局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

最近読んだ本

2012-04-25 21:45:54 | 読む
病院というのはとても待ち時間が長いもので・・・ まして付添として行くと、自分が見てもらうわけじゃないので移動の他は殆ど何もすることのない時間である。携帯もつかえないし。

で、母の付添中に読んだ本で印象に残ったものを記しておこう。(画像はアマゾンから借りました)

まずはご夫妻の作品





先日クマ牧場で檻を抜け出したひぐまがパートの女性二人を殺害した事件があった。
 こちら ☆で書いたがこの本が現実になってしまったようで気の毒な事件であった。
その関連で読んだのが吉村氏のドキュメンタリーである。熊牧場やファントムピークスじゃなくてほんまもんの野生のヒグマが人を襲った話である。
大正時代の話だが、入植して厳しい北海道の自然と戦いながら生活を育んできた村に巨大なひぐまが襲う話。息を詰めて読んでしまうような迫力があった。

吉村氏の緻密な筆致。もっと他の著書も読んでみたいと思いながらも書く世界があまり私の興味の範疇外なので今まで敬して遠ざかってたけど力のある作家さんの作品てのは興味外の対象を書いてもひきつけられるものと改めて感じさせられた。チャレンジしようっと。

奥様の津村節子さん この方は着物の会の先生も講義の中で著書を紹介してくださる。絹織物、染め織り、伝統工芸など着物周りの世界を記した著書が多いので読んでいたが、こちらはご主人の舌癌から始まる闘病と死に至るまでの私小説である。
身内に癌患者がいるタイミングで読むのもなあとも思ったが勢いで図書館で借りてしまった。
作家としての活動をしながら、気難しそうな夫を支えた数年間の記録。戦って戦って最後は自分で点滴を抜いて死に至った吉村氏の最後の描写、その時に叫んだ筆者の言葉には泣けた。



450ページという長編 単行本だから重いので持ち運んで読めなかったこともあるが、読み進むのがつらかった本。
これはかなり強烈な母親との葛藤を記した半自伝的私小説である。
幼い頃から母親から期待されていた反面、押さえつけられ、それを陰で裏切るかのように女子高時代の同性愛、男遊び、結婚と離婚と再婚。
その母親は現在認知症でわけがわからなくなっているようで、だからこれを書けたのだろうけど・・・
ムスメもいる我が身としてともすれば母親というのはここまで我が子を呪縛してしまうものなんだろうか? この母娘が特殊と信じたいと思ってしまった。
途中何度も読むのをやめようと思いながら彼女の語りの展開や文章の巧みさにひきつけられて最後まで読んでしまったが読後はすっきりしなかった本である。






これは違う意味で読み進むのを躊躇した本。 なぜって?・・・・

読み終わるのが惜しかったからである。いいわ~ 有川さん! はまった。

簡単に言ってしまうと東京の小劇団の財形再建の話である。

シアター

小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!!その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが…。
←サイトより


シアター2
 「2年間で、劇団の収益から300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」―鉄血宰相・春川司が出した厳しい条件に向け、新メンバーで走り出した『シアターフラッグ』。社会的には駄目な人間の集まりだが、協力することで辛うじて乗り切る日々が続いていた。しかし、借金返済のため団結しかけていたメンバーにまさかの亀裂が!それぞれの悩みを発端として数々の問題が勃発。旧メンバーとの確執も加わり、新たな危機に直面する。そんな中、主宰・春川巧にも問題が…。どうなる『シアターフラッグ』!?書き下ろし。

しっかりもののサラリーマンの兄・司と幼い頃大層ないじめられっこだった巧。巧は売れない役者で貧乏をこじらせて死んだ父から演ずるということを教えられた。シアターでは司の鉄血宰相ぶりに惚れたワタシだが、2ではそれぞれのメンバーの恋愛模様も織り交ぜてあり、へ~ここがこうくっつくんだと意外だけど納得するキャラ構成にこれまたひきつけられる。

あとね、登場人物たちの会話の巧みさ。
それぞれキャラ立ちしている人物たちだが、会話もそのキャラならこうしゃべるだろとそのまま違和感がない。
またもしつこく書いてしまうが 某渡辺○一の作中の会話のあり得ないひどさ。この人物設定でこんな言葉使いするわけねえだろといつも突っ込んでしまうが、そういったことはこの作品では皆無である。作者に年代が似ている人物だけでなく、司の上司のアラフィフの部長や客の上品奥様も納得する言葉づかいとしゃべりである。こういうのってとても読んでいて安心なのだ。人間観察が鋭い証拠だね。

