宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

本日晴天なり

2015年04月30日 00時10分49秒 | Weblog

されど霞多し。

ブルーベリー号の行く末を見届けた気がしてほっと安堵。なんとなく大工仕事も観測デッキの整備もする気になれず、丘をフラフラと歩いてみた。目の前の海にもう牡蠣筏は無い。漁船が東側にある島の間に持って行ったのだ。その向こうの島は霞が掛かってほとんど見えない。立夏はまだだから、これは一応「春がすみ」と言って良いのだろうか。

丘を眺めてまず感じるのは、今年のみかんの木が驚くほどたくさんの花を付けていることだ。蜜柑は一年ごとに表年と裏年を繰り返す。だから今年みかんの花が多くても驚くことではないが、今年の花は確かに一昨年よりも多い。

ああ、この忙しいときに、ことしもまた害虫の駆除に追われるのか。いや、本当に大変なのは僕じゃない。実質的に丘の作物を管理しているおばさんの娘さん夫婦だ。ひょっとして、今年はこの駆除にブルーベリー号が活躍するんだろうか。そうだと嬉しい。彼は車齢の大半をこの丘で過ごしてきたのだから。

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さよならじゃなかった!

2015年04月29日 10時59分02秒 | Weblog

本当はこの書き込みは19日の夜するつもりだった。しかしいろいろと忙しくて、写真がアップできたのは今日の未明。それでもどうしても書いておかなくては。ブログはWeb log ウェブに載せる「日誌」だから。


 

竹取庵は木造だ。だから普通の日曜大工では使わない大きな梁や柱も使う。その材料はホームセンターだけでなく、業者専用の材木店でも調達してきた。それを運ぶのがみかんの丘の力持ち「ブルーベリー号」だった。
この青い助っ人が来たのは2001年の6月。年を取って運転が怪しくなった親族の、農作業用の軽トラをもらってくれないか。目の前からいなくなれば諦めるだろうという事だった。

軽トラはこの時すでに車齢が5年を過ぎていた。確かにあちこちぶつかって擦れや凹みが出来ていたが、それでも塗装にはまだ艶が有った。この車に「ブルーベリー」の名を与えたのは、丘に特別な思いを持っていた友人だった。青いからかっこよくブルーインパルスはどうかという僕の提案を一笑に付して、かわいいフォルムだからと名付けたのだ。

それから14年。梁を運び、柱を運び、レンガを運び。時には生コンまで運んで竹取庵の建設に大きく貢献した。彼が居なければ、この天文台はとても建たなかったのだ。ただ、20年近い車齢を重ねたブルーベリーは空調のダクトが風化して割れ、排気管も穴だらけ。最近はエンジン音も怪しくなっていた。
来月には車検の時期を迎える。もう終わりだな。寂しいけれど別れる時が来たんだ。丘から自動車会社に持っていく最後のガソリンを入れるために丘を降りようとした時、たまたまおばさんの娘さん夫婦に出会った。挨拶のついでに事情を話すと
「えぇ、まだ動くが。もったいない。」
「でもボロボロですよ。」
「そんなこたあない。あの良かったらうちの農作業に使わせてもらえんでしょうか。」
車検は受けない。廃車にしてプレートも返納する。しかし、この丘の敷地の中だけで本当に動かなくなるまで使いたいという事だった。

別れると覚悟を決めていた車とさようならしなくて済む。丘に上がればこれからもブルーベリー号に逢える。ガソリンスタンドに向かいながら、握るハンドルが暖かかった。

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揺らめく女神たち

2015年04月24日 00時46分35秒 | 

目標の高度が低いせいもあるがカメラのモニターの中のアルテミスはまるでさざ波と陽炎の向こうにいるようだった。フォーカスノブをどんなに微調整しても全体にピントの来る場所が無い。仕方なく適当なピント位置にしてカメラ感度400、露出125分の1で撮ってみる。周囲を山脈に丸く取り囲まれた危機の海が印象的だ。ただ、カメラのファインダーを通してぼんやり見える影の部分地球照が写らない。そこで露出を少しずつ増やして、カメラモニターで肉眼で見える程度の画像に持っていくと露出は0.6秒だった。明るい部分の適正露出の75倍にあたる。確かに地球照は写し取れたが、これでは日の当たった部分が真っ白に飛んでしまってクレーターの存在すら分からない。目では両方がはっきり見えるのに。毎回感じる人の裸眼の凄さだ。

