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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「水辺ノ夢」21

2013年10月15日 | 物語「水辺ノ夢」

「……圭……だと?」

舟の上から声がかかる。

違う、圭……じゃ ない。

杏子は目を凝らす。

「なんで、あいつの名前を知っているんだ?」

舟から人が下りてくる。
青年が一人。
少し毛先の色が違うけれど、白い髪。

「……あ、 西一族?」

杏子は後ろへ後ずさる。

だが、それよりも青年の動きは早い。
どんどんと歩いて来て杏子に迫る。

「そうだ、西一族だ!!
 それよりお前、今、圭と言ったか?」

青年は杏子の腕を掴む。

「っ!!」

「答えろ、今、圭と言ったか!!」

杏子は混乱して、とっさに声が出ない。

どうしよう。
どうしよう。

この人は圭とは違う。

でも。

どこかで会ったことがある?
けれども杏子は西一族を圭しか知らない。

ならば、なぜ?

「……あ」

会ったのでない。見たのだ。
圭と一緒に西一族の村に行ったときに。

見回りに来た西一族。
名前は……確か。

「あなた……広司?」

青年―――広司の顔色が変わる。

「圭と、会ったことがあるんだな!!!」



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