TMD BLOG

1986年創業のTMDのブログです。

ACタップについて(2)

2017-07-30 22:34:46 | NEW

さて、続きです。

TMDのACタップの歴史は意外に古く

まだTMDがMDの時代に最初のタップが

作られました。

まだ当時はビンテージ・ワイヤーにほぼ

出会っていなかった時期です。

アルミの鋳造のBOXに幾つかのシングル・コンセントを

入れたものでした。

ユーザーは今のようなオーディオマニアの方ではなく

ミュージシャンや作曲家、プロデューサー、エンジニアの

方々でした。

さて、それから数年経ち、TMD TAPという縦長の2口x3=6

の物を作りました。内部には既に今でいうスタビライザー

が入っていました。当初は全部のオーディオ機器を一つの

タップで給電というスタイルでした。

しかし、パワーアンプだけは壁コン直のほうが原始的なパワー

感がある、という経験的な選択から

次のDIVA TAPではパワーアンプを敢えて除外したスタイル

に変更となりました。このDIVA TAP、栃の木の外装が

いい感じでした。

ちなみにDIVA TAP時期ではビンテージ・ワイヤーをかなり

使っていました。しかしまだコンセントそのものは普通の

物(やや旧型のもの)を使っていました。


そこから15年ぐらい月日が経過し

遂にAC TAPを再開しました。

それがTRIOです。

実は海外のビンテージ・コンセントを数年かけてコツコツと

集めていました。色々集めているうちにわかって来たことですが

アメリカでも最初は2Pのコンセントが家庭では使われていました。

3Pのコンセントが出始めるのは1960年代中後期からです。

従って幾らビンテージでも2Pの物はTMDでは使いません。


蒐集した中で音質的に白眉だった物はLEVITONです。

流石に老舗中の老舗だけあって、作りも音質もgood !


次はGEです。これも良い、特に高域の情報量が多く

上流機器に最適です。


あとEAGLEも秀逸です。このEAGLE、実は15年以上前の

TMD TAPやDIVA TAPに使っていたのです。

でもそんなに古い物ではありませんでした。


古いコンセントはベークライト樹脂からスタートしていますが

このベークライト、欠点は脆い事ですが、音質は抜群で

私的には絶縁体として大変に信頼しています。

絶縁特性などのスペック的にはその後に登場する合成樹脂

よりも劣るのですが、音は最高です。テフロンなんか問題に

なりません。音はベークの分厚いやつが最高です。


そして古いコンセントはネジの部分が凄い、マイナスネジ

なのですが、アメリカ製のマイナスネジは良くできています。

ドライバーで締め込んで見れば、その作りの良さが実感できます。


またプラグを差し込んだ時のカチッと確実にはまる感覚は

今日のコンセントには無い感覚です。

くわえ込みのパワー感が違います。


TMDはこの素晴らしい部品を生かして最先端の内容を持つ

AC TAPを最近になって作っています。


次回は具体的に幾つかのAC TAPの紹介をしましょう。


つづく

 


ACタップについて(1)

2017-07-19 09:45:42 | NEW

ACタップについて思っている事を書きます。そもそも最初の頃は

ACタップという物はこの世に存在しなかったのです。

電灯線と呼ばれる家庭用AC100 V(日本規格)は名前の通り

当初は照明用電灯を付ける為の物でした。出始めの頃は

ブラーンと天井からぶら下がっている電球ソケットに

電球を差し込み、スイッチを入れるだけ、という簡単なものでした。

このソケットの部分に裸電球をグルグル差し込むわけです。

そして上にある回転スイッチでON/OFFすると・・。


家庭でも電気文明の恩恵が得られるようになった最初ですね。

この後、電気炊飯器などの電気機器が出現するに至り

電灯線のソケットを利用して他の電気機器をつなげる

アダプターが現れました。

これで電気でご飯も炊けます。

しかし・・・ご飯を炊いている時に電球は使えない、、、

そこでっ!

電灯線を二股、三股にした物が時代の要求で現れることになります。

思えば、これがタップのはしりかも?

本当に最初の頃は壁コンというものはまだまだ無かったり

あっても極僅かな普及率だったのです。

信じられないかも知れませんが我が家ではこの二股コンセント(天井から

ぶら下がる)で電球を付け、もう一つのタップに炊飯器を繋げていたのを

はっきりと覚えています。

壁コンがあったのかは覚えていません。多分無かったのでしょう(その部屋には)

だから、ぶら下がったタップから炊飯器の電源を取っていたのでしょう。

しかし、その後、洗濯機、冷蔵庫、アイロン等々の家庭用電気機器が

物凄いスピードで家庭に導入されるようになり

ようやく、壁コンが普及せざるを得なくなります。

壁コンは壁にあるコンセントだから壁コンです。いいセンスしてます。

オーディオ用のコンセントは結局、この壁コンの延長線上にあるとも言えますが・・・

何故か、こんな感じのタップが製品化されました。コードがグニャグニャ

しています。そう撚り線なのです。壁コンの配線は普通、単線ですね。

なのに、撚り線、、、これは安全を考えての事なのでしょうが

オーディオの未来を暗くする暗示が既にこの時点でありました。

元々、電灯線から始まったこのタップ

オーディオ用として良い音を目指すなら

★配線は単線を使う

★ハンダを使用しない

つなぐ機器によって電流を最適にする

つなぐ機器によって音質を最適にする

★確実な接続器具(コンセント)を使う

の5つがまず挙げられます。

まぁ、TMDのタップは上記アンダーラインが入っている部分を

重点的にやっているのが特徴です。

正直ケース(筐体、BOX)の音質的な影響は割と少ないのですが・・

メーカーはそこを誇大に強調しますね。

ケースの最大の意図は感電防止です。AC100Vにうっかり手が触れないように

覆う役目なのです。

つづく


4TH(フォース)発売

2017-07-09 14:40:01 | NEW

 

