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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」80

2015年11月24日 | 物語「夢幻章伝」

谷一族に伝わる秘宝の力を借りて
ギャーズンドコズンドコを倒した
アヅチとマツバ。

涙ぐむへび呼ロイド。

そして、

飛び出せ三つめ小僧こと
谷一族アリー。

「「「「……………」」」」

見つめ合う、4人。

ええっと、

「小僧っ、大丈夫か??」

弟子のサッカーボールが駆け(?)寄り、
ハッとするアリー。
さっと、挙手。

「拙者一人に二人がかりとか
 フェアーじゃないと思います」

スポーツ選手たるもの
フェアプレイが大事。
試合が終わったらノーサイド。

「こうなったら、弟子!!」
「おうよ!!」
「三つ目族の血を、ここで絶やす訳にはいかぬ」
「とくとく、とくとく(早く早く)」

にんにん、みたいなポーズをとりつつ
アリーの姿がぼやけていく。

「あいつ、逃げるぞ!!」
「逃げるのね」
「逃げるんだね~」

「違うわい!!」

むきー、と
アリーが反論する。

「よく聞け、拙者は負けたわけではない。
 逃げるが勝ちというやつだ。
 覚えておくがいい、いつの日かお前達を(ブツン)」

移動魔術なのか、どこかへ逃げた
アリーとその弟子(サッカーボール)。
最期の台詞に尺が足りなかったようだ。

「というか、
 逃げるって自分で言ってたし」

は~、疲れた(懐中電灯つけるのに)と
座り込むアヅチとマツバ。
腕がつりそう。

んん?と
マツバはアヅチに向き直る。

「そういえば、あんた、
 移動魔法が使えるなら
 最初っから使いなさいよ!!」

ギャーズンの中から移動魔術で脱出したアヅチ。
繊細な技術と特性で
大雑把魔法が得意な南一族は
あまり使えない魔術です。

「いや、それがさ」

ほら、とアヅチは投げ出された懐中電灯を指さす。

「あの電灯の光が
(ギャーズンの液体を通して)
 俺に当たったときに、自然に呪文が浮かんできて」

……うっわ。

「ちょっと、ちょっとちょっと
 へび呼ロイド」

マツバはへび呼ロイドを呼び寄せる。

「ねぇ、
 トウノみたいな事言ってるわよ」
「えええ、あれかな
 ギャーズンを飲んだ影響かな」

恐るべき、谷一族の秘宝。

「おい、ひそひそ話、やめろよ」

ふふふ、と
一件落着なので
いつもよりも心の余裕がある
へび呼ロイド。

「まぁまぁ、マツバはアヅチのこと
 凄く心配して、
 助けようと一生懸命だったって事だよ」

「死なれちゃ、困るってだけよ」

おや、素直なマツバ。

「……それに関しちゃ、
 助かった、ありがとな」

アヅチまで!!

「ふたりとも、やったよ。
 やったんだよ~♪
 ギャーズンドコズンドコを
 倒したんだよ」

幸せムードで
きゃっきゃと、
はしゃぐへび呼ロイド。
2人の周りをグルグルと飛び回る。

「ありがとう
 おいら達の同僚も
 これできっと戻ってくるよ」

ギャーズンを倒し、
飛び出せアリーは立ち去り、
静まりかえる現場。

木漏れ日が差し込み
鳥の鳴き声がどこからともなく響き渡る。

「そうか」
「よかったわね」

まさか、北一族の村を出発して
午前中のうちに
こんなバタバタとラスボス戦に突入して
お昼前に終わってしまうなんて。

「俺達の旅」

「これで終わり、なのね」


お昼、まだ、食べてないのに!!!!!


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