快読日記

日々の読書記録

「言葉の煎じ薬」呉智英

2010年06月26日 | 言語・文芸評論・古典・詩歌

《6/25読了 双葉社 2010年刊 【言語】 くれともふさ/ごちえい(1946~)》

呉智英先生がここで批判するのは、若者言葉や俗語・流行語による"日本語の乱れ"(そういう本、最近多いですね)ではなく、
日本語の論理・思考を崩す乱れや「無知な庶民を威嚇したつもりで亜インテリが使う難解な言葉の誤用(13p)」です。
つまり、自分が怒られるわけじゃないから安心して楽しく読めます。
例えば、先生の他の著書でも繰り返し指摘される「すべからく」の誤用は単なるミスや不勉強ではなく、
"亜インテリ"の「押しが効いて、頭良さそうな、かっこいい言い回しを!」という欲や見栄からきているわけで、とても見苦しい。
そんな学者や作家など、言葉を使うプロが次々と俎上に載せられ、こてんぱんです。
それがあまりに良い切れ味なので爽快な一方、つい彼らに同情しそうになりました。
しかし、それはありえない話。
ここで示される間違いはすべて、普通の辞書にちょっとあたればなんてことなく防げるものばかりだからです。
えらい人ほど自分の知識や記憶を過信してるのね、横着しないで調べたらよかったのに~、むふふ。

ところで、学生時代からずっと追いかけている呉智英本ですが、今回感じたのは「この人の文章って、いわゆるツンデレってやつかも」です。
こわもてで、愛想もよくなくて、すごく鋭いんだけど、ときおりこぼす呟きが妙にかわいいんです。
たまらん。
これ、呉智英ファン(の特に女子)の共感を呼べる自信あるんですけど、どうでしょう。