ウマさ特盛り!まぜまぜごはん

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ローカルミートでスタミナごはん2…TOKYO-X/東京都福生市 『シュトゥーベン・オータマ』

2009年11月07日 | ローカルミートでスタミナごはん

【TOKYO-X】
 ■系統・掛け合わせ…北京黒豚・バークシャー・デュロック
 ■肉質・等級など…自主規格によりランク1・2のものを、TOKYO Xとして販売
 ■年間出荷頭数…7000頭(平成18年度)
 ■生産出荷元…TOKYO X生産組合(生産)TOKYO X Association(流通販売)

 日本の首都であり、政治経済の中心でもある東京。巨大な消費都市であるだけに、日本中はもちろん、世界中からうまいものが集まってくるという土地柄でも、地産地消のローカル食材がちゃんとあった。
 東京は古くから、南多摩地区を中心に、畜産が盛んである。その東京の名を冠した銘柄肉が、TOKYO-X。近年増加している外国産豚肉との差別化、加えて東京御当地の特産肉の開発を目指して、東京都畜産試験場により平成9年に開発された、東京生まれのブランド豚肉である。
 Xという字面と響きがミステリアス、かつ都会派のスタイリッシュなイメージを醸し出すが、名の由来はいたって真面目。良質な品種を「かけ(×)合わせる」に加え、品質のさらなる進化や、都市型養豚モデルの模索など、無限の可能性を込めたX、なのである。

 「かけ合わせる」の基本となる品種は、豚の原種に近いとされる北京黒豚と、鹿児島の黒豚で知られるバークシャー種、生産性の高いデュロック種。TOKYO-Xはこの3種を交配、品種改良を重ね、味のいい豚肉を開発すべく、平成2年より5世代・7年がかりで育種改良を進めていった。最終的に遺伝的に固定を行い、新たな系統豚として平成9年7月17日に日本種豚登録協会に登録。これは、日本に250あまりある銘柄豚の中で、交雑種では唯一のこととなっている。
 筋繊維が細かく肉質が滑らかなバークシャー、脂肪にうまみのあり肉の色がいい北京黒豚、霜降りに特徴があり生産性の高いデュロック。TOKYO-Xには、それら元となった3種の長所が、うまく継承されている。ほんのり桜色の肉はしっとりした食味で、細かく入った霜降りの上品な甘みと、滋味あふれる肉汁が、味の大きな特徴である。

 そんなTOKYO-Xだが、生産者数が限られており、大量生産できないのが現状だ。生産は、東京都農林水産振興財団が飼育の「維持豚」から生まれた子豚を配布される、生産組合加盟の農家に限られており、組合員数は青梅市など東京都西部地区を中心に、都外も合わせて24件ほどしかない。なので生産数は年間7000~8000頭あまりと、近年はやや増産されてきたとはいえ、まだまだ希少な品らしい。
 そのため販売や流通は、精肉店やデパート、スーパーといった流通販売店で組織された、TOKYO X Associationの指定販売店に限られている。指定販売店といっても、TOKYO-Xの入荷量や入荷頻度はわずかであり、入荷後即完売も珍しくないとか。まさに、幻のローカルミートといえるだろう。

 

福生駅からすぐのところにあるシュトゥーベン・オータマ。ちょっとしたホールのような店内は、広々として落ち着ける

 希少なTOKYO-Xを味わってみようと、足をのばしてやってきたのは、東京都西部の福生市。JR青梅線の福生駅から歩いてすぐのところにある、『シュトゥーベン・オータマ』は、ドイツ式製法による畜産加工品を生産する、大多摩ハム直営のレストランである。特にTOKYO-Xを素材とした、限定生産のロースハムにベーコン、ソーセージには定評があり、いずれも東京都認定の地域特産品にも指定されている。
 レストランは工場の敷地に隣接した、ドイツ風洋館の2階で、オレンジ色の壁に三角屋根が目をひく。フロアは天井が高く広々したホールにテーブルが並び、屋外にはテラス席も。コンサートもできるというのも納得の、開放感あふれる雰囲気である。
 ランチタイムメニューの中から、頼んだのはその名もズバリ、「TOKYO-Xランチ」。TOKYO-Xを素材とした加工品や料理を、ワンプレートにまとめたランチで、ロースハムにボンレスハム、ベーコン、ヤークトヴルスト、あらびきウインナーに絹びきウインナー、フィレ肉カツレツと、希少なTOKYO-Xそろい踏みの、贅沢な一品である。

 

