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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」41

2018年02月06日 | 物語「約束の夜」

じゃあ、またおいでよ~と
ツイナは手を振り、
満樹と京子を見送る。

やがてその姿が見えなくなると。

「さて」

背後のミツグに言う。

「数話、まるで空気のようだった
 ミツグ兄さん!!」
「静かに控えていたと言え!!」

まぁまぁと
ミツグをなだめながらツイナが言う。

「あの二人、
 監視よろしく」

了解、とミツグは2人の後を追う。


「ええっと、お兄ちゃんの手がかりを探りつつ、
 美和子達にも接触する、と」
「出来れば裏一族には
 こちらが有利な状況で近づきたいが」
「この村だと、
 他の一族って目立つのねぇ」

と、京子は辺りを見回す。

水辺を囲む8つの一族。
東一族の黒髪も他の一族には
あまり見られない特徴だが

「小麦色の肌って素敵ね」

海一族の特徴である
褐色の肌。

マントで身を隠さないと
すぐに肌の色で他一族だとばれてしまう、が
温かい気候のため
身を隠すのも目立ってしまう。

「と、言うことは
 私達が村に入ったというのも?」
「裏の奴らは把握しているだろう」
「むむ~」
「逆に、裏の奴らも
 迂闊に手出しは出来ないはずだ」

「ねぇ、さっきの
 ツイナって子」
「あぁ、先視の力だな、あれは」
「違う!!そこじゃない!!」

もう、と京子は言う。

「見たでしょう、掌のアザ」
「見た、けど」
「なにがどう関係しているのか
 さっぱり不明だけれど」

けど。

「この海一族の村で狙われるのは
 つまり、ツイナよ」

「まさか、掌にアザがあるから?」
「そうよ。
 きっとこのアザを持つ者を
 裏一族は探しているのよ」
「いや~。
 もういい加減このアザから離れて
 考えた方が共通点も浮かんでくるんじゃ」

そもそも、
握り方のクセで出来るアザでもあるし。

「私のは生まれつきです!!
 満樹は!?」
「俺も生まれつきだけど」
「ほらーー!!」

満樹はふたりが出会ってから
最大級の不満ですという表情を浮かべる。

不満だ。納得いかない。

「分かったわ」

譲歩案を京子が出す。

「今日一日、
 ツイナを監視しておきましょう」
「……監視」
「それで、何も無ければ私の負け。
 アザは関係無いって事で
 別の方法を考えるわ」
「よし、二言はないぞ!!」
「おうともよ!!」

がしっと、
ふたりは拳と拳を併せる。

「…………」

あれ、と
無言で戻ってきたミツグに
ツイナは尋ねる。

「どうしたの。
 ふたりを遠くから見張っておくって
 出かけたばかりじゃないか」
「いや、それが、
 なんだ、あれ?」

そっと、
カーテンをわずかに開け
ミツグは外を指し示す。

見えるのは、
家の角に隠れつつ
こちらの様子を伺っている
満樹と京子。

「俺達も見張られている」
「………つまり???」
「俺達は
 互いに監視し合う関係だという事だ」

ツイナは呟く。

「意味が分からぬ」


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