高校の頃から5年間、引きこもりとなった小沼真実は、好きなマンガやイラストを正確に模写することで現実逃避をして過ごしてきた。
ある日、ひょんなことからゲームのイラストに手を加えた真実は、それをきっかけに特技である絵を描く才能が認められ、社員の矢部遼太郎からゲームキャラクターのイラストを依頼される。
予告編を偶然見かけた。門脇麦さんがいいと思った。
『わたしは、おちこぼれの、ひきこもりです。
門脇さんのセリフが妙に引っかかった。
これは見に行くぞ、どこで公開かと待っていた。でも、埼玉県内は当面公開の予定がなさそうなので、3連休初日アクアシティお台場まで出向きました。
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主役:小沼真実(門脇麦)
高校のころから5年間、引きこもりになった。両親(父英輔:マキタスポーツ、母美佳:YOU)は彼女の引きこもりがはじまったころ離婚している。
娘との距離感が取れない父親、過干渉の母親の元に育つことになった一人娘である真実。何事にも自信がなく、対人関係を作ることがきわめて不得手。
門脇さんの出演作を見た時にも感じたことだが、キャラクターの心の動きが「表情」「しぐさ」自然に現れる。歩き方、背中の丸め方、もちろんお芝居なのだけど、その自然さに見とれた。
イラストを描く才能が見いだされた真実。仕事としてイラストを自らのアイディアで描くことになった。でも、「自由に何で描いていい」とされた彼女は、イラストが描けなくなる。現実の重さに、「固まって」しまう。その状況で彼女は引きこもるのではなく、逃走する。
真実はどこに向けて、何に向けて走り出したのか。走り出した先には何があるのか。そこにこの作品の面白さがある...かな。
主役に仕事を依頼する矢部(三浦貴大)
これまでの印象では『さわやか系若者』を演じている印象が強い三浦さん。本作ではかなり曲がった青年を演じている。でも、ある意味普通の人間である。どこにでもいるし、だれにでもある個性(我)を見せているもとれる。本作のキーパーソンである。
真実の母親美佳(YOU)
TVで見るYOUさんは、「おおらか・放任・ゆるい」のイメージがある。その彼女が過干渉の母親を演じている。美佳は実は子離れできない、子ども依存である。ものすご~くイヤなキャラクターを彼女が演じると、こんなにはまるものなのかと思った。
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『わたしは、おちこぼれの、ひきこもりです。
このセリフの意味は...
あることから参加することになった勉強会で、真実がぽつりと言う。その時点で真実は、もはや『おちこぼれの、引きこもり』ではない。少なくともその状況から、抜け出しはじめていることを表している。
・・・かなりだいじなシーンである。
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季節感が...
ものがたりは、特に言及はないが初秋なのだ。銀杏並木を歩く主人公。もう少し後の公開ならば、もっとピッタリはまったかもしれない。
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お台場まで出向いた価値はあった。