ケーブルメーカーTMDのブログです。
ケーブルを作り出してもう大分時が経ちますが・・
その時、その時で私が信頼をよせるケーブルがありました。
記憶では一番最初がICON3です。
その次がEURO VINTAGE
更に次がDARK RIDE
そしてINCA REDです。
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INCA RED登場以前と以後の当時のTMD事情を少しお話ししますと
VINTAGE WIREの収集量というか材料ストックの量と幅が
INCA RED以降、一気に増えました。
それはINCA RED以前に一位だったDARK RIDEはかなり複雑な構造で
作業工程も多く製作はなかなかのものでした。その後に登場したINCA REDは
なんとHOT側一本、GND側一本という実にシンプルな構造ながら全体の音質としては
DARK RIDEを超えてしまいました。
この事は素材の良さと言う物が、構造で超苦労して作った物を凌駕する事が
あるという実際体験でした。
とは言っても一本のWIREで全てをまかなう事はフルレンジスピーカーたった一本で
全ての帯域を出そうと言うのと同じく困難です。
ゆえにTMDは常にこの二つ(素材探しと構造の研究)を繰り返していると言えます。
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ThothとSeraphim
次に現れたのがトスとセラフィムです。この二つは性格の違いでそれぞれ
好む人が別れる所があり、トスはクリアーで解像度が良くセラフィムは
豊かな中域と和める音でした。
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(更に追加)
このトスとセラトスのよいところを混ぜた物がセラトスでした。
このケーブルでしばらく安定期に入りました。
でも、安定がしばらく続くとまた新しいものが作りたくなります。
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その次の時期に生まれた物がAMRITA JAZZ とAMRITA NORMALです。
この二つは名前の通り、JAZZ向きにチューンしたAMRITA JAZZ と
オールラウンドに何でも聴けるAMRITA NORMALです。
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この次がJHBでした。
これはTMD初の「19世紀の銅線を使用したケーブル」です。
このワイヤーの衝撃はINCA REDの時と同様に
「やっぱり導体が最も重要だ!」と再確認するものでした。
この時期にはスタビライザーが重くなっていた記憶が
あります。スタビライザーは低音の再現に効果のある物なのですが
やり限ると確かに低音は出るものの、今度は上が鈍くなってしまう
傾向があります。これはサブ・ウーファーで増強したシステムが
必ずしも全て良しとはならないケースに似ています。
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〈追加〉
もうJHB-KINGを出した頃、それ以降はTMDでは古い銅線を使うのは半ば日常化してしまいました。
そして、製造年代が古い程良いという・・固定観念からも抜け出し、良ければ年代を問わずに使うという
事になりました。そんな頃に作り出したのがJupiter(ユピテル)です。
しかし、このユピテルでも内部に撚り線を一部使っていました。
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その後、Vizzmillionが登場します。
ビズミリオンでは全体としてすっきりとしたまとまりが得られたので
やや安定期に入りましたが・・
物足りなさ、刺激、そのような物を内心求めていた感がありました。
(※そのビズミリオンでは撚り線は相当、少なくなっており95%は単線でした。)
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遂にETCが登場します。
このケーブルの誕生の裏にはこれまで作ってきた
ケーブルや試行錯誤、そして偶然などがあったのですが・・・
とにかくTMDとしてはエポック・メイキングな出来事でした。
なんと、このETCは左右のケーブルの構造に違いがあるという
不可思議なもので、それまでのオーディオ観念からすれば"掟破り"な
代物です。しかしながら結果的に出てきた音はより実際の生の音に
近いリアリティを持つ物なのですから驚きです。
(※なお、このETCのちょっと後に撚り線を使う事を完全にやめる決心をしました)
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さて、ETCであれこれと試作しているうちに、2種類の19世紀ワイヤーを
入手しました。これを試した物がGeniozとGenioz LONDONです。
この二つは構造的には比較的シンプルなものなので販売価格も抑える事が
できました。
音色的な特長としては何よりも正確な定位描写だと思います。
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以上が記憶に残るその時々の私が信頼を置いたケーブル達です。