腑抜けども、悲しみの愛を見せろ（ＤＶＤ）

「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

古田大八監督作品．２００７年製作．
出演は佐藤江梨子、永瀬正敏、佐津川愛美、永作博美．

田舎の両親の交通事故死のシーンから始まる．
葬式のすんだ実家に東京から女優志望の娘の和合澄伽（佐藤江梨子）が
帰郷する．
澄伽の妹が清深（佐津川愛美）腹違いの兄が宍道（永瀬正敏）その嫁が
待子（永作博美）である．
何を勘違いしたのか、東京に出て女優になると決心した村の娘の
澄伽（佐藤江梨子）は、ろくに芝居が出来ないのに性格が悪い．
澄伽に兄もその嫁も振り回され、妹は責められる．
妹・清深は姉の破廉恥を題材にしてホラーマンガ大賞をとった．
実名で掲載されたので村中に知れ渡る．
怒りの姉にいじめられている．ふつうペンネームを使うだろう．
兄・宍道も澄伽におびえている．
親の死後の仕送り継続までも迫られている．
澄伽に溺れている弱みから要求をはねつけられない．
兄嫁の待子は港区生れ．
といっても新橋のコインロッカ－ベイビーで孤児院育ち．
待子は天真爛漫なのか、したたかなのか．
突き飛ばされて、ころころと転がるシーンはおかしい．
この４人がのどかな田舎を舞台に繰り広げるドラマは強烈である．
常ならぬ家族の描写、展開、人物に引き込まれる．
佐藤江梨子の思い込み過度な田舎娘が適役である．
この人のスタイルは抜群だが、顔は相当ファニーだ．
兄嫁役の永作博美の不気味なあどけなさが見事である．

タイトルは随分と時代がかっている．
「腑抜け」とは、はらわたを抜き取られたように意気地・気力のない奴
だとすると、この映画の腑抜けは誰だ．
３人の女はしたたかだ．
男は悪女に付け込まれて腑抜けにされる．