快読日記

日々の読書記録

「痺れる」沼田まほかる

2010年06月05日 | 日本の小説
《6/3読了 光文社 2010年刊 【日本の小説 短編集】 ぬまた・まほかる(1948~)》

ちょっと奥さん、沼田まほかるの新作読みました?
「痺れる」っていう タイトルなの、きゃ~! 淫靡よね、中身に期待しちゃうわよね。
でも、怖いことに期待以上なのよこれが。
もう、すんごく嫌なかんじ、ねっとりまとわりつくかんじで、たまらないの。

あ! あとね、今までにない作風のものが特に際立ってよかったわよ。
ふとしたきっかけで知り合った中年男が連日家に押しかけて、庭やら屋根やら物置やらに入り込んで修理してくれる「テンガロンハット」とか、
主人公の女が、アパートのゴミ捨て場のチェックが生きがいの老人・萬田さんを殺そうとする「普通じゃない」とか、
映画館の痴漢に恋しちゃう女の話「TAKO」とか、
どれも黒くて奇妙で痙攣的な「笑い」があってね、
これも痺れるってことよね。
沼田まほかるって、こういうのも書けるのね、ますます好きになったわ。

なんだか「食べる辣油」みたいな作品ばかりよ。
大量にかけると辛すぎるけど、短編だったら絶妙なの。
奥さんも痺れてみない?

→沼田まほかる「アミダサマ」
→沼田まほかる「猫鳴り」