4TH(4口)AC TAP    リンク

商品説明
 
TMD 4TH(フォース)は理想にまた一歩近づいたコスト・エフェクティブなAC TAPです。

TRIO、QUANTUM等最新モデルをTMDはリリースしてきましたが、実際のところ TMDの試聴室ではタップは4口あれば足りてしまうのです。そこでかねてから計画していたシングル・コンセントによる「4口タップ」を作ることにしました。

そして完成したのが4THです。4THのケースはギターなどのエフェクターでお馴染みのハモンド社のアルミ鋳物ケースで、実は私このケース、個人的に大好きなのです。

何となく業務用っぽい雰囲気と堅牢でありながらも軽快さもあるというアンビバレントなルックスが魅力です。4THではこのケースに米国のビンテージN.O.S.のレビトン社とGE社のVINTAGEなシングル・コンセントを2個ずつ使用しています。

ビンテージなコンセントの魅力とはその素材の良さです。特にベークライトの音質の良さは昔から常識でありましてその後のあらゆる"合成樹脂"を凌駕します。また接続機器としての使命、噛み合わせの確実さも魅力です。

そしてネジ、金具類の金属の材質の良さ、堅牢さも何故か最近のものとは全く次元が異なるのです。昨今のオーディオ用コンセントは24金メッキとかクライオ処理とか、そのような方向に傾いたものが多く、基本としての接点の確実性という観点からは離れています。

ワイヤーだけに限らず昔の世界の金属は良かったのだと語れるのですが、その金属はコンセントの中に多数使われているのです。そしてネジ、このシンプルなネジが昔のアメリカ製コンセントは秀逸なのですね。確実に締まります。そしてネジの仕上げも良く音質も良いのです。


コンセントもお洒落にツートーンカラーにしました。GEはアイボリーでLEVITONは焦げ茶(黒に見えますが)です。入力も含め、全て上面に配置したので使い勝手は抜群です。


各コンセントの上には使用用途が書いてあります。WはpoWer ampの意味で、PはPre-amp用です。これは完全にそのように音作りをしているのです。



一方、GEの方は上流機器、TはトランスポートでDはDACの意味です。上流機器の場合はとにかく情報量を稼がねばならないので内部配線も最適な物を当てがっています。


さて気になる音質レポートは以下に


寺島レコード/ Jazz Audio Fans only VOL.8から9曲目。
シンバルの清涼感溢れる金属系の音がひしひしと伝わってきます。イコライザーで高音を強調したような音ではなく、逆に全体的にはしっとりと落ち着いた雰囲気が「オッ?」と思わせます。うーん、誇張や媚び諂いの一切ない自然体の音なのです。しかしながら背景にある音の確実な描写、例えばシズル・シンバルの余韻が長く水平線的に続くあたり・・・は実に見事です。
 
メロディ・ガルドーの5曲目、吃驚しました。非常に再現性、特に録音音場が良く「見れる」音で、細密画の細部のようにくっきりと鮮やかに隅々まで見渡せるディティールです。また音場全体に漲る音の"気"のようなものもリファレンスのタップよりも良く描けているように感じます。

鈴木 勲「BLOW UP」の1曲目。リファレンスよりも空間の透明度が明らかに高く、これが湖なら底まで見えるような透明度です。リファレンスはやや透明度が足りないんだなぁ、と感じました。底までは見れない感じです。ベールが一枚取れたという台詞がぴったりです。この4THでは特にGE側の上流コンセントには非常に綿密に音質をコントロールしていますので、その効果だと思われます。情報量が違いますね。

オアシスの11曲目。いよいよ確信に近づいたのがこの曲を聴いてです。音の重なりでいまいち前後の位置感がもやもやしていたのですが、この4THで見事にその辺りが歴然としました。例えて言うなら薄い4枚の紙が10cm間隔で平行に並んでいるような音があるとして、それがこれまでのタップ(リファレンスのもの)だと所々、くっ付いてしまって不明瞭だったのですが、そこが完全に解けました。解像度の意味とは音と音のセパレーションの意味もあるのだと改めて思い知りました..。ボーカルは鮮度が上がりリアルさが増えました。

クラプトンの1曲目、いつもより、より自然に前後間での音のマスキングが軽減されました。ステレオ録音の欠点は横一列に音像がひらめのようにペターっと並ぶところなのですが、そこに前後の立体感が加わるとかなり良い感じになりますが、この4THではかなり理想に一歩近づくことができます。指パッチンの音は物凄くリアルになりましたし、生ギターの音は1ランク昇格しました。

この4TH(フォース)はTRIO、QUANTUMよりも鮮度は確実に高くなったと思います。リファレンスに使用できるタップという事では他の機種よりも優先順位は高いかもです。ただし4口で足りる方のみですが・・。

※発表後、2〜3日でSOLD OUTとなりましたので、現在もう一台作っているところです。