品数豊富なTOKYO-Xランチ。メニューにはプレート上の品名がずらりと書かれている

 先に玉子のスープと野菜サラダが運ばれ、後にプレートが1枚運ばれてきた。パッと見はカツとウインナーとハムの3種盛りだが、カツの下にベーコンとヤークトブルストが隠れており、一覧してみるとかなりバリエーションに富んでいる印象だ。
 まずは、ウインナー2種の食べ比べからいくことに。粗挽きの方にナイフを入れると、粗挽きなのに断面はサラリ、それが口に運ぶとザクッ、ブツッとかみごたえがある。肉汁は少なく香りも控えめだが、中にぶつぶつした肉粒がいっぱい含まれていて、これがはじけるとウィンナーの旨さがとびだす感じ。まるで旨みのカプセルのようだ。
 一方、絹挽きのほうは小ぶりで、肉のきめが細かく歯ごたえがサクサク、舌触りもよりサラリとしている。こちらのほうが味にコクがあり、いつも食べているウインナーの味わいに近い。粗挽きは歯ごたえとインパクト、絹挽きは味と香りと上品さを楽しむといった対比が楽しめる。

 肉汁が控えめのウインナーからいったので、次は脂たっぷりのベーコンだ。幅の半分を占めるほど脂が厚いが、口に入れると染み出してこず、食感がほっくりしている。それが舌で転がしているうちに、脂がツルツルとほとび出てくる感じ。これがTOKYO-X自慢の脂のうまさらしく、控え目でさりげないのがいい。赤身は焦げ目の端の部分がうまく、サラミのように旨みが絞りきれている。
 このベーコンはもちろん大多摩ハムならではの、ドイツの伝統的な製法で作られている。材料のバラ肉を1週間漬け込み液につけて熟成。さらに2昼夜、山桜のおがくずを燃やす直火燻製で、時間をかけてスモークされる。仕上げに加熱をしないため、時間もかかり手間暇もかかるが、TOKYO-Xの良質の脂に山桜の燻製香がつき、絶妙な風味に仕上がっている。
 そしてベーコンの後ろには、一見ミートローフのようなやや厚めのがひと切れ。ヤークトヴルストとは、肉塊入りソーセージのことで、「ヤークト」は狩り、「ブルスト」はソーセージの意。ドイツでは狩猟者が、ケーシングに入れて持ち歩く携帯食としていたという。焼いてありジューシーだが脂分が少なく、鋭角的な肉のうまみがベーコンの脂のうまみと対照的である。

 

ウィンナーは上が荒挽き、下が絹挽き。ハムは上がボンレスハム、下がロースハム

 ハムもソーセージと同様、ロースハムとボンレスハムの2種類の食べ比べだ。ロースハムは縁に分厚い脂がたっぷりつき、口にするとヌルリととろけるほど。脂の主張がかなり強く、まるで豚の脂身を食べている感じだが、体温で自然にとろけ、ほのかな甘さに良質さを感じる。力強いコクがあり、体に素直にしみるエネルギー源といった感じか。
 ここのハムは素材である肉以外の異種タンパク質を加えず、添加物を少なくした「低添加」で製造しているのが特徴だ。加えてタンパク質がうまみに自然に分解する、ドイツ式製法の「自然熟成法」をとり入れており、弾力があり、自然に繊維がほぐれていく。霜降りが細かく入ったボンレスハムは、確かに腰があり、赤身のうまみがクキッと立ち上がっている。燻製の香りがつよく、ハムらしい味わいだ。
 最後はワンプレートの中のメインディッシュ、フィレ肉カツレツにナイフを入れる。フォークで断面を見ると、繊維が一本一本分かるほど。脂はほぼなく、繊維の詰んだしっかりしたかみごたえが心地よい。歯をかけると繊維が自然にほぐれ、豚肉の旨みがばらけ出していく感じ。豚独特の香りがほのかなアクセントとなっていて、雑味のない完成されたカツといった感じである。

1階の売店では、TOKYO-Xのハムやウインナー、ベーコンといった加工品を販売。宅配も受け付けている

  「何といっても脂の甘さが、TOKYO-Xの自慢です」とは、レストランのマネージャーの菊池さん。筋肉内脂肪(IMF)が5%と高い上、脂肪の融点が30度程度と低く、口の中に入れたとたんに脂がとろける味わいは、他の豚肉に比類なき旨みだろう。大多摩ハム自慢のベーコンやハムもいいが、菊池さんのおすすめはフィレカツ。しっかり霜降りが入っているから、温かい料理だと脂のうまさを、より感じられるという。
 TOKYO-XのXは、「掛け合わせ」のXに無限のX、それに加えて奥行きがありまだまだ「未知」なる旨さのX、の意も、込めておきたいところか? (2009年7月27日食記)

【参照サイト】
(財)東京都農林水産振興財団 
http://www.tokyo-aff.or.jp/syutiku/01tokyox.html
大多摩ハム http://www.otama.co.jp/tokyo-x/tokyo-x.htm
ミートコンパニオン http://www.meat-c.co.jp/tokyox/index.html
東京X生産組合 http://tokyox.net/

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