗む。
パスモのチャージも、それと同様の扱いを受けているのだ。

運営会社・株式会社パスモの「お問い合わせ」ページを開けば、
「PASMOに関するお問い合わせは、PASMO取扱事業者の駅・バス営業所におたずねください」と、
自分の所では顧客の声を聞く気はまるでありませんと言わんばかりだ。
大方、首都圏私鉄の共同出資企業体、さぞかし「ぬるま湯」体質なのだろう。
こういう企業を動かすには、残念ながら、もっと悪人に自由闊達にのさばってもらって、
被害をどんどん顕在化していくほかないのかも知れない。

<後日追記>
「パスモ 拾った」という検索ワードからこの記事を見に来ている人間が大勢いる。
悪意が目覚めて動き出すのが早いか。
PASMO当局が対策に乗り出すのが早いか。
さあ、どっちだ?

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