快読日記

日々の読書記録

「もたない男」中崎タツヤ

2013年07月13日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《7/12読了 飛鳥新社 2010年刊 【日本のエッセイ】 なかざき・タツヤ(1955~)》

例えば、椅子の背もたれを使わないから切って捨てる。

ボールペンのインクが減ると空いた部分が無駄だから切って捨てる。

パソコンもテーブルもソファも片っ端から捨てる。

でも、買い物は好きなので、新製品が出ると買っちゃう。

そして、しばらくするとやっぱり捨てる。

その捨てっぷり(と買いっぷり)は想像を超えてました。
思い出系のモノも迷わず捨てるし、自分の漫画原稿まで捨てちゃうところまで来るとちょっと壮絶です。

この人は、無駄がイヤ、モノを持つのがイヤ、という以上に、捨てることそのものが快感のように見えます。
そこは少しだけわかる。
25年も一緒に暮らす奥さんもすごいです。

藤原智美が何かで取り上げていたので読んでみたんですが、
買っては捨ててを徹底的に繰り返すことに取り憑かれてるとしか思えない、その性癖に加えて語り口も独特で、本当におもしろかったです。

もちろん、本も「もたない」わけで、読後捨てる・図書館を利用する、というのはともかく、読み終えたページを次々に破いて捨てるって!
推理小説とか、あれなんだっけ?ってときに戻れないじゃないですか。
なんて緊張感みなぎる読書なんだ!と感服しました。

/「もたない男」中崎タツヤ