それにね、さっき紹介した津村氏の本と違った意味で泣けるの。シアターフラッグのメンバーの演劇にかける情熱、最初もうけもでない劇団として苦々しくみていた司が、巧の作品の中の自分の投影に気付くところなんて・・・ ホントじんわり来る。お涙ちょうだいじゃないところでずきゅんと心に沁みるってワタシ好みだわ~

東京ってところは案外身近に役者さんって人種がいるところで、ジムに行けば往年の☆沢映画にも出ていた俳優さんが自転車漕いで汗を流していたり、子供の学校関係の父兄にも今現在TVや舞台で活躍している人もいる。
そういうメジャーな人とからむのもミーハー心が刺激されて楽しいが、もっと身近なところに もうちょっとでメジャーになるかな?というまさしく中堅どころの劇団の俳優さんの妻がいるのである。
彼の作品や客演する舞台はなるべく見に行っているが、コンスタントに仕事があって家族を支えていけるようになるまでは大変だったらしい。
妻にこの作品の話をしたら
「すっごい身につまされますよ~ 絶対読んでみます。ダンナにも読ませます!」と言っていた。彼女とダンナの感想を聞くのも楽しみである。

さっき読み終わるのが惜しかったと書いたが、このシリーズはまだ完結でなく3まで出る予定らしい。
早く読みたいな、シアター3!









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6 コメント

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本は、、、 (ナナママ)
2012-04-26 08:46:55
本読むって、
ほんと、シアワセ~
至福の時~♪
ちょっとサミシイえすね、私、アハハ~

京極さんに初挑戦。
慣れるまでテコズルみたいです・・・
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読書 (YUMAMA)
2012-04-26 21:40:26
いささかこまかい字が見えづらくなってきたことを否定できなくなってきました…;これに最初に気づいたのは、読書がおっくうになったこと。

局様の楽しみが羨ましい…引き込まれるときのわくわく感をもう一度。メガネ作って、もっと読書しようっと!
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最近ちょっと。。。 (ぶどう)
2012-04-29 08:14:58
有川さんデビュー作の『塩の街』を中学生だった息子に薦められて以来全ての作品を読んでいますが
『県庁おもてなし課』以降
最近ちょっとご無沙汰してます。

『キケン』『シアター』のあとあたりから
ちょっと勢いがなくなったというか・・・
あれこれと既出の組み合わせなような。。。
少し充電が必要なのかなって思わないこともない。(偉そうに上から目線ですみません)

東野圭吾さんのようにならないでほしいな。。。どちらも大好きな作家さんなので。


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ナナママさん (朱鷺局)
2012-04-30 22:25:06
読みたい本があって 邪魔されない時間があるって
ホントに至福ですよね。
さみしくはないと思うな~ 私もそれがあれば一人でいても全然平気です。

京極さんいかがですか? 初期の頃のを何冊か読んだけどあまりはまれなかった気が・・・
作家は変わった人って感じがしますよねw
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YUMAMAさん (朱鷺局)
2012-04-30 22:27:49
私は長編(特に翻訳物)が読むのがめんどうになってます。
気力と知力と体力の衰えかも~~

メガネ作るなら広島のメガネのサカタさんが親切ですよ。処方箋送りましょう。

パパ~ 宣伝したよ~w
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ぶどうさん (朱鷺局)
2012-04-30 22:33:35
ぶどうさんの読書記録は私もずいぶん参考にさせてもらってます。

そうですか、ずいぶん前から注目の作家さんだったんですね?
私は最近知ってはまったので まだ未読のものが大半なので色々試してみます。

全部が全部面白いって作家はなかなかいらっしゃらないですね。
特に日本の出版界って特定の人ばかりにスポット当てて
売れると量産させて疲弊させてってパターンが多いような気がします。

確かに東野さんも最近はがっかりさせられることが増えてきましたね~ 私は 白夜行 の頃が好きでしたが・・・

T・ハリスのように10年に1冊でいいから読めば満足ってものを出すようなパターンは
日本じゃ難しいのでしょうか?
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