野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

今日の一曲 One For The Vine by Genesis

2012年03月27日 | 今日の一曲

http://www.youtube.com/watch?v=p2kRc2aHTnk

え~相変わらず山歩きができません。
ようやく少し暖かくなってきたというのにねぇ。晴天が続くと恨めしかったりします。
さて今回は過去編はお休み。
今日はジェネシスのアルバム"Wind & Wuthering"(1977 邦題「静寂の嵐」)から"One For The Vine"を取り上げてみます。

ジェネシスといえばPeter Gabriel在籍時、脱退後の4人時代、そしてPhil Collins中心の時代へと移り変わっていったのですが、
僕は意外とピーガブ時代よりも4人時代あるいはフィル時代のほうが好きだったりします。
自分の根っこがプログレよりもポップ寄りにあることも影響しているのかもしれませんが、
何よりフィル・コリンズがフロントマンとなってからは曲がとても聞き易くなったという印象があります。
ゴリゴリのプログレ派からすればそもそも聞き易いということが唾棄すべきことなのでしょうけれども、
ピーガブの強い個性とアルバム"Foxtrot"(1972)以降顕著となったサウンド面の拡大との摩擦を考えると
個性の弱まったフィル・コリンズというヴォーカルの選択は消極的なものであったとしても悪いものではなかったと思います。
前作"A Trick Of The Tail"(1976)の頃はまだ硬さのあったフィルのヴォーカルも
このアルバムではかなり落ち着きを見せています。
そして聞いてみてわかるのはフィルの歌声がピーガブに似ているということだけでなく、
実はなかなか上手いヴォーカルであるということです。

ドラマーとしては元々定評のあった人ですが、ヴォーカルのほうも独特のリズム感を感じるところがあります。
それと声に甘さがあるのも大きな特徴です。
フィル主導のジェネシスが段々と甘いバラードやポップなダンスソングを演奏するようになったのは、
フィルのヴォーカルを最大限に利用した結果だったのではないかと思います。
その分ジェネシス初期の曲をフィルが歌うとやっぱり違和感があった。
ピーガブの持つ怪しい雰囲気、つまり金切り声と濁声が混ざった歌声と語りかけるようなシアトリカルな歌い方は
フィルには真似できなかったと言えます。
初期のジェネシスの歌詞はマザーグースのような悪意を持った寓話性が特徴でもあり、
フィルにはちょっと荷が重かったような感じがします。

ジェネシスにとって過渡期とも言える時代に発表されたこの曲でもフィルは早くも甘さを生かした歌声を聞かせる一方、
演奏面がなかなかに凝ったものとなっています。
このアルバム限りでギターのSteve Hackettが脱退してしまい、このアンサンブルが聞けなくなったのは残念でした。
ジェネシスという名前にこだわらなければ良いバンドだったと思うんですけれどねぇ。

ジャケットは…、うーん何だか春には相応しくなかったかな。
デザインを担当したのはピンク・フロイドのジャケットで有名なヒプノシス。

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