宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

星屑にうもれた繭

2010年10月16日 08時36分33秒 | 宇宙

天の川にはあちこちに、まるで腕を伸ばしたアメーバのような細く長い暗黒帯がある。その黒いガスの塊からやがて次の星々が産まれるのだ。本当はそれは広い夜空のどこででも起こっている事なのだろうが、天の川では背景の星明りがそれを浮かび上がらせているだけなのかも知れない。
そのひとつ、IC5146。通称まゆ星雲。それは、はくちょう座の端を流れる天の川に作られた産室で、神が紡ぎ上げた繭そのものだ。僕の機材では鮮明な映像を十分捕らえる事が出来ないが、この画像の中には3つのガスが写し出されている。まず、星屑を黒く隠す暗黒帯のガス。次に自分ではまだ光ることが出来ず、周りの星の明かりを受けてぼんやりと青く見えるガス。最後が自ら赤く光るガス。赤い光は温められた水素が発している。

次回はその暗黒帯を含む全体を撮ってみよう。また宿題が増えた気がした。

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天空の亜鈴・M27

2010年10月14日 01時45分38秒 | 宇宙

アルビレオのすぐ隣に、こぎつね座と言う小さな星座がある。M27があるのはその星座の真ん中あたりだ。去年の3月、一度撮影を試みながら飛行機に阻まれてやる気を削がれ、その後筒先を向けなかった。しかし、今はその時より機材が向上している。はくちょうのくちばしを撮影した帰りの駄賃と言うとこの星雲に悪いが、一度きちんととっておきたかった天体でもある。
アルビレオを基点に20センチをこぎつね座に振る。一眼レフのファインダーでもこの星雲は淡い光の塊として見えた。これなら感度をそれほど上げなくても撮れる。カメラの感度を2000にセット。露出を3分、4分、5分、7分と変えてみた。そして撮影された画像を処理して重ね合わせたのがこれ。
肉眼で見ると、空に浮いた鉄亜鈴のように見えるため、「あれい星雲」という名前が付けられている。太陽のような星が一生を終えてガスを放出した「惑星状星雲」だ。その例として世界で初めて認定された星雲でもある。ガスが広がる速度から逆算して、爆発したのは3000年か4000年前。縄文人はその輝きを見たことになる。うらやましい。ふとそう思った。

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アルビレオ

2010年10月13日 00時45分44秒 | 

黄昏が終わる頃、少し西に傾いてぼんやりと天の川が浮かぶ。もうこの季節も終わりだ。淡い星の川にどっぷりと身を浸すはくちょう。この鳳の南の端に有る星をアルビレオと言う。元々この星はアラビア語で「アル・ミンハル・ダジャジャー」雌の鳥のくちばしという名が付けられていた。それを、不勉強なラテン語学者が勘違いから「アブ・イレオ」と翻訳し、さらに後世の天文学者が間違って「アルビレオ」と転写したという曰くが有る。そこまで分かっているなら星図の表記を元の「アル・ミンハル・ダジャジャー」に直せばいいと思うのだが、いまさら手遅れなのか、間違いと認めたくないのかずっとこのままだ。

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1等星デネブ(尾っぽ)の重みに対していかにもくちばしらしい繊細さを見せるこの星を何等星かと問われると難しい。アルビレオは実は3等星と5等星の連星で、しかも明るいほうの星はさらに2つの星に分かれている。望遠鏡を通して見ると、漆黒の闇の中で金色の大きい星と青色の小さい星のコントラストが美しい。「北天の宝石」と呼ばれる所以だ。
今夜はこの星を撮ろうと初めから決めていた。せっかくの宝石が見えなくなる前になんとしてもカメラに収めたかった。いろいろ試した後、惑星を撮影するのに使う拡大投影法で写す。ただ、仕留めた画像は肉眼で見る美しさに及ばなかった。

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金星のような月

2010年10月12日 01時27分10秒 | 

夕焼けの空にかすかに光る金星。それでも明るさはマイナス4等級を上回っていると言う。西の空は、まだそれほど明るかった。その明るい空で金星のすぐ近くに、モニターに映る金星と同じ形をした月が浮かんでいる。月齢2.6。傾きが違うのは、月のほうが金星よりも少し上に有るからだ。
双眼鏡で眺めた細い月は、陽炎に激しく揺れながら、ペタビウスのクレーターあたりを下にしてゆっくりと沈もうとしている。そうだ。久々にかぐや姫で月を撮ろう。そう思いついて屋根をいっぱいに開け、姫の目を覆っていたカバーを外した。高度10度はとっくに切っている。主鏡が倒れませんように。観測デッキの壁に少し掛かった形で撮影した月。それでも何とかクレーターの形を写し取ることが出来た。

この連休。本当はゲストをお呼びする予定だった。しかしべったりと仕事が入り、そのほかの理由も加わってかなわなかった。天文台は映画館や美術館と違って鑑賞するものが自然だ。だから天気に左右される。しかも、見るものが刻々と変わってゆく。その為、ではまた来週というわけにはなかなか行かない。今夜はその条件が揃っているのに。晴れ渡る夕空がもったいなく思えた。

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気が付くと1ヶ月が過ぎていた

2010年10月11日 03時06分50秒 | 

仕事に追われて星の事もみかんの苗も、ろくに思い出せないまま、気が付くとひと月が過ぎていた。この連休にはなんとしても丘に上がりたい。そう心に決めて天気図を眺め、今日夕方、やっと竹取庵の鍵を開ける。昼間かなり有った雲も、日暮れにはすっかり消え、綺麗な夕日が空を染めていた。
星仲間から急かされていた金星の撮影。一ヶ月も経っている。まだ夕空に有るだろうか。そう思いながら観測デッキのパソコンを開いた。天文シミュレーターでは太陽との高度差わずか15度ながら何とか撮影が出来そうだ。双眼鏡で見つけて8センチ屈折に導入する。山の端からわずか10度余り。モニター上の金星はまるで布で出来ているようにはためいている。いくらなんでもこれが形になるだろうか。そう思いながらも40枚撮影。その中からやっと選び出した7枚を重ね合わせる。
宵の明星はしばらく見ない間に大きく、そして三日月のように形を変えていた。



内惑星と呼ばれる金星と水星は、地球と太陽の間を通るため大きさを変えながら形が大きく変化する。それだけにうまく撮影出来れば面白い。ただ、標高わずか74メートルの竹取庵。出来の良い画像をいくら重ね合わせても陽炎の影響は拭えない。金星の撮影もこれで最後かなと思う。

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