さて、お隣の女神ビーナスはマイナス4等級以上だ。しかし今夜の金星は視直径が15.8秒。228分の1度しかない。口径200ミリ、焦点距離800ミリの望遠鏡の直焦点ではほとんど輝く点にしか写らなかった。口径8センチの屈折望遠鏡に5ミリアイピースの拡大法を使うことにした。

カメラのモニターに現れたビーナスは少し太った半月。美の女神には失礼だが面白くない形だった。クラゲのように暴れまわる星像に十数回シャッターを切り、そのうちからまずまずの画像4枚を選び出して重ね合わせたが、きちんと重なるものは一枚も無かった。見られたものではない。

気が付けば時刻は午後9時。久々の星空を夢中になって撮っていたが、思えば仕事場からそのままここにやってきて飲まず食わずだった。女神たちも西の山の端に沈もうとしている。薄雲が出たせいか、あれほど見えていた星も、今はあまり見えなくなっていた。

明日はもちろん仕事だし、そろそろ帰ろう。次のミッションは観測デッキの掃除ということになりそうだ。

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冬星座の中の二神

2015年04月23日 00時39分54秒 | 

昨日帰宅しようとしてなんとなく空を見ると、宵の明星の少し西に三日月が掛かっていた。あれ、明日はこの二つが横に並ぶんだ。仕事も山を越えたし、上がってみようかな。

というわけで平日ながらみかんの丘へ。昼間は空全体が霞んでいたが、仕事が終わって丘に駆け付ける頃には思ったよりたくさんの星が見えていた。これなら星雲の撮影もできるかもしれない。目を西に向けると、東に歩を進める月神アルテミスが、美の神ビーナスを少し追い抜いていた。
ランデブーと言うほど接近してはいないが、美を競う二神だけに黄昏の残る西の空でも際立っていた。この二人を取り囲むように、オリオン、おおいぬ、こいぬ、双子、ぎょしゃと、冬の星座が顔を並べている。

今夜の月齢は3.7。やや太めだが地球照も何とか見えた。なにしろ長い間入らなかった観測デッキ。うっすらと埃が積もり、海が近いだけになんとなくペタペタする。掃除してやらなければ。ゴールデンウィークは月が明るすぎて撮影出来ない分、頑張って掃除しようか。そう思いながら望遠鏡のカバーを外して20センチにカメラを取り付けた。

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桜が待っていてくれた

2015年04月18日 23時35分58秒 | Weblog

前にブログアップしてからちょうど3か月。今回は本当に体が壊れるかと思った。仕事がまるでラザニアのように折り重なって、いくら考えても一日24時間ではこなし切れない。どうしようかと思いながらもコツコツ片付けてゆけば何とかなるものだ。ようやく一昨日すべて終了したが、最後は徹夜の連続だった。

そして、今日こそはとカメラを準備して丘に上がろうとしたのだが、朝また仕事の電話が入って出発が遅れ、午後は高校の同窓会の会合が有ってさらに先延ばし。丘に上がれたのは4時もかなり回ったころだった。

もう桜は無理だろう。今年は見逃した。そう思いながら到着してみると…

咲いている。まだ残っている。いや、頑張って残ってくれている。4本の枝垂桜のうち、早咲きの2本はもう若葉だけになっていたけれども、残りの2本はしっかり花びらが残っている。僕を待っていてくれたのだ。遅まきながらの花見。なんだか嬉しかった。

おばさんと3か月も来られなかった理由を話し、番犬太郎とも再開を喜び合った。そうこうしているうちに日が暮れる。今夜は晴れるかな。ただ、天気予報は思わしくなかった。
案の定、一番星は見えたものの、次の星が現れるころには西の空から次第に雲が迫ってくる。

仕方ないか。今日ここに来られただけでもめっけものかな。心と体がほぐれていくのがはっきり分かった。この春から仕事が一段と忙しくなっている。今までほど来られないかも知れない。ただ、僕の帰るところはここしかない。だって、ここは僕にとって宇宙(そら)に続く丘だから。

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